『影の夫人とガラスの花嫁』

公爵カルロスの後妻として嫁いだシャルロットは、
結婚初日から気づいていた。

夫は優しい。
礼儀正しく、決して冷たくはない。
けれど──どこか遠い。

夜会で向けられる微笑みの奥には、
亡き前妻エリザベラの影が静かに揺れていた。

社交界は囁く。

「公爵さまは、今も前妻を想っているのだわ」
「後妻は所詮、影の夫人よ」

その言葉に胸が痛む。
けれどシャルロットは自分に言い聞かせた。

──これは政略婚。
愛を求めてはいけない、と。

そんなある日、彼女はカルロスの書斎で
“あり得ない手紙”を見つけてしまう。

『愛しいカルロスへ。
 私は必ずあなたのもとへ戻るわ。
         エリザベラ』

……前妻は、本当に死んだのだろうか?

噂、沈黙、誤解、そして夫の隠す真実。
揺れ動く心のまま、シャルロットは
“ガラスの花嫁”のように繊細にひび割れていく。

しかし、前妻の影が完全に姿を現したとき、
カルロスの静かな愛がようやく溢れ出す。

「影なんて、最初からいない。
 見ていたのは……ずっと君だけだった」

消えた指輪、隠された手紙、閉ざされた書庫──
すべての謎が解けたとき、
影に怯えていた花嫁は光を手に入れる。

切なく、美しく、そして必ず幸せになる後妻ロマンス。
愛に触れたとき、ガラスは光へと変わる
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