
●この記事のポイント
・日本のポーカー市場が急成長し、600店超のアミューズメントカジノが誕生。若年層や女性プレイヤーも増え、カルチャーとして定着しつつある。
・「NEKOKAJI」オーナーの田上氏は、初心者でも入りやすい環境づくりを重視し、「NIPPON SERIES」で地方大会も拡大。合法・健全な業界発展を目指す。
・プレイヤー“さよきち”氏は「読み合い8割」と語り、ポーカーを人生や人間関係に通じる“知的競技”と捉える。新しい文化の担い手たちが登場している。
かつて“危ない遊び”の代名詞だったポーカーが、いま日本で新たなカルチャーとして根を下ろしている。「NIPPON SERIES」を主催し、秋葉原で人気アミューズメントカジノ「NEKOKAJI」を運営する田上裕斗氏は、その変化を日々の現場で体感している。
●目次
「ポーカーが“流行っている”といわれ始めたのは、コロナ禍の頃からですね。それまで“ギャンブルっぽい”“怖い”というイメージが強かったのが、今では“マインドスポーツ”という印象に変わりました」(田上氏)
田上氏によると、ポーカー人気の火付け役はYouTubeだった。登録者数100万人を超えるポーカーYouTuber・横澤氏らの配信が、在宅時間の増えた若年層に刺さり、アプリ「m HOLD’EM」(サミー)などを通じて裾野が一気に広がった。
実際、アミューズメントカジノの店舗数はコロナ前の約200店から、現在では全国600店舗以上にまで急増。主要都市だけでなく、地方都市にも続々と出店が進んでいる。
「今は20代後半から30代前半の男性が中心ですが、女性プレイヤーも徐々に増えています。特に“怖くない”“話しかけやすい”空間づくりが大事だと思っています」(同)
「NEKOKAJI秋葉原」は、メイド服姿のスタッフが接客する“カジュアルなポーカースポット”だ。
「初心者でも入りやすく、スタッフと会話を楽しみながらプレイできる空間を目指しています。メイド喫茶文化に近い雰囲気が、秋葉原らしい親しみやすさにつながっていると思います」(同)
プレイヤーの平均滞在時間は6時間前後。
「仕事終わりに立ち寄って、仲間と交流する“サードプレイス”になっている」と田上氏は語る。初心者講習は1回15~30分ほどで無料。来店者の約3割が未経験者だという。
「『怖い場所』ではなく、『学べる場所』としてポーカーを体験してほしい。その思いが一番強いですね」(同)
田上氏が代表理事を務める「NIPPON SERIES」は、サミーや森永製菓など上場企業が協賛する国内最大級のポーカー大会だ。
「合法的なスキームで全国展開している点が特徴です。これまで大会が行われてこなかった地方都市でも開催し、裾野を広げています」(同)
2024年は福岡や富山でも初開催。地方の熱気が東京・大阪に負けない勢いで高まっているという。大会は「ポーカー=ギャンブル」から「頭脳スポーツ」への転換を象徴する存在でもある。
「大会を通じて、企業や自治体が関わりやすい環境を整えたい。スポンサー企業も徐々に増えており、今後は一層の健全化が求められます」(同)