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26話:力学と波力のボレロ(後編)
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すぐに再開された爪楊枝タワー大会だったが、寺野と下原は怒られるどころか梓馬から褒められていた。
「お前らよくやったな!調べたところではあのタービンで動く大会用の酸は何者かによってピラニア酸に変えられてたようだぞ。あと少し遅れていたら、溶け死んでたかもな!(笑)」
「そうですね…とりあえず、今は大会の行方を見守りましょう!」
「寺野の言う通りだな!先生も審査員長だからここにいるとまずいので戻りましょう」
それぞれの席に戻ったが、下原の寺野は偶然な事に笑いまくった。彼らの建てた爪楊枝タワーは、そんなピラニア酸に負けるほどのヤワなものではなかったので2つ目の審査をパスした。これぞまさに石角マジック。
「よし、最後は津波と液状化現象か」
石角がつぶやいた津波と液状化も今回の大会初の項目で、今現在残ったタワーは35タワーだった。進行係と最高審査員を兼任している梓馬が壇上へ立った。
「今残っているタワーは35本!という事は、35校の物理部が残った。65校の方々は惜しかったが、最後まで楽しんでくれると嬉しい。これから行われる津波は5回に分けて行う。最初は小規模な程度の津波から観測史上最大クラスまでと津波を発生させるのでそのつもりで」
会場内は盛り上がっていた。参加した学校にも参加賞として何かと豪華であることから、脱落しても殆どの人たちが残っていた。
「さて、残る学校の本当のお手並みを拝見といきますかね!我々石角率いる物理部が強いってことを証明するべき時が来た」
「それもそうだね、でも折れて接着剤付けてどうにか持ち堪えてるけど大丈夫かな」
寺野と石角が話している中、接着剤を購入して組み立て直した湯田と下原が来た。
「その心配はないやろ。基盤さえ出来てれば押し寄せる津波に勝てるはず、寺野のせいでこんなバカなことになったんだからな」
「それは言えてるわ。これが商品とかだったら弁償じゃ済まされないよ」
ブラック下原とアニリンブラック湯田のブラックジョークに寺野は笑うことしか出来なかった。そんな津波も一つずつタワーが流されていく様子を見ていた。残り20本となった時に、石角たちのタワー審査が始まった。
「流れるなよ…?」
「ここで決めればあとは大丈夫のはず…!」
左右田と鶴居は祈った。5回の津波が終わり、瞑っていた目を見開いた。
「やった…残ってる!!」
「あとは液状化現象だ。節目の優勝は俺たちがあの水素自動車を貰うぞ!」
物理部員は歓喜した。しかし、審査側から1つのルールが追加された。
「えー、この新項目でこのタワー1本だけ残った場合は無条件で優勝になります!もう既に自動車会社と優勝トロフィーもここにありますのでそのつもりで先ほどの審査を合格した学校は結果を見届けて下さい」
梓馬の最終判断により、このルールが適用された。喜ぶ姿を見て親指立てて喜んでいた。その後の行われた審査で、いくつものタワーが津波の脅威に押し流されて中には悔し涙を流す人も続出した。最後のタワーとなり、審査に合格したのは石角たちだけだった。
「このタワーが残れば液状化現象…耐えれなかったら俺たちの優勝」
「さぁ…どうなる?」
同様にしてまた祈る。目を瞑って5回行われる津波の結果を待った。終了後、恐る恐る目を開けると無慈悲な事にそのタワーは倒れる事なくその姿を保っていた。
「現実は甘くないですね、仕方ない」
「流石に生クリームしゃぶしゃぶ並の甘さじゃこの大会は終わらないよね」
石角と湯田は呟いた。次の液状化現象審査は地震で地盤が緩み、沈んでしまう時にどこまで耐えれるかまたは、対応力が問われるものだった。改良時間が設けられており、その計算も欅は既に答えを出していた。
「この足のようなものを作っておいた。浮力で最後は勝負する」
「なるほど、意味がよく分からん!」
欅の創造力は他の物理部よりも凌駕していた。作業が終わると同時に時間を告げるチャイムが鳴り、2校による一騎討ちとなった。この決勝では、タワーがそのまま沈み倒れるまで行うという事だった。
「これで勝つぞ。水素自動車は俺たちのだ!間違えても湯田、壊すなよ?」
「何で僕だけこうなの?」
石角の疑問に疑問で返す湯田だったが、すぐに始まった。固唾を飲む物理部員はただひたすらタワーを見守ることしか出来なかった。
「ん?この液ってダイラタンシーだ。この勝負、勝ったな」
「何でこれがダイラタンシーって言えるの?」
欅の観察力によく分からない喬林だった。すぐに欅はダイラタンシーについて話した。
「ダイラタンシーは刺激を与える事で硬くなるが、それは一瞬のみ。すぐに液体へと戻るんだ。今は何も加えていない状態でタワーの重さのみでやってるんだと仮定したら、この勝負は俺たちのタワーが無限に保てれる」
「なるほど…本当だ。足のようなもののおかげで沈んでない。相手のタワーはもう壊滅ギリギリにまで迫ってる」
相手のタワーも途中耐えていたが、タワーの基礎である足が弱かった。そして何もなかったかのようにそのまま相手のタワーは、綺麗な放物線を描いて倒壊した。
「俺たちの優勝だ!」
「やったー!!」
