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聖女様 ※ちょっと狂気

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※この回はちょっと狂ってます。本作品のイメージを崩したく無い方は読まないことをお勧め致します。読んだ方が色々分かるのですが。くれぐれも自己責任でお願いします。

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 突然だけど僕は異世界からの転移者だ。学校から帰る途中に急に魔法陣が現れて、気がついたら知らない人達に囲まれていた。周囲にいた人達は僕を聖女様と呼んだ。そこで小説が大好きだった僕は気がついた。これは異世界転移でチートになれるやつだと。

 僕は名前を聞かれたので偽名を使うことにした。ティファニーという適当に思いついた名前を。異世界の種類によっては名前がバレると奴隷になるパターンがあるからね。新たな世界で新たな人生を進める。全ては計画的にね。

 この世界には魔法が存在し、なんと同性婚も普通にあるらしい。皇太子のユーリスとか言う奴も男の婚約者が居るとか。次期皇帝なのに生殖能力の無い男と婚約とか本当バカだよね。

 僕はそのバカに連れて行かれて検査を受けた。どうやら僕は魔法の中でも貴重な光魔法の使い手らしい。これで力は手に入った。この世で大切なのは金、権力、力だ。残るはお金と権力。

 そこで僕を見て頬を赤らめるバカ、皇太子が目に入った。これは使える。僕はこれから学園に入らないと行けないらしいから、そこで魅了の魔法でも使ってやろう。使える魔法は何故か自然と分かった。全て最初からあったかのように。



 そこからは簡単だった。学園に聖女として直ぐに通うことになり、皇太子との接触も容易だった。このバカの婚約者が邪魔になると踏んでいたけど、どうやら二人は頻繁に会ったりしてないようだった。毎日少しづつ僕に惚れるように魔法で思考誘導する。ついでに皇帝や宰相にもね。このままいけば僕がこの国を支配する日もそう遠くない。

 そう思っていたのに。僕はたまたま皇太子とその婚約者が喧嘩している所を見てしまった。バカの婚約者レイン・アグレスタ。直接接触したことは無いけど遠目では見たことがある。漆黒の髪にルビーのような赤い瞳。真っ白で雪のような美しい肌。いつも無表情でその表情は氷の様。何が起きても平然としている姿は少し癪に障る。

 そんなレイン・アグレスタが皇太子に暴言を吐かれて少し悲しそうな表情をしている。その表情を見た瞬間に僕の全身にはゾクリと快感が駆け回った。もっと苦痛に歪んだ顔が見たい。泣かせてみたいと思った。

 ははっ。あの反応、レインはあのバカを好きに違いない。奪ったらどんな顔するかなぁ。泣いちゃうかなぁ。僕に縋りついて来るかなぁ。怒るのかなぁ。あぁ、気になる。苦痛に歪んだ顔が見たい。左眼の視力ないんだよね。僕にくれないかなぁ。ペンダントにして一生身につけたいなぁ。

 僕はレイン・アグレスタから目が離せなくなっていた。完璧人間と周囲から呼ばれているだけあって彼には隙がない。数十メートル離れたところで覗いていても急に振り向かれてバレそうになることもある。ま、僕の光魔法で屈折させれば姿を隠せるからバレないけどね。彼を追い込むために完璧な聖女を演じて虐められたと嘘をついた。周囲の貴族達はバカだからすぐに信じたよ。特に皇太子はね。

 レインには何故か洗脳の魔法も攻撃魔法も効かない。光を一点に集めて火傷でも負わせようとしたけど見えない何かに弾かれる。洗脳を使っても全く変化が無い。物理攻撃も精神攻撃も効かないなら後は彼の弱点を利用するしかない。唯一の弱点、皇太子という婚約者をね。

 二年間かけて仕込んだ計画。今日はレインが愛しの婚約者に婚約破棄されるよ。全ては完璧だ。皇帝からも許可を取れた。貴族の沢山いる皇宮でレインは無様に婚約破棄を言い渡される。きっと屈辱と悲しみに顔を歪めるはず。嬉々としてその時を待っていたのに興ざめ。

『はぁそうですか。好きにしてください』

 こんな一言だけで僕の計画は終わってしまった。これなら皇太子にレインを殴らせた方が効果があったに違いない。そう思っていた時、レインに冷たい視線で見つめられた。あれはもう最高だったね。思い出しただけで興奮する。苦痛に歪んだ顔も良いけど軽蔑したような視線も良いね。僕は次の計画に移すことにした。皇太子との婚約は明日破棄されるらしいしどうでもいいや。使えない皇太子より次の駒を用意しないとね。準備に少し時間がかかるかもだけど待っててね。

 僕のレイン♡
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