2 / 28
2
しおりを挟む
夜会の会場を飛び出し、馬車に飛び乗った私は、興奮冷めやらぬまま自分の頬を両手で包み込みました。
「ああ、素晴らしい……! なんて素晴らしい夜かしら!」
馬車の揺れに合わせて、私の心もダンスを踊っているようです。
窓の外に流れる月明かりさえも、リリアン様のあの潤んだ瞳の輝きに比べれば、ただの街灯程度にしか感じられません。
「お嬢様……。あの、よろしいでしょうか?」
向かい側に座る専属侍女のアンが、引きつった笑顔で声をかけてきました。
アンもまた、なかなかの整った顔立ちをしています。凛とした眉筋が、私の好みの中の『クール系部門』にランクインしている有望株です。
「なあに、アン? あなたも見たでしょう、あの至高の瞬間を。婚約破棄を告げられた瞬間の、セドリック殿下の背後に見えたリリアン様の絶妙な陰影! あれはルーブルの絵画でも再現不可能ですわ!」
「いえ、お嬢様。私が心配しているのはそこではなく……殿下から『婚約破棄』と『国外追放』を言い渡された件についてです。普通なら泣き崩れるか、毒を煽るかの二択ですよ」
「あら、そんな勿体ない。泣いて視界を濁らせるなんて、美少女を拝む機会を自ら捨てるようなものですわ」
私はふふんと鼻を鳴らし、窓の外を眺めました。
「それにアン、よく考えてみて。私はこれまで、皇太子の婚約者という立場に縛られていました。あんな俺様男の顔を毎日拝まされる苦行……。おかげで私の視細胞は、強すぎる刺激に麻痺しかけていたのです」
「……殿下は、この国一番の美男子と評判ですが」
「筋肉質なだけの男の顔なんて、三日で飽きますわ。それよりも、百合の花のように儚く、それでいて内に秘めた情熱を感じさせる乙女の曲線……。それこそが、私が守るべき、そして愛でるべき至宝なのです!」
馬車が屋敷に到着しました。
玄関先には、鬼のような形相をした父――グレイスタウン伯爵が立っていました。
どうやら、夜会での騒ぎはすでに早馬で伝わっていたようです。
「ローズマリーッ! 貴様、一体何をやらかしたんだ!」
父の怒声が響き渡ります。
私は優雅に馬車を降り、ドレスの裾を摘んで深々とお辞儀をしました。
「お父様、ただいま戻りました。今夜はとても月の美しい、そして婚約破棄にふさわしい夜ですわね」
「ふざけるな! 殿下から正式に書状が届いたぞ! 貴様がリリアン嬢を虐待し、あろうことか殿下の前で『婚約破棄万歳』と叫んだというのは本当か!」
「叫んではおりませんわ。淑女として、気品を持って、最大限の感謝と共に承諾しただけです」
私は父の横を通り過ぎ、屋敷の中へと進みます。
父は顔を真っ赤にして追いかけてきました。
「承諾しただと!? 相手は次期国王だぞ! 伯爵家の未来がどうなるか分かっているのか! 国外追放にでもなれば、我が家は終わりだぞ!」
私は足を止め、ゆっくりと父を振り返りました。
「お父様。そんなに声を荒らげては、眉間にシワが寄ってしまいますわよ。お父様も若い頃は『社交界の貴公子』と呼ばれた美形なのですから、素材を台無しにするような真似はおやめなさい」
「……っ、そんなことはどうでもいい! 言い訳があるなら聞こう!」
「言い訳などありません。殿下が『別れよう』と言い、私が『異議なし』と答えた。これ以上の円満な合意形成が他にあるでしょうか?」
私は廊下に飾られた大きな姿見の前に立ち、自分の姿をチェックしました。
よし、今夜の私は、リリアン様の美しさを引き立てる『背景』として完璧な装いでした。
「お父様、私は決めましたの。私は、セドリック様のような自分勝手な男性のために、自分の人生を浪費するのをやめます。これからは、真に美しいものを守り、支援するために生きるのです」
「……真に、美しいもの?」
