一般国民の出入国は制限しないものだが、ちょうど国慶節前に施行されたことから、「今回は念のため海外旅行はやめておこう」という人がいても不思議ではない。まして、日本については団体旅行も停止されているため、避けた可能性が大きい。
中国人の海外旅行の中で、急速に人気が出ているのは韓国だ。中国メディアの報道によると、今年7月に韓国を訪れた中国人は前年同期比29%増と大幅に伸びている。
中国から韓国へは3人以上の団体客は今年12月末までビザ免除措置(15日間まで)がとられている。韓国のリゾート地、済州島(チェジュド)に関しては団体客、個人客ともに最長30日間までビザ免除となっているので、非常に行きやすい環境が整っている。料金的にも欧米に行くよりも手頃で近距離であることから、韓国人気が高まっているのだ。
一方、韓国側では中国人客が増えすぎていることに対して懸念が広がっている。ゴミ捨てなどのマナー問題や中国人を含む外国人が増えることで治安が悪化するとの声が増えており、「中国人のビザなし入国廃止」を求める請願書に約2万人が賛同した。
日本では秋の行楽シーズンでも「中国人客が大幅に減少したことで京都のホテルが予想以上に安く予約できてよかった」「欧米人は増えているが中国人がいないので静かだ」といった声がSNSに上がっている。実際、昨年に比べて中国人は半減しているので、ホテル、観光地に対する影響は大きい。
中国人が減少した分を他の国・地域の人が埋めているので、訪日外国人客の全体数は減っていない。そのため「このままでよい」と考える人もいるかもしれない。
しかし、上海に住むある知人男性は「本当は日本に行きたかった」と打ち明けてくれた。その知人はこの連休中、雲南省を旅行しており、その様子をウィーチャットに載せていたが、問い合わせてみると、こんなコメントを寄せてくれた。
「日本の秋の景色が懐かしく、恋しいです。とくに京都。まだ紅葉は始まっていないでしょうけれど、お寺巡りをしたかったですね。以前、御朱印を集めていたんです。でも、今は個人旅行としても、あまり日本に行ってはいけない雰囲気があるので、国内旅行にとどめました。来年の春節は日本に行ける状態になっていればよいのですが……。同じように残念に思っている日本ファンの中国人は多いですよ」
2027年の春節は2月上旬だ。あと4カ月で日中関係にどのような変化があるかわからないが、先日は岩屋毅前外相が訪中し日中関係改善の糸口を探ったばかりだ。
中国では政府の意向が個人の海外旅行にまで大きな影響を及ぼす。もし現状がしばらく続くのであれば、来年も中国人にとって日本旅行は「遠いもの」になるだろう。