「WANT(~したい)」で合意形成できたら、次はお互いの「CAN(~できる)」を掘りましょう。「WANT(~したい)」のために、何ができるかをすり合わせるのです。できることを確認し合うことで家庭の勝ち筋が見えてきます。たとえば「家事の負担、もっと楽にしたいね」を「WANT(~したい)」にした場合、以下のような「CAN(~できる)」が見えてきます。
・夫はもっと家事・育児を頑張れる
・家事代、ベビーシッターの利用
・フードデリバリーの利用
・「褒め」があると頑張れる
「CAN(~できる)」を話し合うことで、「WANT(~したい)」の実現が具体化していきます。ただし「CAN(~できる)」だけを話していると、やたらお金がかかってしまったり、労力が過多になってしまったり、現実的でなくなってしまうことがあるので、次のステップで調整します。
「CANNOT(~できない)」を言語化するのは、現実を確認するフェーズです。ひとまず「CANNOT(~できない)」に向き合って、やれそうなことを選別していきます。
・夫は、日中・夜は仕事しかできない
・家事代行、ベビーシッターは高い
・フードデリバリーは飽きる
・「褒め」る余裕がないときもある
「CANNOT(~できない)」をしっかり見きわめ、それを言葉にできるようになると、家庭は変わり始めます。なぜなら相手の怒りの矛先が、あなたや自分自身、子どもなどから、「WANT(~したい)」の実現を阻む要因に移るからです。それまで「あなたが手伝わないから」という理由で怒っていた奥さんが、できない要因の分析に目がいくようになるのです。これができると責任追及ゲームが終わります。
「NEVER(絶対に避けたい)」は家庭だととくに重要です。こういう状況にはなりたくないよね、をわざわざ言語化し、夫婦でシェアしておくのです。
・仕事・家事・育児で疲弊している家族になりたくない
・どちらかが壊れるのは避けたい
・子育ては、できれば人に任せたくない
ここは、夫婦がチームになる強い接着剤になります。「NEVER(絶対に避けたい)」を共有できると、「相手を打ち負かす」から「家庭を守る」に目線を変えることができます。
そして初めて「MUST(~すべき)」です。ここでやっと、具体的なアクションの話をします。例としては、こんな形になります。
・夫は、朝の時間帯に家事・育児に専念すべき
・家事代行は月1で利用すべき
・フードデリバリーは週1で利用すべき
・感謝のルール化
大事なのは、「MUST(~すべき)」が罰にならないこと。「WANT(~したい)」に直結する行動として設計されることです。
30~40代の男性にとって、家庭でのリーダーシップは誤解されやすいものです。ビジネス組織のように「指示」を出すことではありません。家庭で求められるリーダーシップは、もっと現実的で、もっと地味です。そして、大きく違うところがあります。「会話」の比重が重いのです。
ビジネスの組織であれば、リーダーは「指示」をすることができます。コミュニケーションに時間をかけることなく、リーダーの一言で組織を動かすこともできます。しかし、家庭ではそうはいきません。小さなことでもじっくり話し合い、家族の感情に寄り添いながら、家族というチームを牽引していくほかないのです。
①WANT(~したい)、②CAN(~できる)、③CANNOT(~できない)、④NEVER(絶対に避けたい)、⑤MUST(~すべき)、この順番で話せるだけで、家庭は、目標を見失って互いをののしり合う「戦場」から、同じ目標に向かう「チーム」に変わります。
家族は「MUST(~すべき)」で回すものではありません。「WANT(~したい)」で向きを揃え、「MUST(~すべき)」で仕組みに落とす。それができると、家庭は驚くほど立て直せます。