どんな部下にも「最適な仕事」を振るための管理術

部下が思うように動いてくれないのは、“仕事の任せ方”が下手なせいかもしれません(写真:kouta/PIXTA)
部下が思うように動いてくれない。手取り足取り教えている時間はないし、自分でやった方が早いので、つい自分で動いてしまう……。そんな悩みを抱えているなら、それはリーダーであるあなたの“仕事の任せ方”が下手なのかもしれません。
リクルートグループの元社長で現在は経営者塾を主宰する中尾 隆一郎氏は、「大半の人がマネジメントスタイルを勘違いしている」と指摘します。
そこで今回は、中尾氏に、最適な業務の割り振り方が見える化できる3つのツールを教えてもらいました。
※本稿は『1000人のエリートを育てた 爆伸びマネジメント』より一部抜粋・再構成してお届けします。

仕事を割り振る際に有効な3つのツール

リクルートには、WCM(Will-Can-Must)という考え方があります。リーダーは、メンバーのWill(やりたいこと)とCan(できること)を把握して、会社が求めるMust(やらなければいけないこと)をつなぐという考え方です。

人はやりたいことをやるときに成果を出す。つまり、WillとMustをつなぐことが重要だと考えているのです。

また、人はできることが増えるのは嬉しい。そしてできるようになると、それがやりたいことになる。つまりCanがWillに変わる考え方でもあります。

このWCMには、汎用性が比較的あります。

これを踏まえて、リーダーがメンバーに仕事を割り振る際に有効なツールを3つ紹介したいと思います。

①MAT:業務(ミッション)と担当者の割り振りを考えるツール:WとCをMとつなぐ
②30MR:担当業務を担当がどの程度できるか確認するツール:Cを確認する
③9BOX:上司の関与の仕方を確認するツール:WCでMをつないだ後のモニタリング

これを活用して、事前準備でメンバーの仕事の割り振りができれば、PM(プロジェクトマネジメント:仕事の段取り)としては完璧です。それぞれのポイントを説明しましょう。

① MAT:業務を誰に割り振るかの原案を考えるツール

MAT(Mission Assignment Tool)は、私が考案したツールで、頭文字を取って、マットと呼んでいます。ここでの“Mission”とは、メンバーが担当する業務、前述したWCMシートでの会社から与えられた仕事であるMust(やらなければいけないこと)を指します。

MATは、組織の業務(ミッション)設計をするためのツールです。業務設計というと難しそうですが、エクセルやスプレッドシートで作るシンプルな表です。シンプルなのに活用しやすいパワフルなツールなのです。

具体的なMATの作成方法は、次の3ステップです。

1.表側(ひょうそく)(一番左側の縦の列)に主要業務を記載します。
2.表頭(ひょうとう)(一番上側の横の列)にチームメンバーの名前を記載します。
3.業務とチームメンバーの交点に、業務シェアを記載します。

この業務シェアは、担当するチームメンバー それぞれの工数(労働時間)全体を100%とした場合、 そのミッションに何%を使う計画なのかという割合を記載します。メンバーの顔を思い浮かべてWill(やりたいこと)とCan(できること)を意識しながら誰に担当してもらうのかをイメージしながら作成します。

「この業務をチャレンジしてもらおう」など、少し背伸びしないと実現できない業務を与えるのが重要です。

画像:『1000人のエリートを育てた 爆伸びマネジメント』<P.171>

●MATの効果1 業務ごとに必要な工数、スキルを確認し、見える化できる