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守りたかったから、嘘をついた。皇帝の、誰にも言えない贖罪。
母の腹を食い千切って生まれた、“呪われた皇子”。
宮中の誰もがそう噂し、恐れ、遠ざけた。
だが、その噂には誰も知らない真実があった。
息子を玉座の争いから守るため、皇帝・貞桓字が自らの手で仕組んだ、たった一つの嘘。
急な石段の上に建てさせた宮も、恐ろしい逸話も、すべては九按子を生かすための贖罪だった。
誰よりも息子を想いながら、誰よりも不器用にしか愛せなかった父。
そんな父の秘密も知らぬまま、九按子は名代として恭国へと旅立つ。
一方、戸籍も身寄りもないまま大工仕事だけを頼りに生きてきた少女・蓮は、皇帝との出会いをきっかけに、これまで知らなかった世界へと足を踏み入れていく。
誰にも望まれなかった皇子と、居場所を持たなかった少女。
それぞれの場所で動き始めた運命は、やがて交わっていく。
これは、噓と沈黙の裏に隠された、不器用な愛の物語。
――英雄譚でも、転生でも、無双でもない。それぞれに与えられた運命を、不器用に生きる者達の記録。
文字数 178,112
最終更新日 2026.09.18
登録日 2026.08.08
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