「与信モデルの構築は開発コストをはじめとして、多くのコスト負担を伴うため、事業化に踏み切れない新興企業は多いと想定される。当社が提供する指数を活用して、与信プロセスの標準化・自動化を通じた与信モデルの低コスト化が可能であり、フィンテック誕生の後押しになることを期待できると考えている」
一方の消費者はCICの情報開示制度を利用する時に「クレジット・ガイダンス情報」の開示を希望すれば、インターネットや郵送で、自分の信用情報と併せて指数・算出理由を確認できる。
経済産業省の算出によると、国内のキャッシュレス決済比率は23年には39.3%(126.7兆円)となった。内訳は、クレジットカードが83.5%(105.7兆円)、デビットカードが2.9%(3.7兆円)、電子マネーが5.1%(6.4兆円)、コード決済が8.6%(10.9兆円)だった。経産省は「キャッシュレス決済比率を2025年までに4割程度にするという政府目標の達成に向け、関係省庁と連携しつつ、キャッシュレス決済の推進に取り組んでいる」と表明している。
この政策に対して、過剰与信を問題視する日本弁護士連合会は19年に「クレジット過剰与信規制の緩和に反対する意見書」を内閣府特命担当大臣、消費者庁長官、経済産業省産業構造審議会商務流通情報分科会割賦販売小委員会委員長宛てに提出した。意見書は「少額与信であれば多重債務に至るおそれが低いとは言い難い」と述べたうえで、次のように強調した。
「キャッシュレス決済を推進する政策方針を掲げている今日においては,少額与信のクレジットカード等の交付・付与を行う場合であっても,セーフティネットとしての指定信用情報機関の利用義務を堅持する必要性が高い」
消費者の属性を除いた限定的な情報とはいえ、クレジット・ガイダンスの活用による与信の精度向上が、CIC加盟企業にも消費者にも問われている。
(文=Business Journal編集部)