「家族」というチームのつくり方

夫婦の会話がしんどくなったとき、最初に見直したいこと

Getty Images

「現在」が忙しくて「未来」が考えられない

日々の仕事に追われ、家事・育児に追われ、そのほかいろんな雑務に追われ、とにかく時間がなく、心に余裕がない。そんななかで、家族とコミュニケーションをとろうとしても、話題はいま目の前に迫っている「現在」の問題の話ばかり。
たとえば、明日やること(家事や育児など)、来週やること(週末のお出かけの準備など)、月末までにやること(諸費用の支払いなど)――そうした急ぎで解決しなければいけない事柄に気をとらわれ、もう少し先の「未来」についてゆっくり話す機会が持てない。

働きざかりのビジネスマンの多くが、家庭でそうした問題を抱えているようです。そして「忙しいから仕方ない」「子育て世帯はそういうもの」とあきらめています。
家庭を持つ皆さんも、似たような状況なのではないでしょうか。また、これは仕方がないことなのでしょうか。

結論から言うと、仕方がないことではなく、対処法があります。家庭での雑談をほんの少し工夫するだけで、自分の心にも、家族の心にも余裕をつくり出すことができ、「未来」について話せるようになり、家庭の雰囲気を改善することができるのです。
そのためのカギとなるのが――夫婦で行う「目標共有面談」です。

目標共有面談とは?

目標共有面談というのは、当連載で繰り返し取り上げてきた、1on1の4段階めのステップです。念のためそれぞれのステップを書き出してみます。

レベル5:課題鮮明化面談
レベル4:目標共有面談
レベル3:お悩み相談室面談
レベル2:火消し面談
レベル1:雑談面談

1on1において目標共有面談を行い、目標を共有することが重要なのは、それによって組織の姿勢を前向きなものに改善できるからです。
これはあくまでもビジネス組織の話なのですが、組織の一つの形態である「家族」においても、決して例外ではありません。家族で目標を共有することで、時間にも心にも余裕のないギスギスした家庭であっても、改善できると断言できます。

とはいえ、家族で目標共有するのは、ちょっとハードルが高く感じるでしょう。「え、家族で目標の話をするなんて恥ずかしい」「そもそも目標なんて考えたこともない」「目標を共有することに意味を感じない」という意見もあるかもしれません。
では、どうすればいいのでしょうか。

日本人は仕事にやる気がない

目標共有面談の家庭への導入を考える前に、そもそも目標が必要なのかという問題に向き合ってみましょう。
というのも、ビジネスの現場でも、目標の話をすると、アレルギーのような反発が起きることが少なくありません。若い方だと「お金さえもらえればいいです。目標はありません」といったドライな意見を言う人もいます。

これに関連した話ですが、働きがいについて139カ国にリサーチした調査データがあります。日本の職場で、仕事に対して熱意ある人は何パーセントくらいいると思いますか?

3人の1人の30パーセントでしょうか。
5人に1人の20パーセントでしょうか。
10人1人の10パーセントでしょうか。

これをセミナーで問うと「20パーセントくらい」と答える方が多いんですが、日本は10パーセントを切る、6パーセントくらいしかいないそうです。139カ国中の132位です。ちなみに、全世界の平均は20パーセントくらい。つまり、日本は世界でも有数の仕事にやる気のない国なのです。
部下のやる気のなさをなげく上司は多いですが、日本ではやる気がある人は6パーセントしかいないのですから、これはもう仕事にやる気がないのが普通だと考えるしかないようです。

なぜこんな状況になっているのでしょうか。私はここに、日本では、目標がないがいしろにされているという現実を見ます。
最初に、多くの家庭が「現在」に振り回されていると書きましたが、これは企業も同様です。多くの企業が「現在」のことで疲弊しているのです。そして、「現在」にとらわれると組織は弱体化します。日々の忙しさのなかで消耗していき、批判的なメンバーが増え、どんどん弱くなってしまうのです。
状況を整理すると、日本の組織は、生真面目な国民性のためか、「現在」目の前にある問題の対処に神経質なほどとらわれすぎてしまうところがあり、結果として目標を軽視し、「未来」を前向きに見れなくなっているように思うのです。

ご感想はこちら

プロフィール

高野俊一
高野俊一

組織開発コンサルタント。
1978年生まれ。日本最大規模のコンサルティング会社にて組織開発に13年関わり、300名を超えるコンサルタントの中で最優秀者に贈られる「コンサルタント・オブ・ザ・イヤー」を獲得。これまでに年200回、トータル2000社を超える企業の組織開発研修の企画・講師を経験。
指導してきたビジネスリーダーは累計2万人を超える。
2012年、組織開発専門のコンサルティング会社「株式会社チームD」を設立、現代表。
2020年よりYouTubeチャンネル『タカ社長のチームD大学』を開設。2023年6月現在、チャンネル登録者約3万5000人、総再生回数380万回。
2021年より、アルファポリスサイト上にてビジネス連載「上司1年目は“仕組み”を使え!」をスタート。改題・改稿を経て、このたび出版化。
著書に『その仕事、部下に任せなさい。』(アルファポリス)がある。

著書

チームづくりの教科書

高野俊一 /
成績が振るわない。メンバーが互いに無関心で、いっさい協力し合わない。仕事を...

その仕事、部下に任せなさい。

高野俊一 /
通算100万PVオーバーを記録した、アルファポリス・ビジネスのビジネスWeb連載の...
出版をご希望の方へ