自己肯定感が低い人の「呪い」を解く1つの方法

それを繰り返すことで、自分はどんなことで比べてしまうのか、そのとき自分はどう感じるのか、相手はどう反応するのかなどがわかるようになっていくでしょう

生育歴を振り返るには、時間も過去の自分と向き合う精神力も必要です。それほど大がかりではなく、折に触れて自分の根本を見つめ直す作業を「内観」といいます。

「内観」などというと、特殊な人がするものと思われるかもしれませんが、実際には、それほど特別なことをするわけではありません。自分の言葉や行動の根っこにあったのはどんな感情だったのか、と振り返るのが「内観」です。

1日に1回。3分でも、5分でもかまいません。「今日は、どんなことがあったかなぁ」と1つでも2つでも思い出して、それは、どんな感情から出た言葉だったのかを考えてみるのです。

あれは相手のことを思って言った言葉だったのか、それとも自分のことだけを思って言った言葉だったのか、と思いを巡らせてみましょう。場所は、寝る前のリビングやお風呂の中、または通勤や通学の電車内、あるいはトイレの中など、どこでもかまいません。とにかく1人になって、ゆっくり考えられる時間を5分確保します。

照明は暗くても明るくてもいいですが、ほかの人に話しかけられない環境を選びましょう。お風呂でぼんやりと考えていたら偶然わかったなどではなく、意識的に自分を見つめ直す時間を作ってみてください。寝ながらではなく、なるべく座って行うことをお勧めします。暗い場所で横になっていると、脳はネガティブな思考に陥りやすくなるからです。

自分を否定して苦しくなるだけの反省はしなくていい

「内観」を行ううえで最も大事な点は、反省しないこと。反省というのは、「今日のあの行動はよくなかった。今度はこう直そう」と考えることですが、「内観」というのは、そんな表層的なものではありません。

自分の行動の根本のところにあった、本当のことはなんだったのか。あの言葉の裏側にあった、自分の本当の気持ちはなんだったのか。ただそれを見る、という行為です。

自分の中に「人よりうまくやってやろう」という気持ちがあったなぁ、相手のためだけを思っていなかったなぁ、というところに気づけばいいのです。そこでまた、頭の中でいろいろ考えてしまうと、「だけどやっぱり、あの人がこう言ったから」とか「やっぱり母親としてやらなければいけないことだったのだ」なんて、ぐるぐると思考を続けてしまいます。

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私たちの脳は、つらいことより楽しいことが大好きです。脳科学の専門家によると、脳というのは否定されればされるほど、神経細胞の反応がにぶくなり、活性化しにくくなるといいます。おだてれば木に登り、けなせば、やる気をなくしてしまうのです。

「私ってどうしてこんなにダメなんだろう。直さなきゃ」と自分を否定しても苦しくなるだけ。ですから、考えない。反省しない。それよりも自分の頭の中を俯瞰的に見る感じです。

あのときの私はどんな気持ちを持っていただろうかと、上から観察してみるのです。よかったとか悪かったとかのジャッジをせず、そういう気持ちがあったなぁということに気づくだけでいい。

そして、気づいたら、「そっか、そうだったのか」で終わり。そこでまた追いかけていくと、つい反省してしまいますから、そこで終わりにしましょう。

(文=玉置 妙憂:看護師・僧侶・二児の母)