――野球に限らず、物事がなかなかうまく進まないケースにおいて、状況打破のために積極的に動いた方がいいのか、それともジタバタせずに泰然自若としていた方がいいのか? 小川監督はどのようにお考えですか?
小川 これは正解のない問題だと思いますね。たとえば、こちらが1対0で勝っているケースではあまり動きたくないし、自分の経験則から言えば動かない方がいいと思います。1つの動きから、試合の流れが変わるということは往々にしてありますから。でも、逆に0対1で負けていて、ずっと相手のペースで進んでいたり、膠着状態、均衡状態が続くようなケースでは、積極的に動くことが大切になると思います。
――7月26日、京セラドーム大阪での対巨人戦が、まさにそんなゲームでした。巨人先発のメルセデスに手も足も出ずに、試合は0対1のまま9回に。この回から巨人はクローザーのマシソンを起用。ヤクルト打線はここで1点を奪い、延長11回に1点を奪って、2対1で勝利しました。
小川 あの試合のメルセデスは完璧なピッチングが続いていました。ヒットはおろか、フォアボールすら選べない状態でした。でも、「9回も続投するのかな?」と思っていたら、マシソンが出てきて、同点に追いついた。継投の難しさが表れた試合だったと思います。あのときは5連勝中だったので、一気に「これでいけるぞ」という雰囲気になりました。
――この試合では延長10回のヤクルトの継投が印象的でした。大下佑馬、中澤雅人、星知弥が、それぞれワンアウトずつ登板。勝利への執念を感じさせる小刻みな継投でした。
小川 もちろん、相手打者との兼ね合いを考えての継投でしたけれど、一方では「まだいけるぞ。ここを抑えれば勝てるぞ」という雰囲気作りだったり、ベンチの一体感を出したりするという狙いもありました。開幕からずっと言っている、「最後まであきらめない。執念を持ってプレーする」という意思の表れでもありました。