では、ニトリHDの家電事業が大きく成長する可能性はあると考えられるか。また、何が成否のカギとなってくるのか。
「その可能性は高いと感じます。ニトリHDがここまで多く成長した要因としては、2000年代頃から女性が自分で車を運転してロードサイドの店舗で積極的に買い物をするようになったという社会的な変化があげられます。それまで車の運転役だった『お父さん』は買い物についてこなくなり、家具でも買い物目線がより女性目線になってくる。そこでニトリは店舗の1階にキッチン用品やインテリア雑貨などの小物類をメインに並べて、色も統一してキレイな売り場をつくり、女性の集客を意識した店舗づくりを行っています。大型の家具や家電は数年に1回くらいの頻度でしか購入しませんが、女性客が頻繁にニトリの店舗を訪問して、そのたびに低価格の家電をちらっと目にしていると、いざ家具や家電を購入するタイミングがくると『安いしオシャレだからニトリでいいじゃん』となります。
すべての消費者が細かく機能や性能、コスパを検証するわけではないので、そういったかたちで普段から親しみを持つニトリで家電も買うという行動が広まっていくかもしれません。一方、家電量販店はこれまで、どちらかといえばメイン顧客層が男性だったこともあり、女性に選ばれやすい商品の開発というのは得意ではない面があります。こうした要素を踏まえると、ニトリHDの家電事業が大きく成長する可能性というのは高いのではないでしょうか」
(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=中井彰人/流通アナリスト)