がうと

がうと

のんびり小説置いていきたいねぇ。
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ライト文芸 連載中 長編
夏。 終業式を終えても、俺の“学校”は終わらない。 夕方の部屋は静かだ。 テレビはつまらない。ネットは今ほど速くも便利でもない。 夜になるのを待つ時間が、やけに長い。 ヘッドセットをかぶる。 そこには、もう一つの学校がある。 《仙境学園》――生徒数数万人のVRマンモス校。 少し重たいチャット欄。 誰かが作った手作り告知画像。 噂は掲示板を経由してゆっくり広がる。 制服も偏差値もない。 あるのは発言力と、やる気と、ちょっとした才能。 非公式新聞部。 深夜アニメ研究会。 即興ラジオ部。 派閥も抗争もイベントも、すべて生徒主導。 文化祭が終わらない学校。 年齢も立場も伏せたまま、 ハンドルネームで呼び合う関係。 行動力だけは異常な〈たぬきおじ〉。 ラジオ常連の〈森川くん〉。 筋肉アバターの絵描き〈ゴリラ〉。 レトロゲー語りが止まらない〈拙者〉。 そして、何者でもない俺。 夜になれば、自然と同じ教室に集まる。 他愛のない会話が続く。 「リアルのほう、今日終業式だったっけ?」 そんな曖昧さすら心地いい。 あの日までは。 教室の窓のサッシに、見慣れない文字が刻まれていた。 「2Fの一番東の本」 全校共通暗号。 運営による夏季ミッション。 掲示板がざわつく。 図書館へ走る生徒たち。 最後にチーム名を書き込めるスペースがあるという噂。 数百人が、同時に動き出す。 まだネットが“居場所”だった頃の話だ。 現実とは少し距離のある、 けれど確かに本気になれた場所。 これは、仙境学園という巨大な学校で起きた、 一つの夏の群像劇。
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文字数 1,670 最終更新日 2026.03.01 登録日 2026.03.01
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