なぜか「評価される人」は話の中身が明らかに違う

コピーライターが言う、意見を堂々と伝えることができるコツとは(写真:ふじよ/PIXTA)
「会議で意見を求められても、うまく答えられない……」「面接で自分の思いをうまく言葉にできない……」「あの人は何であんなに堂々と話せるんだろう……」。コミュニケーションに悩むビジネスパーソンは多い。
そんな方は、「言語化力」を鍛えることが重要です。なぜなら、コミュニケーションの本質は「言語化力」にあるからです――世界三大広告賞ほか20以上の受賞歴のある電通コピーライターの荒木俊哉氏は言います。同氏の新刊『瞬時に「言語化できる人」が、うまくいく。』から一部抜粋、編集してお届けします。
 

「伝え方」を学んでも「言語化力」は身に付かない

会議、プレゼン、報連相、企画書、資料作成……。ビジネスのさまざまなシーンで「言いたいことはあるのに、うまく言葉にできない……」と悩む人が多くいます。

最近、そんな「言語化力」に対する悩みを、実は多くの人が抱えているのかもしれないと私自身が感じるようになりました。特にそれを強く感じるのが、本屋さんを訪れたときのことです。

ここ数年、本屋さんの棚には「伝え方」に関する実にさまざまな書籍が並ぶようになりました。いわゆる「コミュニケーション本」と呼ばれる類の本です。もしかしたら、あなたも一度はそういう本をお読みになった経験があるかもしれません。もし読んだことがあったら、果たしてどんな感想をお持ちになったでしょうか?

誤りを恐れずにいうと、私は「伝え方」に関する本では、あなたが抱えている「言語化」に対する本質的な悩みには応えることができない、と考えています。なぜなら、「言語化」と「伝え方」はまったく別のスキルだからです。

「言語化」と「伝え方」はまったく別のスキル。そのことをご理解いただくために、そもそも「言葉を使ったコミュニケーションの本質」について触れる必要があります。

コミュニケーションとは、そもそも「何を言うか」と「どう言うか」に分解することができます。たとえば、

● 話の最初に「恐縮ですが、」と付ける
● 「勉強しなさい」より「一緒に勉強しよう」と言う
● 「まるで○○」と例え話を出す
 

などは、物事を「どう言うか」の話です。前置きを置いたり、語尾を変えたり、例えてみたりということはありますが、「言う“内容”」そのものが変わるわけではありません。この「どう言うか」のためのスキルが「伝え方」です。

一方で、私たちが何か言葉を発する際、「どう言うか」を考える前に、そもそもの「言う“内容”」を考えるはずです。この「言う“内容”」こそが「何を言うか」であり、そのためのスキルが「言語化力」です。

仕事の評価は「どう言うか」より「何を言うか」で決まる

「伝え方」を学んでも「言語化力」が身に付かない理由がわかっていただけたでしょうか。

この2つはコミュニケーションの中でも、別の工程のためのスキルなのです。「どう言うか」のスキルをいくら身に付けても、「何を言うか」そのものをよくすることはできません。

では、「何を言うか」と「どう言うか」、どちらが大事なのでしょうか。このことを、ある会議の様子を例に取りながら、より丁寧にご説明したいと思います。あなたが主人公です。あなたが「意見を聞く側」になったと仮定して、架空会議をしてみましょう。

架空会議・社内編
会議内容:新商品の販促ポスターデザイン検討
出席者:あなたを含めて4名
※ポスターデザインが2種類並んでいる

テーブルの上には、今度発売する新商品の販促ポスター案が2つ並んでいます。あなたはこのチームのリーダーです。チームメンバーにどちらのポスター案がよいか意見を聞いていきます。