「ええ。例えば、あの清らかなリリアン様。彼女はあのような傲慢な殿下の側にいては、その輝きが曇ってしまいます。私が彼女のパトロンとなり、彼女にふさわしい最高の教育と、最高の宝石と、そして何より私の『愛』を与えなければならないのです!」
父は口をパクパクとさせ、言葉を失っています。
アンが横から「旦那様、お嬢様は……その、少しばかり方向性が変わられたようです」と補足してくれました。
「狂った……。我が娘が、ついにストレスで狂ってしまった……!」
「失礼ですわね。私は今、人生で最も澄み渡った心境にあります。お父様、国外追放の件ですが、もし本当にそうなったら、私はリリアン様を連れて隣国へ亡命いたします。あちらの姫君も相当な美貌だと聞き及んでおりますし、ちょうど良い機会ですわ」
「待て! 待て待て! リリアン嬢は殿下の想い人だろう!? 連れて行けるわけがないだろう!」
「あら、彼女は殿下の強引さに怯えていただけです。私のような『美への理解者』が優しく導けば、必ずや私の手を取ってくださるはず」
私は拳を握り、未来への希望に胸を膨らませました。
「修道院に入れという話もありましたが、あんな陰気な場所、お断りです。もし私を無理やり閉じ込めるというのなら、私は修道院中のシスターを片っ端から口説き落とし、そこを『美女だけのユートピア』に改造して差し上げますわよ?」
「……。……アンよ」
「はい、旦那様」
「……娘を、部屋に連れて行け。そして、冷たい水でも飲ませて、一晩落ち着かせるんだ。……ああ、神よ。なぜ私の家から、このような規格外の変種が……」
父は頭を抱えて、フラフラと書斎へ消えていきました。
私はアンに促されながらも、自分の部屋へと続く階段を意気揚々と登ります。
「お嬢様、本気でリリアン様を奪うおつもりですか?」
「奪うだなんて、人聞きの悪い。私はただ、彼女という『芸術』を、最も美しい額縁に入れて飾りたいだけですわ」
「それを世間では『執着』と呼ぶのですが……」
部屋に着くと、私はすぐに机に向かい、羽ペンを取りました。
「さあ、アン。忙しくなりますわよ。まずはリリアン様に、今夜の彼女がいかに神々しかったかを綴ったファンレター……いえ、激励の手紙を書かなければ!」
「お嬢様……。ほどほどにしないと、本当に憲兵が来ますよ」
アンの忠告など、今の私には心地よいBGMにしか聞こえません。
私の脳内ではすでに、リリアン様と過ごすバラ色の(物理的にバラの花弁を散らした)未来予想図が完成していました。
「異議なし! 私の人生に、一片の迷いなしですわ!」
ローズマリー・フォン・グレイスタウン。
婚約破棄された元悪役令嬢(自称:美の守護者)の、本当の戦いはここから始まるのでした。
「ああ、素晴らしい……! なんて素晴らしい夜かしら!」
馬車の揺れに合わせて、私の心もダンスを踊っているようです。
窓の外に流れる月明かりさえも、リリアン様のあの潤んだ瞳の輝きに比べれば、ただの街灯程度にしか感じられません。
「お嬢様……。あの、よろしいでしょうか?」
向かい側に座る専属侍女のアンが、引きつった笑顔で声をかけてきました。
アンもまた、なかなかの整った顔立ちをしています。凛とした眉筋が、私の好みの中の『クール系部門』にランクインしている有望株です。
「なあに、アン? あなたも見たでしょう、あの至高の瞬間を。婚約破棄を告げられた瞬間の、セドリック殿下の背後に見えたリリアン様の絶妙な陰影! あれはルーブルの絵画でも再現不可能ですわ!」
「いえ、お嬢様。私が心配しているのはそこではなく……殿下から『婚約破棄』と『国外追放』を言い渡された件についてです。普通なら泣き崩れるか、毒を煽るかの二択ですよ」
「あら、そんな勿体ない。泣いて視界を濁らせるなんて、美少女を拝む機会を自ら捨てるようなものですわ」
