最大8試合の短期決戦をどう勝ち抜くか?サッカーW杯メンバー構成に見る森保一のチーム作り、“臨機応変”な戦い実現への編成

2026.05.19 Wedge ONLINE

 興味深いのはセンターバック陣の多くが、複数のポジションをこなせるマルチなタレントであることだ。昨年一気に台頭して”森保ジャパン”の常連になった鈴木淳之介(コペンハーゲン/デンマーク)は左のセンターバックをメインに、ウイングバック(中盤のアウトサイド)もこなせる。さらに板倉と瀬古歩夢(ル・アーヴル/フランス)は3バックの全ポジションに加えて、欧州で”6番”と呼ばれる中盤の守備的なポジションでも起用が可能だ。

“臨機応変”な戦術を支える心臓部分

 現在の日本代表は3ー4ー2ー1というシステムで、左右のウイングバックに中村敬斗(スタッド・ランス/フランス)や堂安のようなアタッカーを起用しており、彼らが当たり前のように守備でハードワークしながら、攻撃でも違いを生み出すことが強みとなっている。しかし、1点リードして終盤を迎えた時などは相手も攻撃にパワーをかけてくるため、鈴木淳のようなサイドもこなせる守備のスペシャリストがいるのは心強い限りだ。彼は左サイドを持ち場とするが、右は守備的な仕事をこなしながら、推進力のある攻め上がりから正確なクロスを上げる菅原由勢(ブレーメン/ドイツ)もいる。

 ボランチ(中盤の攻守を繋ぐポジション)は、圧倒的なボール回収力を誇る佐野海舟(マインツ/ドイツ)とゲームメイク力に優れる鎌田大地(クリスタル・パレス/イングランド)を軸に、足首の怪我から驚異的な回復を見せるキャプテンの遠藤航(リバプール/イングランド)、バランスワークに加えてゴール前への飛び出しなど、勝負所の得点力を備える田中という4人の構成になる。遠藤の状態も考えれば、最大8試合を4人で戦うのは不安ではないかというメディアの声もあるが、森保監督はセンターバックの板倉や瀬古も同ポジションで起用できることを強調した。

 現在の日本代表は森保監督が”臨機応変”を掲げるように、ボール保持を志向しながらも、守備から攻撃への切り替え、前線からのプレッシング、セカンドボール回収などを駆使して、自分たちよりボールを回す能力が高かったり、攻撃の戦力が高いチーム相手にも我慢強く戦い、勝機を見出せる耐久力と柔軟性を備えている。その心臓部分がボランチだが、基本は佐野と鎌田を軸に、田中が第一の交代選手として攻守の強度をカバーし、遠藤が色々な状況に備えるという構成だ。

 もちろん佐野や鎌田がサブに回る試合もあるかもしれないが、板倉と瀬古は基本センターバックで計算されながら、中盤の有事に備えることになる。同時に彼らは単純な5、6番手というだけでなく、相手が高さのある選手を増やしてきたり、ボランチの選手に守備的な役割が求められるケース、また3ー5ー2にシステムチェンジした場合の“6番”の役割も担うケースがあるかもしれない。そうした選手たちを中盤に入れることで、コーナーキックなど攻守のセットプレーで、高さを追加できる効果もある。

三苫と南野の離脱をどう埋めるか

 ただ、3ー4ー2ー1の二列目に当たり、攻撃の決定的な役割を期待される2シャドーの主力候補だった南野と三笘の欠場は非常に痛い。特に選考直前に怪我を負った三笘は唯一無二のドリブル突破力を誇る攻撃タレントであるだけに、彼がいない前提の編成を組むために森保監督やコーチ陣が、ギリギリまで話し合って結論に至ったという。

 アタッカーの枚数が多くなり、ボランチが4人になったことも三笘の怪我が影響した可能性はある。主力の怪我というのは全体の構成バランスにも変化を生むということだ。

 2シャドーは二度目のW杯に挑む久保建英(レアル・ソシエダ/スペイン)と経験豊富な快速アタッカーの伊東純也(ゲンク/ベルギー)を軸に、鎖骨骨折から回復中の鈴木唯人(フライブルク/ドイツ)や初招集となった3月のイギリス遠征でアピールし、本大会のメンバーに滑り込んだ塩貝が候補になる。191cmの大型FWである後藤も1トップだけでなく、試合の終盤にシャドーでテストされており、同ポジションで精力的な守備と運動能力を生かすケースが見られるかもしれない。

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