【中国へのけん制強まるか】豪・英・米の安全保障協、AUKUSへの日本参加歓迎の意味

2024.05.01 Wedge ONLINE

 さらに中国のアングロスフィア(英米圏)批判論につき、日本のAUKUS連携を指摘して、中国の批判を否定する。社説は、日本との連携を積極的に評価している。

 4月10日の岸田文雄首相訪米の際の首脳共同声明は、この件に言及し、AUKUS参加国は「AUKUS第二の柱(先進技術プロジェクト)において日本との協力を検討している」と明記している。これに先立ち、米英豪の国防相は4月8日、AUKUSの先端技術分野の協力に日本の参加を検討すると正式に発表した。

 日本は、今後行われる三国との協議に積極的に関与し、有益な協力ができるように努めていくべきだ。なお、豪州内には、日本等との関係強化を支持する一方、機密性の高い情報や知的財産の移転を巡る懸念があることにも留意し、日本は情報保護の体制を一層整備していくことが必要である。

 4月9日からの岸田首相の国賓待遇での訪米は、大きな成功だった。4月10日の岸田・バイデン首脳会談も濃密な会談だったようであり、その後の日米共同声明を見れば、防衛を中心に日米の同盟関係が大きく進化していることが読み取れる。

 行事を通じて、バイデンや米国側の真正な温かい歓迎を感じるし、米国の日本への信頼感の向上も窺われる。10年、20年前も日米は緊密だったが、今や一層成熟した同盟関係になっている。

 さらに、今回の首相の晩餐会での挨拶、米議会演説は、内容、表現ともに秀逸だった。特に議会演説で、「もちろん、米国のリーダーシップは必要不可欠です」、「米国は独りではありません。日本は米国と共にあります」と述べ、「こうした努力に対し、ここ米国連邦議会では、超党派の強力な支持がいただけるのではないでしょうか」と同盟国として釘を差すことも忘れなかった。

 これらの下りは、関係者に強い印象を残したことは間違いない。「グローバル・パートナー」を強調したのも良かった。今後の行動が大事である。

強まるインド太平洋の結束

 今回の首相訪米を機に、4月11日米国は、フィリピンのマルコス大統領を招き、日米比三国首脳会談を行い、共同声明を出した。三者会談の発案者には拍手を送りたい。

 ワシントン・ポスト紙のロウギンが「中国のお陰で、米国は新たに強力な同盟を得た」という記事(4月10日付)を書いている。これは、日本とのAUKUS連携の発表と相俟って、インド太平洋の同盟・友邦国間のネットワークが当該地域の特質を踏まえ乍ら進化し、前進していることを示している。

 AUKUSについては当初、唐突で、実現可能性についても慎重な感を抱いたが、今や段々と意味あるものに育っている感じを持つ。サリバンのいう「格子状lattice-like」のネットワークが旨く育つように、日本も最大限の努力をしていくべきだろう。