「わが軍の『宇宙制御』の任務の中には、敵対勢力の能力を阻害、劣化、必要であれば破壊するための運動エネルギー兵器、レーザー兵器の投入が含まれている。こうした能力は、司令官の判断次第で攻撃、防御のいずれにも発揮できる態勢にある。そしていかなる軍事作戦であれ、『大気圏外条約』などの国際法に依拠して実施されることになっている」
ただ、「大気圏外条約」は、月その他の天体を含む宇宙空間の探査・利用などの国家活動を規律し、核兵器などの大量破壊兵器の宇宙軌道配置を禁じているものの、通常兵器については規制対象外となっている。
従って、米軍がすでに実戦配備済みの兵器は核兵器でなく、通常兵器であることだけは間違いないが、同スポークスマンもそれ以上深入りすることを避けているため、具体的にどのようなものかは、現段階では明らかになっていない。
しかし、いずれにしても、宇宙兵器の実戦配備を公式に認めたことは、米国が予想以上に急ピッチで「宇宙戦争」への備えにすでに着手したことを意味している。
その背景として、第一に挙げられるのが、米国のライバルである中国、ロシアがすでに、何らかの宇宙兵器を運用し始めている事実がある。
この点に関連して、宇宙司令部のダグラス・シース司令官は、「空・宇宙およびサイバー会議」2日目の15日に登壇し、「わが軍が宇宙兵器実戦配備の公表に至ったのは、中国およびロシアの”キラー衛星“能力がすでに進化しているためであり、今がそのタイミングとなった」との注目すべき認識を示した。
米軍当局者が、中ロ両国の宇宙兵器配備の現状に公的場で言及したのはこれが初めてであり、軍事大国である米中ロ3カ国による軍拡が、すでに宇宙にまで拡大しつつあることを示すものと言えよう。
シース司令官はさらに、中ロの宇宙兵器能力の具体例として、「彼らは周回中の(敵対国の)人工衛星を捕捉し、異なる軌道上に排除できる」との驚くべき事実を明らかにするとともに、「従ってわが方としては、自陣の統合戦力のみならず、あらゆる資産を宇宙攻撃から防衛する能力が必要とされる」とも語った。
宇宙軌道上で敵方の衛星を追跡、捕捉した上、自陣の衛星が活動する軌道外に排除――。いかにもサイエンス・フィクションのようなシナリオだが、シース司令官が公式に言及したことから、それがすでに、現実のものとなっていることが裏付けられたことになる。
これまで、中ロが、先行する米国を追いかける形で宇宙兵器開発に取り組んでいることは知られていたが、遠隔操作で自陣の人工衛星を自在に動かし、敵陣の衛星を追跡、捕捉できる能力をすでに備えていることが判明したのは、これが初めてだ。
このほか、特に中国の場合、周回中の通信衛星や監視衛星を強力なレーザーの照射により機能不全にする地上配備型兵器もすでに保有済みと伝えられる。まさに、宇宙戦争の幕開けだ。
同司令官はなおも、以下のような事実を明らかにした:
「米軍は継続中の対イラン軍事作戦においても、軍事衛星など『宇宙資産』に依存しており、また、すでに宇宙戦争への備えができている」
「対イラン作戦開始に当たっては、中央軍司令部と宇宙司令部の合同軍は、欧州軍司令部、太平洋軍司令部からの支援を抜きにして戦力展開することは不可能だった」
「中央軍の第42電子戦争部隊のある担当武官は、明らかな目的を持った敵対勢力との間で『電磁戦(electro magnetic warfare)』を演じ、宇宙軌道上での成果を挙げた」