「メルカリ・100均が人気」という激安日本のヤバさ

しかし、日本では中流以上に該当する人々でもリサイクルショップでものを買わざるを得ない状況になってきています。つまり、教育レベルや教養は中流のままですが、経済的にはだんだんと下流に転落しているということなのです。

「インフラ崩壊危機」を迎えている

日本の貧しさを表しているのは「価格」だけではありません。これ以外に、日本の没落具合を顕著に表している現象があります。

それは、日本のインフラがどんどん劣化していることです。

日本では最近、ずいぶんとひび割れた道路が増えました。昔は舗装されたばかりの道路が多かったのですが、ここ20年ばかりは老朽化してそのままになっている道路も少なくありません。歩行者が段差に取られて転倒しそうになっているところもよく目にします。

また、路肩や中央分離帯にも雑草が生え放題の地域が増えてきました。これは欧州の豊かな国だとあまり見られないことです。こういった国では、雑草の処理や街路樹の手入れなどのメンテナンスも細やかにやっているので、日本のように荒れていません。それも、中心地から離れた郊外の地域でもやられているのですから驚くべきことです。

一方、経済が停滞しているイタリアやスペイン、ギリシャなどの国だと話は変わります。道路はひび割れたところが増え、雑草が生え放題で街路樹はろくに剪定されていません。最近の日本は、欧州の貧乏な国に近づいてきているということでしょう。

しかも、これが見た目のみの話であれば、「見栄えが悪い」というだけですが、実際には深刻な事態に陥る危険性があります。

公共工事が行き届かず、大規模な修繕工事が行えないと、道路が陥没したり、陸橋が落ちたりといった事態が起こるようになります。また、河川の堤防などのメンテナンスが不十分だと、洪水や土砂崩れが頻発する恐れがあります。

日本でも最近、あまり耳にしなかったようなインフラのトラブルや事故が増えていると思う人もいるのではないでしょうか?

バブル崩壊後でもまだ豊かさの余韻があった1990年代の日本は次々に新しいインフラをつくっていました。しかし、90年代の半ばごろから今に至るまで、ほとんどメンテナンスをしていない道路や陸橋が相当あるのです。

同じ頃には、インフラだけではなく「〇〇文化振興センター」などという名前の箱物も多くつくられました。これらの施設がメンテナンスもろくにされず放置されていることを考えると、それよりもはるかにお金がかかるインフラの整備が今後も進まないことは想像に難くありません。

国土交通省の発表によると、日本では建設後50年を超える橋梁は現在全体の約4割を占めていて、2033年には7割以上になる見通しです。

老朽化した橋を直すことができず、不便を強いられている人たちもいます。

たとえば、茨城県高萩市にある「菖蒲橋」は2016年に腐食が原因で橋の一部が落ちてしまいましたが、いっこうに修理が行われず、通行止めの状態が続いています。住民たちは菖蒲橋を使えないため、遠回りを余儀なくされています。また、壊れた状態のまま放置しておくと、台風の際に橋ごと流されるなどの危険があると不安の声をあげている人もいます。

このように、修理することも撤去することもできない橋や道路は不便なだけではなく、新たな被害の原因となる恐れもあります。こんなことは、自治体もわかっているはずですが、予算の関係上、対応することができていないのです。

100円ショップに大きな衝撃

2022年、イギリス人の私の夫は10年ぶりに日本を訪れました。彼は日本の現状を見て、大きな衝撃を受けていました。

街を歩けば、100円ショップや激安店が目立ち、看板には介護施設や高齢者向けの医療サービスの広告だらけになっているのです。