「レジの行列が早く進む方」を見分ける意外なコツ

これが100%を超えると、レジでいくらお客さんをさばいてもさばいても行列が長くなっていく状態、ということになりますが、普通はこの稼働率は100%未満になっているはずです。

あるスーパーマーケットの稼働率を想定

例えば、以下のような状況を想定します。

あるスーパーマーケットの夜8時台では、平均5分間隔でランダムにお客さんが会計にくる。稼働しているレジの台数は1台であり、1時間で30人の会計ができる。この状況のときの稼働率はいくつでしょうか?

A:1時間のうちに、お客さんが何人来るか→60÷5=12人

B:1時間のうちに、何人のお客さんの会計ができるか→30人

この時の稼働率は、 A/B=12/30 = 0.4

稼働率は、40%[夜8時台では40%(24分)レジが稼働している状態]ということになります。稼働率が100%未満ということは、お客さんが並ぶペースよりもレジの処理能力のほうが高いので、一時的に2人以上並んでも「いずれ、行列は収まる」という状態です。

あなたはそのスーパーの常連で、仕事帰りに夕飯を買って帰るのが日課です。「夜8時頃に買い物に行くと、レジには1人並んでいるかいないかくらいで、空いていて快適だな」と思ったとします。この感覚は、正しいかどうか調べてみましょう。

待っている人の人数は、

(A/B)/ {1-(A/B)}[人] 

で、計算できます。

先ほどの計算で、A/B=0.4というのがわかっているので、それを代入すると、

=0.4 /(1-0.4)

=2/3[人]

となります。

「どうしてこういう計算をするのか?」ということは、今は置いておきます。2/3[人]は「自分の前に何人待っているか?」を表します。「この時間帯にスーパーのレジに行った場合、1人並んでいるかいないかくらいの混み具合」ということになります。

レジを待つ時間はどう計算する?

そして、このときのレジを待つ時間は、「待っている人の人数×平均レジ通過時間」で計算できます。

平均レジ通過時間は、 (1[時間])/(B:1時間のうちに、何人のお客さんの会計ができるか) で計算できますので、

1/B=1/30[時間]=2[分] 「待っている人の人数×平均レジ通過時間」に当てはめると、レジ待ち時間が計算できます。

2/3[人]×2[分]=4/3[分]=80[秒]

「夜8時台にこのスーパーに行くと、レジに1人いるかいないか(2/3人)くらいの待ち人数で、自分の会計をしてもらうまで平均80秒待ち」
という解釈で、先ほどの感覚は合っているといえるでしょう。

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レジ待ち時間を決めるのは、「そのレジにお客さんがどのくらい頻繁に来るか(A)」「レジ係の手際の良さ(B)」ということがわかりましたが、多くの人は「どのレジに並ぶか」を考えるとき、まずは「そのレジに並んでいる人数(列の長さ)」を見て、どこに並ぶかを決めていると思います。

しかし、大抵は「待ち行列はどこも大差ない」はずです。レジの処理速度が早ければ、その分待ち人数は減っていくため、たくさんの会計処理ができるところほど人が流れて頻繁にお客さんが来ます。

つまり、「そのレジにお客さんがどのくらい頻繁にくるか(A)」ということも、「レジ係の手際の良さ(B)」に依存しているといえるでしょう。その時点での「レジごとの待ち行列の長さ」を見るよりも、「どこがスムーズに回転しているか」を見極めたほうが、早くレジを通過できます。