しかし、リスクもある。
・広告はユーザー体験を損ないやすい
・ChatGPTの“純度の高い回答体験”が失われ、流出を招く可能性
・グーグルのほうが広告最適化技術では圧倒的に上
「OpenAIの広告導入は、グーグルの牙城に踏み込む大胆な試みですが、収益化よりもユーザー離れが先に起きる恐れがあります。ブランド価値の毀損をどう抑えるかが最大の課題です」(武村氏)
OpenAIは収益と体験の二律背反に直面している。
OpenAIとグーグルの競争は、2026年前半に大きく動く。
■OpenAIの焦点
・GPT-5系の次期モデルリリース
・広告導入の是非と実装
・収益構造の再構築
・マイクロソフト依存からの脱却課題
■グーグルの焦点
Geminiの性能強化と市場浸透
・AIブラウザモードの普及
・YouTube連携による広告×AIの一体運用
・TPUによる圧倒的計算資源の強化
「2026年は、OpenAIの成長期待が維持できるか否かの分水嶺になります。グーグルの追撃が強まれば、投資家がOpenAIのリスクをより厳しく見る可能性がある」(金山氏)
OpenAIが広告導入を準備している背景には、こうした“事業の生存戦略”が透けて見える。広告導入へ踏み込む可能性をにわかに高めたのは、単なる収益策ではなく、AI覇権戦争の構図そのものが揺らぎ始めているからだ。
これまで圧倒的リードを保っていたChatGPTだが、Gemini・NanoBananaの攻勢、グーグルの圧倒的な資金力、そしてOpenAI自身の財務の脆弱さが重なり、競争環境は激変している。
2026年前半、OpenAIが反撃に成功するのか、グーグルが独走するのか。その結果は、AIの未来だけでなく、検索、広告、情報産業全体の構造を変える可能性がある。
AI覇権をめぐる戦いは、いままさに“第2幕”へ突入した。
(文=BUSINESS JOURNAL編集部)