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春途たちの新年度編

206話 自分で自分に嘘をつくなんて、そんなのないよ!

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206話 自分で自分に嘘をつくなんて、そんなのないよ!

……ん、今何時かしら。

覚醒したレミアは目元を擦りながらエリフォで現在時刻を確認する。

……もう6時なのね。起きなきゃ

春途は……まだ寝てるわね。
起こさないと。

ねえ、ねえったら!朝よ、起きなさい。
もう少し寝かせてくれ……すぅ…すぅ……

はあ?もう6時よ?遅刻するわよ?
6時ならまだ平気だろ……眠いんだっての……。

はあ?平気?なに言ってるの?6時半から授業が始まるでしょ?ほら、早く準備しなさいよ!

……なに言ってんだよ。8時まで席に着けばいいんだよ。ちゃんと時間割読んだのか?…すぅ……すぅ……

はあ?まだだけど。……なになに?………え。

ホントに8時半から1限目なわけ!?遅すぎない!?

だからそう言っただろ?……はぁ、話してたら眠気がどっかいったよ。おはよ、レミア。

おはよう春途。……ねえ、お腹減ってる?
起こしちゃったし何か作るわよ。

いいのか?
ええ。オムライスでいいかしら。

ああ。頼むよ。
それじゃ、下行くわよ?

1階へ降りた春途とレミア。春途を居間に座らせたレミアはキッチンへ向かった。


さてと、エプロンは………はあ?

レミアがエプロンらしきものを見つけるとそこには謎に露出度の高いメイド服と、その上に手紙が置かれていた。

エプロンを切らしちゃってね、そのメイド服着てね♡それと、そのメイド服を着る時は服は着ないで頂戴な

エプロンを切らすって何よ!意味わかんない!!……
でも、エプロンないと制服汚れちゃうわね…。

しかたない、か。でも……春途に似合わないって
思われたら嫌……でも着るしか…ないわね。


シュル……ファサッ

ブレザーのポケットからヘアゴムを取り出して口に咥え、制服を脱いで畳んだあとに綺麗な長髪を後ろに纏めた。

さて、と。さっさと作るわよ!

レミアは慣れた手つきで野菜を切り、オムライスを作った。所要時間は3人前で1時間ほどだった。

はい、できたわよ。

おお!うまそうだな!…………って、レミアどうした?その姿

これしかないって言われたの!エプロン!
へー…けどその……服は?
エプロンって服の上から着るものだろ?

…着るなって言われたの!
私のせいじゃないわよ。

そ、そうなのか。
(やばい…なんかすっごくかわいいぞ?
このレミア。)

ね、ねえ。その…どうかしら。

え?あ、ああ!かわいいと思うぞ?
ポニーテール、似合ってる。

そっちじゃないわよ!!オムライスの方!!
ああっ!?すまんそっちか!
いただきます!あむっ…うんうん、うまい!卵がふわふわしててスプーンが進む!

そ、そう。ならよかったわ。
(かわいい……ふふ、嬉しい。それにポニーテール似合ってる、か。……今度からポニーテールにしようかしら。)

あら春ちゃんおはよう。レミアちゃんも、おはよう。

あ、母さんおはよう。

…おはよう!ふんっ
あら?レミアちゃんその服……

そうよ!着てって手紙まで仕込んであったから
仕方なく着てあげたの!これで満足かしら?

ええ!ええ!!とってもかわいいわよレミアちゃん!夏になったら水着!水着着ましょうね!

すんごいキラキラした目でレミアを見る鈴未。いつにもまして興奮している様子だ。

あ、えっと…………ねえ、なんとかしなさいよ。
すまん、俺も見てみたい。レミアの水着

ちょ…はあ!?あんた何言ってるかわかってる!?
水着よ?あんたなんかに見せるわけないでしょ!

そ、そうか……

だーもうっ!露骨に悲しむなあああ!!!
……わかった、わかったから!水着着るから!それでいいでしょ!?……けど、トウカも一緒にって条件はつける。

いいのか!……よっし。って、レミア時間大丈夫か?

え?……やば!行ってきます!ほら、春途も!おいてくわよ?

今いく!んじゃ、母さん行ってくるよ!

ガチャ…バタンッ!

いってらっしゃい。

……ねえヨモギ、聞いているかしら。春途ね、女の子と同棲しているのよ。レミアちゃんって言うの。
あなたの弟、少しづつだけど自分の幸せを形作っているわ。

あなたはどうなの?「ヨモギ」
しんじさんのところで、あなたの幸せを見つけられたかしら。
…まあ、しんじさんと一緒にいるのなら
何か見つけているとは思うけど。

しんじさんと一緒……もしかしなくても、
もう……いないのかもしれないものね。

天神 校門前

ギリギリセーフね!あんたがオムライスをゆっくり食べ過ぎなのがいけないわ!時間見て行動しなさいよ!

時間教えたの俺なんだが?むしろレミ―――
だから、外では呼ぶな!
そ、そうだったそうだった。シャガこそ時間見て行動しろよな?

わかってるわよそのくらい!

