なぜトランプは〝AI推し〟をやめないのか?アメリカ社会で起きていること

2026.09.25 Wedge ONLINE

 その直後、同様の事件がアンソロピックのモデルでも4月に発生したと発表された。アモディCEOは、9月12日にコクソンの発言を追認する声明を出し、AIは非常に強力な技術なので、そのリスクも深刻とし、システムの制御不能、サイバー攻撃・バイオテロへの悪用、深刻な経済的混乱などをリスクとしてあげた。

 さらに、今夏からAIの進歩が劇的に加速しており、放置すればAIが人間の制御能力を超えてしまう可能性があるので、慎重に開発を進める必要があると指摘した。

 安全性への取り組みの強化を図りながら技術競争を促すため、企業レベルの開発段階の監視、業界全体の規制、グローバルな連携の3段階の取り組みを提案した。

 オープンAIのサム・アルトマンCEOは、「最先端技術の進歩を遅らせる必要があり、アモディCEOの意見に賛成する」とXで発信した。xAIを創設したイーロン・マスクも「アモディCEOは正しい」とXに投稿した。

 しかし、トランプ大統領はAIの慎重な開発が気に入らないようだ。

トランプ大統領による〝反論〟

 データセンターに反対する市民が増えているとの世論調査に対し、トランプ大統領は8月末にSNSで「地域が税収、雇用で豊かになりたいなら、データセンターを誘致しろ、中国は反データセンター運動に大喜びしている」と投稿した。

 9月14日の投稿では、アモディCEOを批判し、「AIとデータセンターに関する悪質な陰謀が進んでおり、中国が喜ぶだけだ。AIに勝つものが勝つ」と投稿したのに続き、「米国が他国をAIでリードしている。金の卵を持つガチョウを殺すな」と投稿した。その数時間後には、「AIが世界を滅ぼすとか、データセンターは近隣住民にとって有害というのはでっち上げだ」と投稿している。

 トランプ大統領のAIに関する投稿は止まることなく、9月19日にAI推進の意気込みを再度投稿した。 「狂気じみたデータセンターへの攻撃は失敗に終わった。今度はAIに挑んできた。AIの成長を妨げることはないし、支援する。既存の刑事、民事司法で制御できるが、そのためにAI部隊を創設する。AIは産業革命に匹敵し国内総生産(GDP)の25%を占める可能性もある」。

 トランプ大統領はデータセンターへの攻撃は終わったと言うが、米国民の7割が近隣でのデータセンター建設に反対している。AIについても懐疑的な国民が多い。

米国民はAI推進に懐疑的

 シカゴ大学エネルギー政策研究センターが、AP通信、公共問題調査センターと共同で今年8月に実施した世論調査では、米国民の半数以上の53%がAI、データセンターが環境に与える影響を非常に懸念していることが明らかになった。昨年の調査では非常に懸念するは41%だったので、10%以上上昇した。

 特徴的なのは、民主党支持者に「懸念する」が多いものの、他の問題と異なり、党派による意見の差が小さいことだ(図-1)。

 データセンターが地域社会にもたらす電気料金上昇などのマイナスの影響が大きいと考える人たちが多く(図-2)、AI導入による影響を懸念する人たちが増えていると考えられる。

 データセンターの新設は、地域で雇用を創出するなどのメリットもあるが、メリットを評価する比率は、マイナスの影響の比率よりも少ない(図-3)。

 9月に実施されたGSGの世論調査は、データセンター建設に関する支持政党別の意見を調査している(図-4)。

 共和党支持者でも、半分以上が地域でのデータセンター建設に反対している。それでもトランプ大統領のAI推しは変わらない。

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