あらゆるスキマ時間で集中学習! 無駄ゼロ独学術

頭がいい人が「外で勉強する」を勧める訳

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キャリアアップ、資格試験、公務員試験、TOEIC、リスキリングなどにおいて、予備校や専門学校に頼らず一人で勉強するのはうまくいかないものです。いわゆる「独学」が難しいといわれる理由は――人間の意志がそもそも弱いからです。ただし、人間の意志は弱いという事実を受け入れることで、独学の成功率を高めることができます。この本には、忙しい社会人でも実践できる、独学を成功させるためのノウハウが満載です!
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外勉は「場所の選定」が大事

独学者は、自宅で勉強する家勉派と、外で勉強する外勉派に大きく分かれます。どちらもメリットとデメリットがあるものの、一般的に外での勉強は自宅に比べると集中しやすいです。スマホ以外の誘惑は少なく、寝る場所もないからです。そのため、環境を整えれば勉強に集中しやすく、効率を高められます。
それでは、自宅の外で勉強する場合に集中する方法について考えましょう。

まず、重視すべきは場所の選定です。大切なのは、自宅や通勤ルートに近い場所を選ぶことです。
通常の行動範囲から遠い場所は、行くこと自体が大変です。勉強するルーティンを確立するには、自然に足が向き、習慣としてテキストを開ける環境を整えるべきです。これまでに書いたとおり、三日坊主になる最大の原因は、始めるのにエネルギーが必要なことです。

典型的なのがスポーツジムです。自宅や会社から遠い場所を選んでしまうと、意欲の高い最初の何回かは通うことができても、次第に通うこと自体にストレスを感じるようになります。面倒くささが楽しさを上回れば、自分一人の決断でサボることができます。何回か休むと、あっという間に行かなくなってしまいます。誰でも似たような経験があるのではないでしょうか。私も同じ失敗を何度も繰り返しています。
そのため、外で勉強する場合は、意識せずに足が向く場所を選ぶとよいでしょう。最寄駅から自宅までの間にあるファミレスなど、自然に通る場所が理想的です。

雑音は外勉の大敵

外出先で効率的に学習するには、事前準備も大切です。自宅と違うのは、当然ですが、自分や家族以外の人がいることです。もっとも気になる話し声を中心に、音が耳に入るのは避けられないでしょう。
雑音は外勉の大敵です。対策として、耳栓を使うことをおすすめします。遮音性の高いものを選ぶことが大切なので、いくつか購入して試してみましょう。しっかり耳の穴にフィットするものを使用すれば、一般的なボリュームの話し声はシャットアウトでき、集中しやすくなります。ちなみに私は、スポンジ素材の耳栓を使用しました。耳の穴にフィットしやすいというよさがある反面、汚れが付きやすいので使い捨てになります。丸洗いできるものや、ノイズキャンセリング機能がついている商品も出ているので、自分に合った商品を選ぶとよいでしょう。
試験によっては、受験中に耳栓を使うことが認められている場合もあります。なるべく緊張しないよう、本番と同じ環境に慣れておくことが望ましいです。
本試験で耳栓を使う場合は、いくつか候補を試してみて、自分に合う「本番用」のものを試験までに選んでおきましょう。

本試験が「静かな環境」で行われるとは限らない

なお、雑音がある環境で勉強することは、悪いことばかりではありません。本番の試験が、静かな環境で行われるとは限らないからです。
一般的に、資格試験の試験日は日曜日で、試験会場は大学になることが多いです。通常は、学生の立ち入りは制限され、静かな環境で試験が行われます。ところが、運が悪いと、本試験でも集中を阻害されることがあります。私も何度かそのような環境で試験を受けました。
集中しにくい環境に慣れておけば、本番で悪いことが起こったとしても、動揺を防げます。本番で焦ってしまうと合格する可能性は大きく下がります。
万全の環境で受験できないことも想定して、あらかじめ騒音の中で集中する経験をしておくとよいでしょう。

集中の邪魔になる雑音として、たとえば、外から聞こえる街宣車の声や、選挙カーの演説が挙げられます。また、会場内では、ほかの受験生のたてる音が気になることがあります。
私の経験でも、電卓をたたく音や消しゴムをかける音がとても大きい人が近くにいたことがありました。試験中、ずっとぶつぶつと独り言を口にしている人もいました。
また、珍しいことではありますが、試験官によって集中を乱されることもあります。
これまででもっとも気になった人は、移動中にガタガタと音を立て、ほかの試験官と普通のボリュームで会話したうえ、計測を誤ったようで、試験時間を1分短く切り上げました。明らかに問題のあるケースだったと思いますが、受験生の一人に過ぎない私が抗議しても状況を変えるのは極めて難しかったと思います。

それらの対策にエネルギーを割いてしまうと、解答に集中できなくなり、焦りが募ります。運悪く、試験場で集中を乱される状況に置かれた場合は、いさぎよくあきらめて、目の前の問題に集中するべきです。あらかじめ、本試験においても気が散る状況を想定しておけば、いざというときの動揺を軽減できます。
そのために、ある程度の雑音が出る環境に慣れておくことは悪くないはずです。

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プロフィール

石動龍
石動龍

青森県八戸市在住。公認会計士、税理士、司法書士、行政書士。読売新聞社記者などを経て、働きながら独学で司法書士試験、公認会計士試験に合格。石動総合会計法務事務所代表。ドラゴンラーメン(八戸市)元店長、ワイン専門店vin+共同オーナー、十和田子ども食堂ボランティアとしても活動している。趣味はブラジリアン柔術(黒帯)と煮干しラーメンの研究。

著書

意志の力に頼らないすごい独学術

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石動龍 /
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