『恩人』
県内屈指の進学校にて、三年五組の担任を勤める男性教師。眉目秀麗かつ温厚な性格で生徒からの人気も高いのだが、とにかく生徒を最優先という方針が仇となり、恋人にはあっさりと愛想を尽かされ振られてしまう。それでも方針を変えられないのは、かつて彼を救ってくれた恩人が深く関係していて――
『福引きとプレゼント』
中学二年生の男子生徒、浦沢琉人は、昔から懇意の間柄である西条家の草むしりを手伝うことでもらえる福引き券を手に、足繁く福引き所へ通い挑戦を重ねる。そんな彼には、どうしても欲しい景品があって――
『最後の欠片』
小学四年生の少年、陽葵はクラスメイトで親友の少女、椿希と離れ離れになってしまう。父親の転勤に伴い、家族で別の町へと移転してしまうから。
すると、別れの際に椿希から手渡されたのは可愛い包装紙に包まれた長方形の箱。そして、自身のことをまだ覚えていたら、五年後の今日それを開けてほしいと告げられ――
それから、ちょうど五年――彼女の言葉通り、極限まで高まった鼓動の中ゆっくりと箱を開く陽葵。すると、入っていたのはジグソーパズルで――
文字数 20,020
最終更新日 2025.05.20
登録日 2025.05.20
県内随一の進学校、泉遥高校の女子生徒、皆川優月の視線の先には、彼女のクラス――二年一組の担任を務める男性教師の姿が。彼は芳月千蔭――眉目秀麗かつ温厚な性格で、学年問わず数多の生徒から絶大な人気があり、そして今も壇上の辺りにて数多の生徒に囲まれていて。だけど、そんな彼の表情にはいつも何処か翳があり――
文字数 36,691
最終更新日 2025.05.18
登録日 2025.05.16
律明高校に通う一年二組の女子生徒、八雲李星は三年四組の男子生徒、外崎玲里に交際を申し込むことを決意する。だけど、校内随一の美少年たる玲里にはある噂があって――
文字数 55,515
最終更新日 2025.05.08
登録日 2025.05.05
自殺願望を抱きながらも、自ら命を絶つことも出来ず暗鬱とした日々を送る青年、香椎冬樹。常日頃からそんな雰囲気を纏っているせいか、アルバイト先でも周囲から距離を置かれる冬樹なのだが――どうしてか、そんな彼に甚く親しみを以て接する後輩がいて。その後輩の名は藤島陶奈――冬樹の三つ歳下の、見目麗しい女子大生で。
すると、そんなある日、冬樹は陶奈からある相談を受けて――
文字数 52,007
最終更新日 2025.05.06
登録日 2025.05.03
『愛情の行く末』
魔女狩り――15世紀に端を発したとされる、欧州の国家とキリスト教会により行われた異端迫害であり、魔女と告発された人々は宗教裁判にかけられ、その多くが火刑とされた。
九歳を迎えたばかりの赤髪の少女、ヘレナも家族共々告発の対象となり、彼女だけはどうにか命からがら生き延びた。だけど、大切な家族の命を奪われたヘレナに生きる希望など一縷も見出だせない。自身も家族のもとへ――そんな思いが強く脳裏を過ったその時だった。絶望の淵にいたヘレナへと救いの手を差し伸べたのは、天使のごとく穏やかな微笑みを浮かべる青年で――
『リスタート』
15歳の少女・エルマは幼い頃、偶然出会った美男子のソレアに引き取られ一緒に暮らしてきた。いつも優しいソレアに、いつしか彼に対し特別な好意を抱いていることを自覚する。だけど、彼にもまた特別な想いを寄せる相手がいて。
すると、そんなある日のこと――ふとエルマの視界に入ってきたのは、それまでそこになかったはずの狭い路地。怪訝に思いつつも、なんだか惹かれる思いで入っていくと、抜けた先にあったのは何とも不思議なお店で――
『悪魔の口付け』
あどけなくも妖麗な金髪の少女・メルは悪魔の子として生を享け、人々から忌み嫌われ辛く苦しい日々を過ごしていた。
だけど、ある夜のこと――心身ともに傷を抱え独り森を彷徨っていた最中、不意に出会ったのは見目麗しき一人の男性。彼はハンス――村一番の教会の牧師で、唯一メルを受け入れ護ってくれた人だった。それ以降、ハンスの保護の下、陽だまりのように優しく暖かな日々を過ごしていたメルだったが、ある日彼の下を去る決意をする。それは、ハンスの亡き最愛の女性を殺したのが、あろうことかメルの母親であるためで――
文字数 21,275
最終更新日 2025.05.04
登録日 2025.05.03