副業で月55万円の収入を得る人の実態…意外なカギは「本業・趣味・採算度外視」

本業で得た経験や実績を活かす副業にするのが手っ取り早い

 3つのカテゴリーを紹介したが、そのなかでもさらに細分化されるため、どれくらい年収を上げたいか、また将来的な発展性を期待するかによって、選ぶべき副業は異なってくる。

「月10万~20万円ほど稼ぐとなると生活は安定し、日々の生活費用や老後の貯蓄も安心できますが、いきなりそれだけの額を稼ぐことは難しい。したがって、今の年収にプラス10~15万円ぐらいの副収入、つまり月に1万円ほどの収入が発生するイメージで副業を始めるのがハードルも低めでおすすめです。これぐらいの金額であれば、本業以外の時間を労働系の副業に充てれば稼げると思いますが、先ほどお伝えしたとおり労働系は劇的に収入が上がるという発展性がありません。

 一方、ネット系のようにスキルを伸ばせる副業に取り組んだり、投資系のようにレバレッジを効かせてリスクがある代わりにリターンも多く望める副業に取り組んだりすれば、うまくいけば数年後の収入はガラリと変化します。ネット系の場合は特にですが、最初のうちはあまり目先の収入は気にせず、あくまで趣味の延長線上であるといった感覚で取り組んでみるのがいいと思います。楽しくやっていくほうが長続きしますし、精神的な苦痛も減るので、初期段階は採算度外視で始めてみるのがおすすめです」(同)

 そういった観点から考えるなら、趣味から派生した副業というのもアリだという。

「洋服が好きであれば、投稿主と同じようにアパレルの物販を始めたりするというのもいいと思いますし、カメラが趣味で美しい景色を撮るのが好きであれば、撮った写真をフリー画像サイトにアップするというのもいいと思います。自分の好きなことが仕事につなげられるかどうか、考える価値は充分あります。

 ほかにも、テクノロジーの転換期などに、自分の趣味の知識の情報が求められる波が来れば、そういった知識を欲するニーズを突いた解説ブログや解説YouTubeなどを立ち上げれば、その情報発信が副業になることもあります。過去にはマイクロソフトの『Windows 95』が登場した頃に、詳しい人が非常に重宝されたことがありました。手前味噌ですが私もソニーのスマホ『Xperia』が登場したときには、知りうる知識をまとめた解説ブログを立ち上げて、かなりのPVを稼いで収入にすることができました。テクノロジーの転換期にその界隈の情報に敏感になっておくと、思わぬビジネスチャンスを掴むことができるかもしれません」(同)

 とはいえ副業で月収50万円以上を稼ぐとなると、本業以外の時間のほとんどすべてを副業に注がなくてはいけないのではないか、という懸念もあるだろう。だが、プライベートを犠牲にして全可処分時間のリソースを割くようなことをせずとも、高額を稼ぐことは不可能ではないという。そのヒントは本業にある。

「本業で得た経験や実績を活かせることを副業にするのです。たとえば、自分の専門分野についてのセミナーを開催したとして、受講料5000円で100人動員することができれば50万円の売上高となります。もちろんトークスキルが必要ですし、場所代や運営スタッフ代といった経費がかかるので丸々収入になるわけでもないなど、ハードルは決して低くはありません。しかし、本業でしっかりと実績を積んでおけば、不可能なことでもないわけです。

 ほかにもExcelが得意な方であれば、X(旧Twitter)やYouTubeを通じて情報発信していき、万単位のフォロワーができれば、書籍化するなどして培ってきた情報を売って収入を得る方法もあります。このように、まったく未経験のジャンルの副業をゼロから始めるよりは、手っ取り早く本業の知見を活用した副業を始めるというのもひとつの手でしょう」(同)

本業の会社が「副業禁止」の場合はどうすればいいのか

 ビジネスチャンスは固定観念に縛られないところからも発生するので、常に視野を広くしてほしいと染谷氏。ただ、副業を始める際には必ず知っておくべきこともあるという。

「大前提として、勤め先の就業規則は必ず守ったうえで副業してください。副業はもはや社会的にも広く認められるようにはなってきましたが、それでもなお禁止にしたり、活動を制限したりする企業も少なくありません。勤め先に反抗したり、バレたりするとデメリットが大きいので、副業禁止の場合は潔くあきらめるのがいいと思います。もし会社が副業を渋る場合は、むしろ勤め先にとってもメリットがあるような理由を作っていくのもいいでしょう。たとえば、セミナーを開催することで社外のコネクションを作る、業界内の発信力を強めるといった口実があれば、副業禁止の会社でも特例でOKしてくれるというケースもありますからね」(同)

(取材・文=A4studio/協力=染谷昌利/MASH 代表取締役、ウェブコンサルタント)