アクセンチュアvs.電通、「異業種バトル」の第二幕

あるマーケティング企業の幹部は「アクセンチュアは戦略性やビッグデータを用いた分析力、電通は『電通ブランド』やタレントのキャスティング力と、強みが異なる。地域プロモーションなどの大型案件では、アクセンチュア・電通と同時にぶつかることもある」と明かす。

前出とは別の電通グループ関係者も、「最近の競合意識はアクセンチュアに向けられていて、博報堂などへの意識は薄い」と話す。

国内のコンサルシフトのカギを握るのが、2016年にデジタルマーケティング専門会社として設立した子会社・電通デジタルだ。同社はデジタル広告のイメージが強いが、川上のDXコンサルなども展開しているため、川上から川下までソリューションを提供する「総合デジタルファーム」としてリブランディングを図る。

自社内はもちろん、グループ内の戦略コンサルと連携することで、一気通貫の案件を成立させることも可能だ。電通デジタルの瀧本恒社長は「コンサル会社であれば(プロジェクトに参加する)人数や時間で価値が測られがちだが、電通グループならば有名なクリエーターが経営者に伴走するなど、(付加価値の物差しが)別の概念になる」と、アクセンチュアとは真逆の強みを訴求する。

電通デジタルの瀧本恒社長
電通グループが進めるコンサルシフトの先頭に立つ、電通デジタルの瀧本社長。2030年までに人員を倍増させる計画だ(撮影:梅谷秀司)

目下の課題は人員規模の拡大だ。現在の約2500人という社員数では、既存の案件を回しつつ、超大手企業からの大型案件を請け負うことができないという。そのため2023年7月には、2030年までに人員を5000人へ倍増させる計画をぶち上げた。

足元ではAI対応にも力を入れる。2023年4月にグループ内のAI開発企業・データアーティストと合併し、10月5日には「∞AI(ムゲンエーアイ)」というブランド名の下、デジタル広告やチャットボット、バーチャルヒューマン・オウンドメディア構築といったAIサービス群を発表した。

電通デジタルの山本覚執行役員は「単品ではアクセンチュアやサイバーエージェントと重なるサービスもあるが、クリエーティブ関連のサービスやこれらの一体提供という面では差別化できている」と自負する。

第2ステージ突入で極まる構図

電通グループが中期経営計画で「顧客企業の事業変革」、つまり戦略策定も含めたコンサル機能を注力領域の1つに掲げ、ドリームインキュベータに出資する一方、アクセンチュア傘下のドロガファイブが東京に拠点を構えたのが2021年。ここから明確に始まった両社間の異業種バトルは、今まさに“第2ステージ”に入ったといえる。

ただ、電通デジタルが強化を急ぐ採用面では、人材会社幹部から「上流のコンサル経験者を奪い合うとしたら、アクセンチュアは相当の年収を提示してくる。仮に電通デジタルが年収を上げたとしても、そのさらに上を出せるはずだ」という声が上がる。

アクセンチュアはAIに関しても、2022年末にビッグデータ解析やAI関連の開発・コンサル企業であるALBERT(アルベルト)を買収。競争軸の磨き上げへ、トップスピードを保っている状況だ。

この領域には伊藤忠商事など、アクセンチュア・電通以外の陣営もなだれ込んでいる。異業種バトルの第二幕は、熾烈さを極めそうだ。