個人的には、減価償却費の期間を自由に設定できれば商取引は活性化されて景気に良い影響が出ると考えています。利益が多く出る年は大きく設備投資をして、それを税務上すべてその年の費用に計上できれば、設備投資などは活発化するはずです。利益が出る予定だった企業からの目先の税収は減るように見えますが、利益が出ている会社から設備投資の発注先にお金が流通するので、その発注先の従業員が納める所得税や消費税が増え、税収増となるはずです」
メガバンク関係者はいう。
「スタートアップの活性化を促す可能性はあると思います。一方で、買収先の業績が悪化した際に減損を計上するかどうかの判断が、企業に委ねられる部分が大きくなるため、突発的に一気に減損計上が発生するというリスクが高くなりますし、買収のハードルが低くなると精査が甘くなるということも考えられるので、株主・投資家にとっては新たなリスクも生じることになります。よって、トータルでみるとメリットとデメリットのどちらが大きくなるのかは、なんともいえませんが、会計基準を海外のものに合わせていくというのが基本的な流れなので、『のれん』の償却についても見直しの方向で進んでいくのだと考えられます」
(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=中沢光昭/リヴァイタライゼーション代表)