健康寿命を延ばす「無理しない思考法」

「脳が若返る!」簡単だけど効果絶大な方法

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新しいことについていけない

ITやAIという言葉の氾濫に、これはもうついていけないと思う人も多いのではないでしょうか。

医学の進歩も想像を絶します。私が医学部で習ったことがすでに常識ではなくなっています。
自分の専門外の分野では、単語の意味さえわからないことが多いのです。

新しい物事に追いついていくのも、ある年齢までのような気がします。
もちろん興味のあることは、新しい情報を手に入れること自体が楽しいので苦にはなりません。
しかし、自分が苦手と感じることは、年齢とともにますます苦手意識が強くなってきます。
そんなとき、どう考えていけばいいのでしょうか。

1)好奇心を拒否する、慣れを乗り越える

年齢とともに、使い慣れた機種のスマホから、新しい機種に切り替えるのが面倒になってきます。
使い慣れたということは、脳の中に手順が記憶されているので、いちいち考えなくても使えてしまいます。
慣れという脳の仕組みが、新しいことに挑戦するのを拒否してしまうのです。

もう一度初めから使い方を覚えるのはおっくうになるのが普通ですから、拒否的になるのは当然でしょう。
しかし、それだけ脳が柔軟性を失いつつあるということです。
それはまさに、「老化していく脳」なのです。

私自身は、昔からメカ好きで、いまだに新しいものを探すのが大好きです。
世界で最初にiPhoneがアメリカで売り出されたとき、まだ日本では使えないのがわかっていましたが、アメリカにいる知り合いに頼んで、日本に送ってもらったことがあります。
そのとき、iPhoneをいろいろな人に見せましたが、多くの人がむしろあまり興味を示さなかったのが印象的でした。
キーボードのない携帯電話など、使いにくくてダメだろうと多くの人が思ったのです。

本当に革新的なことは、最初は受け入れられないのです。それは人の脳が、新しいことに対して拒否的にできているからです。
それを超えられるのは、好奇心しかありません。面白がって使っていくうちに、iPhoneの革新性が理解され始めたのです。
最初から受け入れることができないとしても、面白いと思うことが非常に重要なのです。

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プロフィール

米山公啓
米山公啓

1952年、山梨県生まれ。聖マリアンナ大学医学部卒業、医学博士。専門は脳神経内科。超音波を使った脳血流量の測定や、血圧変動からみた自律神経機能の評価などを研究。老人医療・認知症問題にも取り組む。聖マリアンナ医科大学第2内科助教授を1998年2月に退職後、執筆開始。現在も週に4日、東京都あきる野市にある米山医院で診療を続けているものの、年間10冊以上のペースで医療エッセイ、医学ミステリー、医学実用書、時代小説などを書き続け、現在までに300冊以上を上梓している。最新刊は『脳が老化した人に見えている世界』(アスコム)。
主なテレビ出演は「クローズアップ現代」「世界で一番受けたい授業」など。
世界中の大型客船に乗って、クルーズの取材を20年以上続けている。
NPO日本サプリメント評議会代表理事。推理作家協会会員。

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