オーストラリア産LNG輸出管理厳格化の動き、ホルムズ危機長期化で日本が直面する不安要素とは?

2026.06.09 Wedge ONLINE

 イラン戦争の長期化により、湾岸諸国からの石油調達に支障が生じる一方、日本は発電や都市ガスの燃料となる天然ガスの輸入を維持できている。火力発電に不可欠な燃料を日本へ安定供給しているオーストラリアの存在があるためである。

(jasonbennee/gettyimages)

 しかし、オーストラリアでは東部地域の天然ガス不足を背景に、液化天然ガス(LNG)輸出管理を厳格化する動きが加速している。これが日本へのエネルギー供給にどのような影響を及ぼすのかが注目される。

日本のエネルギー政策を支えるオーストラリア

 日本のエネルギー政策は、福島第一原発事故以降、火力発電が重要な役割を果たすようになっている。経済産業省資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」によれば、24年度の発電比率では、ガス火力が総発電量の32%、石炭火力が28%を占める。

 日本の火力発電に欠かせない燃料を安定的に供給しているのが、オーストラリアである。 日本の一般炭輸入においてオーストラリアが第1位の供給国である。

 天然ガス輸入に関しても、オーストラリアは日本にとっての最大調達先である。日本のオーストラリアからの輸入量は、10年の1395万トン(総輸入量の19.9%)から、22年には過去最高となる3075万トン(42.7%)にまで拡大(図表1)。25年においても2581万トン(39.7%)を記録している。

天然ガス事業への日本企業の参入

 オーストラリアの天然ガス産業における特徴として、日本企業が単にLNGを調達するのではなく、ガス田開発からLNG生産に至るプロセスに直接関与している点が挙げられる。オーストラリア北西部の沖合にあるイクシスLNGプロジェクトでは、日本のエネルギー会社「INPEX」が事業のオペレーター(操業主体)としてガス田の開発から操業までを担っている。

 さらに、日本企業はオーストラリア産LNGを第三国に再販売することで、収益を拡大している。オーストラリア産LNG契約の多くには、カタール産のような転売を禁じる「仕向地条項」が設けられていないため、再販売が可能となっている。

 日本企業が長期契約を通じて引き取るオーストラリア産LNGの年間契約数量だけでも、25年時点で約2800万トンに達している(図表2)。スポット契約分を含めれば3000万トンを超える可能性があり、これは日本向けの実際の輸入量を上回る規模である。

 米国拠点のエネルギー経済・金融分析研究所(IEFA)によれば、このような余剰分を活用したLNGトレーディングを通じて、日本企業は多額の収益を得ており、その金額は23年に110億~140億オーストラリア・ドルに達したとみられる。

イラン戦争で高まる価値

 日本にとって、オーストラリアからのエネルギー調達の重要性は、イラン戦争を受けてこれまで以上に高まっている。26年2月28日の米国・イスラエルによるイラン攻撃以降、イランの軍事行動により、ホルムズ海峡は事実上封鎖された状態にある。イラン戦争以前、日量約2000万バレルの石油(原油及び石油製品)に加え、カタールとアラブ首長国連邦(UAE)が輸出する年間約8000万トン以上のLNGがホルムズ海峡を通過していた。

 しかし現在、同海峡の通航は困難な状況に陥っている。原油については、サウジアラビアやUAEがホルムズ海峡を迂回できるパイプラインを保有しているため、一部の輸出は継続可能である。これに対し、LNGは主に専用のLNG運搬船によって輸送されるため、ホルムズ海峡の通航停止の影響をより直接的に受け、カタールとUAEからのLNG輸出は困難となっている。

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