「ROIを厳密に算出するのは難しい部分もありますが、AIと対話することで新しい発想や気づきが得られる。社員が『仕事の幅が広がった』と感じていることが大切だと考えています」(同)
今後はAIエージェントの展開を見据える。
「労働力不足が深刻化する中で、AIを仲間として業務を担わせる仕組みを整えています。2025年秋までに20種類のエージェントを実装し、現場での実証も進めていきます」(同)
すでに25年4月には、DX推進体制を再編し、グループ横断でDX推進を担う「JALデジタル」を発足させている。
JALの取り組みから学べるポイントは多い。
・セキュリティ部門が主導し、安全性を担保した
・現場の声を徹底的に吸い上げ、ユースケースを最適化した
・体験型教育で社員自ら使い方を考えさせた
・ROIだけでなく創造性や発想の広がりを評価した
・アジャイル開発で進化に追随した
これらは、生成AIを導入しても定着に苦しむ企業にとって大きなヒントとなるだろう。
「社員が安心してAIを使える環境をつくることが出発点でした」と担当者は言う。守りの発想から始まったJALの挑戦は、いまや社員の働き方を変える原動力となった。現場と共にAIを育ててきた同社の取り組みは、“AIネイティブ企業”への進化を目指す企業にとって格好のモデルケースといえるだろう。
(文=BUSINESS JOURNAL編集部)