資格勉強で「頑張ってるのに結果が出ない人」に足りないこと

キャリアアップ、資格試験、公務員試験、TOEIC、リスキリングなどにおいて、予備校や専門学校に頼らず一人で勉強するのはうまくいかないものです。いわゆる「独学」が難しいといわれる理由は――人間の意志がそもそも弱いからです。ただし、人間の意志は弱いという事実を受け入れることで、独学の成功率を高めることができます。この本には、忙しい社会人でも実践できる、独学を成功させるためのノウハウが満載です！
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「伸びる人」の取り組み方

私は20歳から格闘技を始め、33歳ごろまで選手として熱心に練習していました。最初の４年間は総合格闘技、残りはブラジリアン柔術（以下、柔術とします）に取り組みました。
一時は格闘技で生計を立てることを真剣に考えました。
当時、ともに練習していた同世代の選手は、たくさんの人が専業柔術家になり、自分の道場を経営しています。コロナやケガもあってほとんど練習はできていませんが、いまでもインストラクターとしての活動は細々と続けています。

柔術は柔道と似た胴着を着用し、寝技を中心に戦う競技です。投げによる一本はなく、絞め技や関節技でギブアップを奪えば勝ちになります。
現役で有名なのは、ＲＩＺＩＮで活躍するホベルト・サトシ・ソウザ選手などです。
ちなみに、朝倉未来選手のセコンドとして知られる弁護士の堀鉄平先生は、現役時代のライバルでした。

柔術の特徴は、柔道やボクシングに比べて、瞬発的な動きはそれほど要求されず、技の正確性が重視される点です。そのため、肉体的な才能よりも、練習量やコツコツ継続する力が、実力に結びつきやすいです。
そして、指導者として選手を見ていると、強くなる人はすぐわかります。
それは、「課題を設定して練習に取り組んでいる人」です。

「課題意識の有無」が差を生む

柔術の練習は大きく分けると、技の打ちこみと実戦形式のスパーリングがあります。
スパーリングは試合と同じルールで技をかけ合うので、練習試合のようなものです。一本５分で相手を交代するのが一般的です。
そうした試合で勝つには、二通りの方法があります。一つは攻撃を強化し、かける技の成功率を上げることです。もう一つは、防御力を高め、相手の攻撃をシャットアウトすることです。

強くなる人は、一本ごとにテーマを設定しています。たとえば、自分より実力があって攻撃が強い人と組むときは、ディフェンスに徹して少しでも長く守れるよう防御の練習をします。
経験が浅く、実力的に無理せずギブアップを取れる相手に対しては、なるべく力を抜いて正確に技をかける練習をします。
そして、練習後には振り返りの時間をつくり、設定したテーマに沿って課題が解決できたかを考えます。
設定した課題を実戦形式の練習で試し、練習後に次に生かせる方法を考えるので、成長のサイクルが効率的に回ります。
これは、ＰＤＣＡサイクルと同じプロセスです。

一方で、「この人は強くならないだろう」と感じる人もいます。
それは、何も考えずに漠然と練習している人です。
一番わかりやすいのは、初心者と組んだときの対応の仕方です。経験の浅い相手と練習する場合は、防御が弱いので、かけた技が決まるのは当たり前です。普段どおり攻撃したら、一方的に技を決めるだけの練習になります。防御の弱い相手に対しては、パワーとスピードがあれば、精度が低くても技が決まります。
結果、試合で使えるレベルになっていなくても、「この技は決まる」と勘違いすることになります。当たり前ですが、実際の試合では、自分と同レベルの実力を持つ相手と戦うことになるため、精度の低い技は決まりません。

そのため、初心者と練習する場合は、力と速度を抑え、技の精度を高める練習が効率的です。
力まかせに技をかけるのは相手にケガを負わせる原因になり、自分にとっても逆効果です。そのような練習をする人はなかなか強くなりません。強くなる人と強くならない人の違いは、「課題意識」です。練習にかけられる時間は有限です。
練習時間を意義あるものにできる人が成長するのは当然のことです。