石角の優勝宣言に部員たちはハイタッチして勝利を噛み締めていた。梓馬は、ただひたすら拍手していた。この優勝は海外にいる前桜へ良い土産が出来たと物理部員は確信した。最後まで計算し尽くした欅は、ただひたすら涙を流していた。
「お前らよくやったな!調べたところではあのタービンで動く大会用の酸は何者かによってピラニア酸に変えられてたようだぞ。あと少し遅れていたら、溶け死んでたかもな!(笑)」
「そうですね…とりあえず、今は大会の行方を見守りましょう!」
「寺野の言う通りだな!先生も審査員長だからここにいるとまずいので戻りましょう」
それぞれの席に戻ったが、下原の寺野は偶然な事に笑いまくった。彼らの建てた爪楊枝タワーは、そんなピラニア酸に負けるほどのヤワなものではなかったので2つ目の審査をパスした。これぞまさに石角マジック。
「よし、最後は津波と液状化現象か」
石角がつぶやいた津波と液状化も今回の大会初の項目で、今現在残ったタワーは35タワーだった。進行係と最高審査員を兼任している梓馬が壇上へ立った。
「今残っているタワーは35本!という事は、35校の物理部が残った。65校の方々は惜しかったが、最後まで楽しんでくれると嬉しい。これから行われる津波は5回に分けて行う。最初は小規模な程度の津波から観測史上最大クラスまでと津波を発生させるのでそのつもりで」
会場内は盛り上がっていた。参加した学校にも参加賞として何かと豪華であることから、脱落しても殆どの人たちが残っていた。
「さて、残る学校の本当のお手並みを拝見といきますかね!我々石角率いる物理部が強いってことを証明するべき時が来た」
「それもそうだね、でも折れて接着剤付けてどうにか持ち堪えてるけど大丈夫かな」
寺野と石角が話している中、接着剤を購入して組み立て直した湯田と下原が来た。
「その心配はないやろ。基盤さえ出来てれば押し寄せる津波に勝てるはず、寺野のせいでこんなバカなことになったんだからな」
「それは言えてるわ。これが商品とかだったら弁償じゃ済まされないよ」
ブラック下原とアニリンブラック湯田のブラックジョークに寺野は笑うことしか出来なかった。そんな津波も一つずつタワーが流されていく様子を見ていた。残り20本となった時に、石角たちのタワー審査が始まった。
「流れるなよ…?」
「ここで決めればあとは大丈夫のはず…!」
左右田と鶴居は祈った。5回の津波が終わり、瞑っていた目を見開いた。
「やった…残ってる!!」
「あとは液状化現象だ。節目の優勝は俺たちがあの水素自動車を貰うぞ!」
物理部員は歓喜した。しかし、審査側から1つのルールが追加された。
「えー、この新項目でこのタワー1本だけ残った場合は無条件で優勝になります!もう既に自動車会社と優勝トロフィーもここにありますのでそのつもりで先ほどの審査を合格した学校は結果を見届けて下さい」
梓馬の最終判断により、このルールが適用された。喜ぶ姿を見て親指立てて喜んでいた。その後の行われた審査で、いくつものタワーが津波の脅威に押し流されて中には悔し涙を流す人も続出した。最後のタワーとなり、審査に合格したのは石角たちだけだった。
「このタワーが残れば液状化現象…耐えれなかったら俺たちの優勝」
「さぁ…どうなる?」
同様にしてまた祈る。目を瞑って5回行われる津波の結果を待った。終了後、恐る恐る目を開けると無慈悲な事にそのタワーは倒れる事なくその姿を保っていた。
「現実は甘くないですね、仕方ない」
「流石に生クリームしゃぶしゃぶ並の甘さじゃこの大会は終わらないよね」
石角と湯田は呟いた。次の液状化現象審査は地震で地盤が緩み、沈んでしまう時にどこまで耐えれるかまたは、対応力が問われるものだった。改良時間が設けられており、その計算も欅は既に答えを出していた。
「この足のようなものを作っておいた。浮力で最後は勝負する」
「なるほど、意味がよく分からん!」
欅の創造力は他の物理部よりも凌駕していた。作業が終わると同時に時間を告げるチャイムが鳴り、2校による一騎討ちとなった。この決勝では、タワーがそのまま沈み倒れるまで行うという事だった。
「これで勝つぞ。水素自動車は俺たちのだ!間違えても湯田、壊すなよ?」
「何で僕だけこうなの?」
石角の疑問に疑問で返す湯田だったが、すぐに始まった。固唾を飲む物理部員はただひたすらタワーを見守ることしか出来なかった。
「ん?この液ってダイラタンシーだ。この勝負、勝ったな」
「何でこれがダイラタンシーって言えるの?」
欅の観察力によく分からない喬林だった。すぐに欅はダイラタンシーについて話した。
「ダイラタンシーは刺激を与える事で硬くなるが、それは一瞬のみ。すぐに液体へと戻るんだ。今は何も加えていない状態でタワーの重さのみでやってるんだと仮定したら、この勝負は俺たちのタワーが無限に保てれる」
「なるほど…本当だ。足のようなもののおかげで沈んでない。相手のタワーはもう壊滅ギリギリにまで迫ってる」
相手のタワーも途中耐えていたが、タワーの基礎である足が弱かった。そして何もなかったかのようにそのまま相手のタワーは、綺麗な放物線を描いて倒壊した。
「俺たちの優勝だ!」
「やったー!!」
石角の優勝宣言に部員たちはハイタッチして勝利を噛み締めていた。梓馬は、ただひたすら拍手していた。この優勝は海外にいる前桜へ良い土産が出来たと物理部員は確信した。最後まで計算し尽くした欅は、ただひたすら涙を流していた。
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