岸田首相の経済「無理解」に経済界で危機感…米国経済のために日本企業へ規制強化

 そんな「経済安保利権」には、ある巨大組織も獲得を目指して活発に動いている。全国で29万人以上の職員がいる警察だ。現在、警察庁と都道府県警察は「経済安全保障コンサルティング」に取り組む方針を固めて、大企業などに向けて情報提供や相談受付をスタートしている。警察組織の秩序維持に必要不可欠な「天下り先確保」に経済安保を利用しているのだ。

 この利権の先鞭をつけたのが、元内閣情報官で国家安全保障局長も務めた北村滋氏だと霞ヶ関では囁かれている。「日本のCIA長官」などと異名をとる警察官僚の北村氏は、安倍晋三元首相からの信頼が厚いことで有名だったが、退官後、岸田政権で経済安保法制の有識者会議に重用され、「経済安保の仕掛け人」などと呼ばれている。

「岸田首相と北村氏は開成高校の一期違い。国会議員と官僚による開成OB会“永霞会”を通じて親交を重ねていました。岸田首相が開成人脈を重用しているのは永田町では常識。つまり結局、経済安保も“お友だち案件”だったというわけです」(全国紙政治部記者)

米中経済戦争のコマのひとつ

 だが、その一方で、岸田首相が日本経済に悪影響しかない「経済安保」にここまで執着するのは、もうひとりの“お友だち”のためだという話もある。ほかでもない、アメリカのバイデン大統領である。

「日本で今進められている経済安保の中身を見れば、これが日本経済を守るためのものではなく、アメリカ経済を守るためのものなのは明らか。今、米中は対立をしているといわれているが、この2つの大国は経済的に切っても切れないので、本格的な対立や分断などできるわけがない。そこで、アメリカとしては“属国”をつかって中国にプレッシャーをかけている。経済安保が日本の産業を守る、などとおめでたいことを言っている人もいますが、米中経済戦争のコマのひとつにすぎないのです」(在米ジャーナリスト)

 就任直後、マスコミは「岸田首相は永田町でいい人だと評判です」と盛んにヨイショしていた。しかし、もしかしたらそれは利権を貪る人たちや、属国として利用するアメリカにとって「操りやすくていい人」ということなのではないか。

(文=長谷十三)