ソフトバンク、月額3円のハイエンドGalaxyが「かなりオトク」なカラクリ

 そして、特筆すべきはSamsung独自の高性能AI「Galaxy AI」の存在だ。この機能がさらに進化した。具体的には、複数のアプリをまたいだ連携がシンプルにできるようになっている。例えば「応援しているスポーツチームの試合日程を調べてカレンダーに登録」と指示するだけで、複数の操作をまとめて実行することができる。他にも「YouTubeの動画を自動要約してメモアプリに転送」「検索した情報をSNSでシェア」など、人間が指示するだけで複数アプリをまたいだ処理が可能になっている。

 従来の生成AI(ChatGPTなど)はウェブ上のチャット対話が基本だったが、Galaxy S25ではスマホ本体の機能と統合されたかたちで使えるのが強みだ。

10年ぶりのGalaxy取り扱い再開、ソフトバンクの背景と狙い

 なぜ、ソフトバンクはこのタイミングで10年ぶりにGalaxy端末を取り扱うことになったのか。同社は次のように説明する。

「『世界で最もAIを活用するグループになる』というSBのビジョンと、モバイル市場でAIをリードするSamsungのAIを推進して行くという両社の思いが一致したため」

 実際、ソフトバンクグループはAI領域に莫大な投資を行っている。直近では「ChatGPT」を開発するOpenAIと共同で新会社「SB OpenAI Japan」を設立すると発表。また、高い精度を持つAI検索サービス「Perplexity(パープレキシティ)」と提携して、ソフトバンクユーザー向けにPerplexity Proを1年間0円で提供するなど、AIとの親和性を高める施策を積極的に進めている。

 こうした動きが示すのは、単に「端末を売りたい」のではなく、最新のAI機能をユーザーに「まずは体感してもらう」ための環境を整備したいという狙いだ。ハイエンドスマホを破格の費用感で提供し、それを使ってもらうことで「ソフトバンク×AI」という図式を急速に浸透させる狙いがあると言えるだろう。

 もちろん、Galaxyの人気にあやかりたいという思惑もあるだろう。GalaxyはAndroidスマホではトップクラスに人気のシリーズ。競合他社は取り扱っているので、GalaxyユーザーやSamsungファンを取りこぼしてしまう機会損失になってしまう。

 グループを挙げてAIのビジネスや活用に乗り出しているソフトバンクとしては、AI時代の到来を見据え、最新機種を実質格安で普及させることで「AI活用を当たり前にしたい」という狙いがあるはずだ。その点においてGalaxy S25は、多くのユーザーにとって「AIの入口」としてピッタリではないだろうか。

結局「Galaxy S25をソフトバンクで買う」のはオトクなのか

 結論を言えば、「とにかく激安でスマホを持ちたい」という方には、この「月額3円」のキャンペーンは向いていない。実際には数万円の支払いが発生するからだ。しかし、「月額3円には裏がある」と簡単に切り捨ててしまうのは早計だ。1年間の利用を想定した場合、約3.7万円程度で最新AI機能を搭載した超ハイスペックスマホを体験できるのは、非常に魅力的になる。「最新ハイエンド端末の性能を1年間じっくり試したい人」や「Androidのフラッグシップ機を下取り前提で短期的に利用したい人」には、おすすめできるだろう。

 さらに、今後のハイエンドなスマホの進化は、AI技術の発展と密接に関わっていくことになる。これまでのCPUやカメラの性能などがマイナーにアップデートされるのとは異なり、AIを軸とした機能進化になっていくだろう。すると、最新スマホと型落ちスマホでは、スペックだけでなく、AI活用の幅に大きな差が生じる可能性が高くなるはずだ。さらに、端末価格も上昇、あるいは高止まりが続くだろう。

 このような状況下で、常に最新のスマホを使い続けることは、経済的な負担が大きくなっていく。しかし、このキャンペーンを利用すれば、コストを抑えながら最新技術の恩恵を受けることができる。「最新のスマホを常に使いたいが、価格は抑えたい」という人にとって、有力な選択肢となる。

 発売日は2月14日。月額3円というキャッチーな言葉だけに惑わされず、実質的な負担額と、ハイエンドスマホの性能や、最新のAI機能に触れるメリットを考え、自分にとって最適な選択をしてみてほしい。

(文=加藤純平/ライター)