安全認証制度で国内IT市場が変わる…クラウド選びは「安さ」から「説明できる信頼」へ

 三つ目は意外に思われるかもしれない。だが「使いやすく、やめやすい」ことは、解約しにくいことより長期的な信頼につながる。

「発注側の担当者が本当に知りたいのは、何かあったときに誰がどう動くかです。認証マークは入口にすぎません。その問いに具体的に答えられるベンダーが、最後に選ばれています」(新實氏)

「守り」の制度を「説明力」の競争につなげる

 経済安全保障の制度は、本来はリスクを抑えるための「守り」の仕組みだ。それでも、「安さ」ではなく「説明できる信頼」が比べられる市場が広がれば、国内のIT企業には強みを示す場が増える。

 ただし、その機会は自動的にやってくるものではない。米国のメガクラウドとの競争は続き、機能や価格の差が消えるわけでもない。認証を「お墓付き」として待つのではなく、自社の透明性を積み上げる契機として使えるかどうか。制度の詳細が示されるまでの数年間の動きが、その後の立ち位置を左右しそうだ。

(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=新實傑/サイバーセキュリティコンサルタント)

【主な参照データ・出典】
日本経済新聞「データセンター・クラウド、国が安全認証へ」(2026年10月19日)
セキュリティ対策Lab「政府、データセンター・クラウドに安全認証制度を創設へ」(2026年10月20日更新)
三菱総合研究所「日本:デジタル関連収支(2025年)」(2026年2月9日)
さくらインターネット ニュースリリース(2026年3月27日)
デジタル庁「ガバメントクラウド」
総務省「令和7年版 情報通信白書」データセンター、海底ケーブル等
ワット・ビット連携官民懇談会 取りまとめ1.0(2025年6月)
総務省「令和8年度ワット・ビット連携関連実証」採択結果(2026年7月15日)
英国NCSC「Use of Russian Technology Products and Services Following the Invasion of Ukraine」(2022年3月)