ニューヨーク・タイムズ紙が、「ルビオ国務長官は、暫定合意について湾岸協力理事会(GCC)諸国の指導者を安心させようとしたが、暫定合意は、レバノン、ホルムズ海峡、核問題で脆弱だ」という解説記事を6月24日付けで掲載している。要旨は次の通り。
ルビオ国務長官は6月24日、湾岸アラブ諸国の指導者らと会談し、彼らの深刻な懸念の一部が未解決なままの米国・イラン間の暫定合意について、彼らを安心させようとした。他方、ルビオ長官の歴訪中、トランプ大統領はSNSで、イランは、ホルムズ海峡を通過する船舶に通行料を求めることも、徴収もしてもいないと保証したと述べた。
この問題は全世界的な懸念事項であり、ルビオ長官は、イランによる通行料または手数料の徴収は国際規範に違反すると述べているが、イラン側は船舶に課金する権利があると主張している。
湾岸アラブ諸国の指導者たちは、暫定合意によって生じた安全保障上の問題について回答を求めているが、停戦は受け入れている。しかし、イスラエルの指導者たちはこの合意に反対し、イランの支援を受けるレバノンの組織ヒズボラへの攻撃を続けている。
米国、イスラエル、レバノンの当局者らは6月24日、ワシントンで会談し、ヒズボラが活動するレバノン南部に対して、弱体なレバノン中央政府が支配を確立し、最終的にイスラエルが同地域から撤退できるようにする方法を探ることを目的とした協議を継続しているが、ルビオ国務長官はイスラエルを擁護して、イスラエルはレバノン国境を越えて行われるヒズボラのロケット攻撃を防いでいるにすぎないと述べた。
2月下旬に米国とイスラエルがイランを攻撃したのに対して、イランはアラブ諸国にミサイルとドローンを発射したが、長らく米国に安全保障を依存している一部の湾岸アラブ諸国は、暫定合意がイランのミサイル計画やドローン計画に触れていないことに不満を抱いており、米国との関係をより広範に見直す動きを促している。他方、イランのペゼシュキアン大統領は6月23日、自国のミサイル能力への制限は、和平合意の一部になることは決してないと述べた。
そして、石油価格は暫定合意が署名されて以来急落しているが、戦争前よりは高い水準にとどまっている。また、ホルムズ海峡を通過する交通量は増加している。
海事データのケプラー社によれば、6月23日に31隻の船舶がホルムズ海峡を通過した由だが、それでも戦前の通常水準である1日約130隻を大きく下回っている。さらに、イランは海峡の通過船舶にサービス料を課す構想についてオマーンと協議したが、この提案は米国を怒らせた。
脆弱な和平プロセスから離脱するという最新のトランプ大統領の威嚇は、暫定合意がイスラエルとヒズボラの紛争を含む未解決の争点に対してなお脆弱であることを強く思い起こさせるものだった。6月24日にガリバフ国会議長は、暫定合意を「米国の敗北宣言」と呼んだが、この勝利宣言は、国内の強硬派からの批判をかわすことを狙っているように見えた。
米国とイランの当局者は、損傷した核施設への国際査察官の訪問再開をイランが認めることに同意したかどうかを含め、他の問題についても鋭く対立しているが、「それはイラン側がした約束であり、彼らが守る必要のある約束だ」とルビオ氏は述べた。
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この記事が指摘する通り今回の暫定合意は、レバノン、ホルムズ海峡、核問題について脆弱なことに間違い無い。
まず、ペルシャ湾岸のアラブ産油国は、長年、イランの覇権主義、イスラム過激主義等の脅威に対して米国の安全保障の傘に依存して来たが、今回の戦争で米国の安全保障の傘がかえって自国の安全を脅かすことを思い知らされた。これらの諸国は、石油・ガスの収入で豊かな生活を享受してきたが、その根底には海水淡水化施設、発電所等への過度の依存があり、イランからの攻撃に極めて脆弱なことが判明した。