2026年3月28日付フィナンシャル・タイムズ社説は、同盟国の対米依存が脆弱性となり、同盟国はトランプ政権との連携が危険をもたらす可能性を悟ったと述べている。
トランプは、今のところ、危機の瀬戸際から一歩引いた。彼はイランに対し、ホルムズ海峡を再開しなければエネルギー・インフラを「壊滅」すると警告しつつ、その期限を延長した。
米大統領は、エネルギー価格の更なる上昇をもたらすエスカレーションに出ることを躊躇した可能性もあるが、一方で数千人規模の米兵が湾岸地域へ向かっている。トランプが次に何をするのか。
これは、米国の同盟国に厳しい現実を突きつける。イラン紛争が勃発する以前から、同盟国は今の大統領の下では、もはや米国の安全保障の傘に頼れないことを理解した。
第一次政権の時ですら、トランプは欧州諸国に防衛費の増大を求めるとともに、米国の北大西洋条約機構(NATO)関与に疑問を投げかけていた。第二次政権では、昨年の関税政策が友好国と敵対国をほとんど区別しなかったことで、「より厳しい米国第一主義」が同盟国にも打撃を与え得ることを、米国のパートナーは思い知らされた。
しかしイラン戦争は、新たな認識を決定的なものにした。同盟国はもはや米国の保護を確信できないだけでなく、米国との提携そのものが彼らを危険に晒し得るものになった。
欧州の同盟国は、求めもしない戦争に引きずり込まれることを望んでいない。トランプがNATOに「非常に悪い未来」をちらつかせてホルムズ海峡再開への協力を迫ったことに対しても、同盟国はこれを拒否した。しかし海路の封鎖が長引くほど、同盟国の経済は打撃を受ける。
状況は米国の湾岸同盟国にとり特に深刻だ。これまでイランの脅威に対しては米国の保護に依存してきた結果、今や彼らはドローンや弾道ミサイルの集中攻撃に晒されている。
紛争終結の最善策について見解が分かれているものの、何れの国も戦争の前より悪い立場に置かれていることを認識している。イランは、彼らに報復を加え、紛争に引きずり込もうとしている。同盟国の米国への依存は脆弱性に変わったのである。
トランプのような大統領が再び現れるリスクがあることを、今や同盟国は認識している。その重大な帰結は、一つの結論になる。すなわち、同盟国は自らの強靭性を高め、彼らの間で新たな結びつきを築き、トランプの最悪の衝動を抑え込むために可能な限りの手段を見いださなければならない。
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社説の「同盟国の対米依存は脆弱性になる」との見出しは、衝撃的だ。社説は①「同盟国はもはや米国の保護を確信できないだけでなく、米国との提携そのものが彼らを危険に晒し得るものになった」、②「トランプのような大統領が再び現れるリスクがあることを、今や同盟国は認識している」、③「同盟国は自らの強靭性を高め、彼らの間で新たな結びつきを築き、トランプの最悪の衝動を抑え込むために可能な限りの手段を見いださなければならない」と言う。
残念ながら、それが今の現実だろう。トランプの同盟秩序への攻撃は甚だしい。独裁者には弱く、正気の同盟国には強く出る。
トランプにとり、正気者がいじめ易いのだろうか。同盟国は自らの強靭性を高め、同盟国の間で新たな連携を築くべきとの社説の結論は、正しい。米国の信頼性は、回復不可能なほどに損なわれている。
欧州は、万が一のトランプのNATO離脱に備えて、NATO予備計画の検討(昨年開始)を加速化しているという。これは、「欧州のNATO」と呼ばれる計画で、指揮命令を含め目下あらゆるレベルで米主導になっているNATOの構造をもっと欧州主導にするものである。
この検討の背景には、米国の信頼性の低下、トランプのNATO脱退やグリーンランド所有の脅かし等がある。他方で、フランスの防衛における欧州主権の拡大構想に抵抗してきたドイツが、メルツの下で賛同に転換していることがそれを可能にしている。なお、米国のNATO脱退は米議会の承認が必要だが、一部部隊やアセットの欧州撤収、欧州支援の停止は大統領の司令官権限で出来る。
4月11日付フィナンシャル・タイムズ社説は、「トランプは米国の道徳的リーダーシップを放棄している」と題し、トランプ政権がイラン戦争で民間インフラ施設の攻撃禁止や民間人と戦闘員の区別等を規定する戦争法を順守していない、「世界最強の軍事大国の米国がルールを守ろうとしないのであれば、世界は一層危険な場所になる」と厳しく批判している。