コミュ力高い人が実践「否定的な意見」の伝え方

相手の面子を立てつつ、本音の伝えるのは難しい……。番組制作側として芸人さんに「面白くない」と伝えなくてはならない場合、あなたならどうしますか?(写真:すとらいぷ/PIXTA)
「クライアントへのいい指摘の方法がわからない……」「うまく要望が伝えられない……」
 
ビジネスパーソンの皆さんの中には、上記にような悩みを持つ方も多いのではないでしょうか。相手の面子を立てつつ、本音を伝えるのは、なかなか難しいものです。
 
本記事では『国分太一 Radio Box』『レコメン!』などの番組で知られる人気構成作家・永田篤さんの初著書『だから僕は、しゃべらない』から一部抜粋し、相手を気遣いながらコミュニケーションを取るコツをご紹介します。
 

芸人さんに言ってはいけない「〇〇」

会社に勤めていると、禁句な一言ってありますよね。芸能界でも、言ってはいけない言葉が存在します。たとえば、芸人さんに「面白くない」と言ってはいけません。

「面白い」は、芸人さんの一番大切な部分、全力で追求していることで、最も尊重すべきところです。しかし、この「面白い」という感覚は、受け取る人の感性によってものすごく変化します。仮に僕が面白くないと思っても、面白いと思う人がいるかもしれません。いや、実際たくさんいると思います。

そして、現場で「面白くない」と本人に伝えることでどれだけ空気が悪くなるのかを想像すると、とてもじゃないですが言えません。言いたくないです。

でも、放送を自分なりに「面白い」ものにするためには、どうしても指摘をしなければいけない……。そんなときの僕の行動を紹介します。

「この番組を聴いているのはこういう人なので、ちょっと伝わりづらいかもですね」

「ちょっとその表現だと嫌な思いをする人が……」

「僕はいいと思うんですけど、ご時世的にちょっと……」

など、ニュアンスで「ちょっと」といった言葉をつけ加えながら、自分ではない何かのせいにするんです。なんとか「面白くない」とは言わずに、話の方向を変えようとします。そうすると、芸人さんも空気を感じて、「この話はダメなんだ」と認識します。

100%の納得じゃないと思いますが、ひとまず、構成作家である僕がその話に乗っていないということは確かなので、みなさんだいたい違う話を選択します。

あと、過剰な演技で持ち上げるというボケをして、イマイチというのを伝えるということもよくやっていました。

「面白い! さすがです! いただきました!」

「すごい! 天才です! 面白すぎる!」

「これで売れちゃいますね! あっ、もう売れてましたか!」

などなど。これはもう、ある程度関係性がある方との間でのおふざけです。みなさん、僕が本気で言っていないという空気を感じ取って、違う話にスライドします。

「面白くない」という言葉は、もうケンカ別れしてもいいと思う人くらいじゃないと僕は言えないです。直接言ったことはないんじゃないですかね?

面白いときは大爆笑で伝える

逆に、面白いときは打ち合わせなどでも演技ではなく僕も大爆笑しているので、芸人さんはリアクションを見て、この話はイケる、イケないを判断していると思います。

まあでも、構成作家のリアクションが悪くても、最終的に放送で言うか言わないかはパーソナリティーの判断です。優秀なパーソナリティーさんは、そのあたりの感覚もとても鋭いです。話してみてイマイチだったらそれはそれで勉強になったでしょうし、長い目でみて次の放送に生きればと思っています。

人と自分の感性は違うということを意識する

笑いのツボほど、人によって変わってくるものはありません。対象が多ければ多くなるほど、全員を笑わせることは難しくなっていくと思います。