モス「のり弁バーガー」バカ売れの衝撃…吉野家、くら寿司ら外食大手の中食争奪戦

店舗とECは「カニバリ」を越えて共生する

 EC展開に踏み切る際、多くの外食チェーンが懸念するのが「店舗売上との共食い(カニバリゼーション)」だ。しかし実態は逆の動きが起きていると、各社の事例は示唆している。

 ECでブランドのファンになった消費者が店舗へ足を運び、店舗のヘビーユーザーがECでリピート購入する——この循環構造こそが、OMO(Online Merges with Offline)の深化が外食産業にもたらす最大の恩恵だ。モスライスバーガー〈のり弁〉がEC限定商品でありながらモスというブランド全体の認知・好意度を高め、第2弾のシリーズ展開へとつながったことは、その好例といえる。

 中長期の事業環境を見渡せば、MD事業への投資意義はさらに高まる。物価高騰と人手不足が深刻化する中、店舗の拡大は固定費とリスクの増大を意味する。一方、EC・MD事業は一度製品開発と物流インフラを整えれば、比較的低い限界コストでスケールできる。「守りの経営」として位置づけられてきたMD事業は今、「攻めの投資」として外食経営の文脈で再定義されつつある。

「家庭の冷凍庫の中のシェア」をめぐる争奪戦は、今後さらに激化するだろう。次の覇権を握るのは、ブランドの強度と、ECというチャネルの特性を掛け算できた企業になる。消費者の食卓という最後のフロンティアで、外食大手たちの戦いはいよいよ本番を迎えている。

(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=杉田誠/食品マーケティングコンサルタント)