「大人の読解力」で苦戦する人たちの"勘違い"

大人になってから本を読むようになった人が、読解力を身に付けるには?(写真:KY/PIXTA)

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私は、現在53歳ですが、読解力がまったくないので困っております。一応大学院まで出ているのですが、恥ずかしながら国語がまったくできないのです。とくに文章問題が苦手で、高校入試の小説文の問題だと半分くらいしかできず、論説文となると10点くらいしか取れないのです。
生きてきてまったく本を読む機会がなく、このままではいけないと、45歳から毎日、本を2時間読むようにしており、ここ8年間で約300冊の本を読んできました。もともと本は嫌いですが、しかし、文章問題をたまにやってみると、まったくできていないのです。ひたすら地道に本を読み続けていくことがベストなのでしょうか? それとも、この年だと読解力が付きにくいと思ったほうがよいのでしょうか?
(仮名:庄司さん)

読解力というと、子どもの世界の話であるという印象を受けます。しかし、今回ご質問者は大人の方ですね。ご自身は国語の文章問題ができないということで読解力がないと言われていますが、ある程度大人になれば、子どものときに解いていた国語の問題は解けるようになるのが一般的ではあります。

国語の問題を解く力と読解力は異なるもの

例えば、中学校のときにできなかった国語の問題を大人になって解いてみると結構できていたりすることはままあることです。

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以前、大人を対象に大学入試センター試験の国語の問題をやってもらったとき、かなりの正答率で、明らかに高校生のときの自分よりもできていると実感した人がたくさんいたのです。ですから国語の問題が解けるという意味においての読解力は、一般的には徐々に上がってはいると考えてよいでしょう。

その背景には、大人は子どもに比べて人生経験が多様であるため、自身の経験や知識に照らし合わせて理解ができるようになるからだと考えられます。

一方で、庄司さんがおっしゃるように、国語の問題が解けるという意味での読解レベルがまったく上がっていないと感じる場合もありますが、はたしてそれが、ビジネスマンなど大人にとって重要であるのかどうか疑問です。

国語の問題には解き方があり、ある種のテクニックがあれば解答できてしまうことがあるため、それを知ってしまえば、国語の点数を上げることができます。ですから、大人が本を読んで国語の問題が解けないということで読解力を確認すること自体、意味があるとは思えません。

それよりも庄司さんは、現在、本をたくさん読んでいらっしゃるようですから、それを自分の人生に応用していくことのほうがはるかに大切ではないでしょうか。

そこで、国語の問題が解けるという意味での“読解”とは異なり、本を読んで意味を理解し、それを自らに応用していくという意味での「大人の読解」ができるようになる方法についてお話します。

ビジネスマンはビジネス書や自己啓発書をたくさん買ったり、読んだりします。しかし、読むことが目的になってしまい、実はまったく身に付いていないという話はよく聞きます。

字ずらを目で追っているだけで、内容面について心に入ってこないということや、「積ん読」と言って、買ったはいいが、読まずに積んでいるだけ、というスタートラインにさえ立っていないという笑えない話もあります。いずれにもして「読解」とかけ離れている実態が大人の世界でもあるようです。

「大人の読解力は、読書量に比例するとは限らない」

世間的には、本を読むと読解力が上がるとか、たくさん本を読んだほうがいいと言われているため、大人になってもたくさん本を読めばいいと錯覚してしまうことから悲劇が始まります。