あっ!シャガちゃん!
あらトウカ。待っていてくれたのかしら。
う、うん!シャガちゃんと一緒に登校したくて朝5時から家の前で待ってたんだけど、待っても来なかったから校門で待とうかなって。……あれ?もしかして私お邪魔?

そ、そんなことないわよ!ほらトウカ?教室いくわよ?

う、うん!

あっ、待てよ!

トウカの手を掴み小走りで校舎へ向かうレミアと、それを追いかける形で校舎へ入っていく春途だった。

午前終わり 昼休み


っだあ~!やっとお昼ね。
だね~。ねえ、シャガちゃんはお昼どうするの?
え?あー、私はパンでも買って食べるわ。トウカは?

私はお弁当作ってきたよ。
シャガちゃんも一緒に食べよう?

トウカの分がなくなるわよ?
もしかしたら一緒に食べられるかもって、2つ作ったから大丈夫だよ。屋上行こう!

そういうことなら。ええ、行きましょう。
なあ、俺も行っていいか?

えっと、あなたは?
俺は春途だ。剣導部の一応部長をやってる。君がレイトの妹なのか?

ええ!?あの春途さんなの!?…本物?
本物だよ。そもそもそいつが俺になる意味ないだろ。
それは……そうかも。

だろ?……まあ最近俺たちは剣導高校と交流戦しかしてないしな。同じ学校だけど知らないのも無理ないさ。

はい。
だから今から知ってほしい。そして知りたい。だからお昼一緒に食べてもいいか?

そういうことなら。いいですよ。
ちょっとあんた、トウカをとらないでよね?

はあ?どういう意味だよ。とるもとらないもないっての。レミアの友だちがどんなやつなのか興味があるだけで!

ボゴッ!
レミアの拳が春途の右頬に飛ぶ

いっ……!?なにすんだ!
名前で呼ぶなって
何度も何度も何度も言ったはず!やめて!!

あっ……ついくせで。

えっと、レミアというのは?
あっ、えっと……なんでもないわ。忘れてちょうだい。

……友だちなのに隠し事、するの?

それは………(この子なら……ノグの妹としてじゃなくて……本当の私を見てくれる…?)

……わかった。友だちだものね。屋上で話しましょう。春途、あんたも来なさい。

もとよりそのつもりだ。

こうして3人は屋上に向かった。

キィィ…バタンッ!

お昼休みの終わり際、誰もいないのが普通よね。さあ、ここに座って話しましょう。

うん。

私ね。姉さんがいるのよ。姉さんってば優秀で優秀で、いくら追いかけても届きはしないって感じなの。

家族やそれを囲む人は全員が姉さんと比較して、姉さん基準で評価してくるの。私が頑張って出した結果でも姉さんの妹だから当たり前、姉さんの妹だからできたって。そんなやつが周りにいる生活にたえられなくて家出したの。

それで白旗星に?

そうよ。剣導高校ならどこでもよかった。片っ端から申請して唯一拾ってくれたのが白旗星だったの。白旗星の指導員、みことは私が家出したってのも知った上で拾ってくれた。……実は親が私の親権を放棄したいって言ったの。

養子……
そう。親権を赤の他人に移したいって。みことが私の為に親権者になってくれたわ。私も16だし実親との関係をどうするか…なんて、難しいこともやった。結果今はみことのところに籍があるの。親との関係は完全に断ったわ。後悔はしていない。腹立つけど、みことのところにいる方が私って感じがするから。

みことのところに籍があるから、澤嶋レミアになるわね。

二重で偽名を使ってたってわけか。
るっさい!


悪い悪い。けどみことと喧嘩してこっちに?

そうね。形だけならそういうことになるわね。
叶うならあのまま白旗星にいたかったわ。

だからあんな不本意不本意、連呼してたのか。
そうよ。けど、今になって理解したわ。みことにもきっと考えがあって天神へ転入させたのよ。現に私は以前よりも少しずつ成長してるもの。

そうだな。

シャガっていうのはね。レミアって名乗るとノグの妹だーってしか見てもらえないからなの。ノグの妹だからできて当然、なんて腹立つし。

それに……トウカにもそう思われたら…嫌だったの。
え?

だって、トウカは私の友だちだから。それが、言葉だけの関係にしたくなかった。だから、シャガって名乗っているの。ごめんなさい。信用してるつもりでいて、少し疑っていたわ。

ううん、シャガちゃんは悪くないよ!けど

なにかしら。

名を偽って掴んだものなんて、たかが知れてるって思わない?本当の自分を知ってほしいのに自分で自分に嘘をつくなんて、そんなのないよ!

それは………その通りだわ。
トウカ、あなたって強いのね。

自分で自分に嘘をつくなんてない、か。ありがとう。

なんだかトウカのこと、もっと知りたくなっちゃった。そのためには……私もさらけ出すしかないわね。

シャガちゃん……

シャガ?誰よそれ。私はレミア、澤嶋レミアよ?
さ、ご飯食べて午後もやるわよ!!

うん…!!!

ここには私を見てくれる人がたくさんいる
……なら、私も私を見てもらわなきゃ!
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