幼なじみの方が大事だと言われたので、私は婚約者を降ります

伯爵令嬢リシェルは、侯爵令息エドワードの婚約者として、長年彼を支え続けてきた。

社交の調整、侯爵家との付き合い、夜会での立ち回り。
婚約者として必要な役目を果たしてきたつもりだった。

けれど、エドワードが最優先するのは、いつだって乳兄妹のフィオナだった。

体調を崩したと聞けば予定を変えて駆けつけ、夜会でも当然のように隣へ立つ。

「昔から家族同然なんだ」

そう言って、エドワードは何度もリシェルへ理解を求めてきた。

侯爵夫人だけは、そんな息子を何度も諫めていたけれど――本人は、自分がどれほどリシェルへ甘えているのか、まるで分かっていなかったのだ。

そして、ある日。

「フィオナは俺にとって特別なんだ。君とは違う」

その言葉を聞いた瞬間、リシェルはようやく気づく。

ああ、この人は最初から、私を一番に選ぶつもりなどなかったのだと。

ですから、もう結構です。

そこまで乳兄妹の方が大事なのでしたら、私は婚約者を降ります。

リシェルが去ったあと、エドワードは少しずつ思い知っていく。

自分がどれほど彼女に支えられていたのかを。
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