JR北海道、ローカル線廃止で輸血用血液の供給途絶リスクか…意外な血液輸送の実態

 各供給施設から病院への配送方法は3通りあり、一つは1日3便程度の定期配送、2番目は臨時配送、3番目は緊急配送です。定期配送と緊急配送は日本赤十字社の自動車を用いて行っており、緊急配送では赤色警告灯の点灯とサイレンの吹鳴を行った緊急走行によって届けられます。

 臨時配送では日本赤十字社の自動車のほか、宅配業者、公共交通機関、主にバスを利用して輸送されることがあり、JR北海道も必要に応じて旅客列車に載せての輸送を請け負っているのです。また、各供給施設で輸血用血液製剤が不足した場合は、日本赤十字社北海道ブロック血液センターから各供給施設への緊急需給調整を実施しなければならないので、この場合も特急列車が利用できるのであれば載せるようにしています」

 では、路線廃止によって輸送に支障が生じる懸念はあるのだろうか。

「以上からもわかるように、輸血用血液製剤輸送でJR北海道が果たしている割合は高くありません。函館事業所における少々古い2009年度の実績でも、緊急需給調整を実施しての輸送が184件あったうち、JR北海道が担当したのは4件であったそうです。JR北海道が同じ年度に輸送した輸血用血液製剤の数量や売上高はわかりません。輸血用血液製剤を含む小荷物輸送について紹介しますと、輸送数量は1万個で、1174万7000円の売上を計上しておりました。最新の統計となる2020年度では輸送数量が減って2000個、売上高は225万2000円です。

 結論を言いますと、仮にJR北海道が路線を廃止にしたり、特急列車の運転を打ち切ったとしても輸血用血液製剤の輸送にはほとんど影響を及ぼさないでしょう。輸送手段の一つが姿を消すにすぎず、他の交通機関を使用しても十分に運べるからです」

(文=Business Journal編集部、協力=梅原淳/鉄道ジャーナリスト)