オランダ戦“勝ち点1”が示したサッカー森保ジャパンのマネジメント、選手交代で見せた監督と選手の意思疎通…選手一人ひとりの役割と理解を高めるチーム力

2026.06.19 Wedge ONLINE

 これまで代表で培ってきた関係性が、大舞台で力を発揮した。伊東も「自分が入ってから右サイドでチャンスを多く作れたと思う」と語り、「相手が寄せてこないと感じたので、シンプルにクロスを上げたり、裏へ抜けたりすることを意識した」と振り返った。その結果、オランダは対応を迫られる。

 後半36分、ロナルド・クーマン監督は左利きセンターバックのナタン・アケを投入。4-3-3から5-4-1へシステムを変更した。リードしている側が守備強化を選択したのである。これは日本の攻勢が機能していた何よりの証拠だった。

 菅原も「オランダが5バックにするのは想定内だった」としながら、「逆にそうなったということは僕らがボールを持てる時間、もっと攻めていい時間だと思えた」と語った。終盤の主導権は確実に日本が握っていた。ここから森保監督は前線で攻守に奮闘してきた上田に代えて、W杯デビューとなる21歳の塩貝健人を送り込む。

 相手のクーマン監督も疲れの見えるエースのコーディー・ガクポを下げて、パワフルなFWブライアン・ブロビーを入れるが、これによりガクポのいた左サイドに回ったメンフィス・デパイは守備に問題があり、日本がパワーをかけていた右サイドからの攻撃がさらにオランダを脅かした。

 そして後半41分、日本は右サイドで伊東が得たCKから同点に追い付く。伊東のキックに小川が飛び込み、ボールは鎌田大地の頭をかすめてゴールへ吸い込まれた。

 記録上は鎌田の得点。しかし、このゴールが森保監督の交代策から生まれたことは間違いない。小川は「ゾーンを見た時に、あそこしかないと思った。純也君も分かっていて、本当に意思疎通が合った」と振り返った。ベンチスタートだった選手たちが流れを変える。それもまた、今大会の日本代表を象徴する姿だった。

 塩貝健人は「航基君とは一緒に出るだろうと予測していた。それがいい形で航基君が決めてくれた。次は僕の番だと思う」と語る。実際、塩貝自身も同点直後に投入され、前線からの守備やプレスで試合を締める役割を担った。「まずは勝ち点を取ることが大事だった。無駄な失点は避けたかった」と振り返ったように、短い出場時間でも役割は明確だった。

 ここにも”森保ジャパン”の特徴がある。先発の11人だけではない。途中出場の選手たちも、自分が何を求められているのかを理解している。

理解していた今大会における「勝ち点1」の意味

 同点に追い付いた後の戦い方も興味深かった。もちろん勝利は目指していた。しかし、相手は優勝候補のオランダである。ここでバランスを崩して勝ち点1まで失う必要はない。

 塩貝も「同点になった後は、まず勝ち点を取ることが大事だった」と話している。大会全体を見据えれば、この判断は極めて合理的だった。今大会は48カ国参加となり、12組に分かれてグループリーグを戦う。各組上位2チームに加え、各組3位のうち成績上位8チームもラウンド32へ進出できるレギュレーションだ。

今大会は史上最多の出場国であるため、上位32チームが決勝トーナメントに進出できる(FIFA公式HPより)

 つまり、勝ち点1の価値は従来大会よりも大きい。優勝候補相手に勝ち点を積み上げたことで、日本は今後のチュニジア戦、スウェーデン戦を有利な立場で戦えるようになった。

 もっとも、選手たちは満足していない。菅原は「誰も満足していない。勝ち点3を取りに行っていたゲームだった」と言い切る。「ゲームマネジメント的に3を取りに行くこともできたと思う。だから勝ち点1はポジティブだけど、1よりも3が欲しかった」。この言葉に、現在の日本代表の成長が表れている。

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