私はふふんと鼻を鳴らし、窓の外を眺めました。
「それにアン、よく考えてみて。私はこれまで、皇太子の婚約者という立場に縛られていました。あんな俺様男の顔を毎日拝まされる苦行……。おかげで私の視細胞は、強すぎる刺激に麻痺しかけていたのです」
「……殿下は、この国一番の美男子と評判ですが」
「筋肉質なだけの男の顔なんて、三日で飽きますわ。それよりも、百合の花のように儚く、それでいて内に秘めた情熱を感じさせる乙女の曲線……。それこそが、私が守るべき、そして愛でるべき至宝なのです!」
馬車が屋敷に到着しました。
玄関先には、鬼のような形相をした父――グレイスタウン伯爵が立っていました。
どうやら、夜会での騒ぎはすでに早馬で伝わっていたようです。
「ローズマリーッ! 貴様、一体何をやらかしたんだ!」
父の怒声が響き渡ります。
私は優雅に馬車を降り、ドレスの裾を摘んで深々とお辞儀をしました。
「お父様、ただいま戻りました。今夜はとても月の美しい、そして婚約破棄にふさわしい夜ですわね」
「ふざけるな! 殿下から正式に書状が届いたぞ! 貴様がリリアン嬢を虐待し、あろうことか殿下の前で『婚約破棄万歳』と叫んだというのは本当か!」
「叫んではおりませんわ。淑女として、気品を持って、最大限の感謝と共に承諾しただけです」
私は父の横を通り過ぎ、屋敷の中へと進みます。
父は顔を真っ赤にして追いかけてきました。
「承諾しただと!? 相手は次期国王だぞ! 伯爵家の未来がどうなるか分かっているのか! 国外追放にでもなれば、我が家は終わりだぞ!」
私は足を止め、ゆっくりと父を振り返りました。
「お父様。そんなに声を荒らげては、眉間にシワが寄ってしまいますわよ。お父様も若い頃は『社交界の貴公子』と呼ばれた美形なのですから、素材を台無しにするような真似はおやめなさい」
「……っ、そんなことはどうでもいい! 言い訳があるなら聞こう!」
「言い訳などありません。殿下が『別れよう』と言い、私が『異議なし』と答えた。これ以上の円満な合意形成が他にあるでしょうか?」
私は廊下に飾られた大きな姿見の前に立ち、自分の姿をチェックしました。
よし、今夜の私は、リリアン様の美しさを引き立てる『背景』として完璧な装いでした。
「お父様、私は決めましたの。私は、セドリック様のような自分勝手な男性のために、自分の人生を浪費するのをやめます。これからは、真に美しいものを守り、支援するために生きるのです」
「……真に、美しいもの?」
「ええ。例えば、あの清らかなリリアン様。彼女はあのような傲慢な殿下の側にいては、その輝きが曇ってしまいます。私が彼女のパトロンとなり、彼女にふさわしい最高の教育と、最高の宝石と、そして何より私の『愛』を与えなければならないのです!」
父は口をパクパクとさせ、言葉を失っています。
アンが横から「旦那様、お嬢様は……その、少しばかり方向性が変わられたようです」と補足してくれました。
「狂った……。我が娘が、ついにストレスで狂ってしまった……!」
「失礼ですわね。私は今、人生で最も澄み渡った心境にあります。お父様、国外追放の件ですが、もし本当にそうなったら、私はリリアン様を連れて隣国へ亡命いたします。あちらの姫君も相当な美貌だと聞き及んでおりますし、ちょうど良い機会ですわ」
「待て! 待て待て! リリアン嬢は殿下の想い人だろう!? 連れて行けるわけがないだろう!」
「あら、彼女は殿下の強引さに怯えていただけです。私のような『美への理解者』が優しく導けば、必ずや私の手を取ってくださるはず」
私は拳を握り、未来への希望に胸を膨らませました。
「修道院に入れという話もありましたが、あんな陰気な場所、お断りです。もし私を無理やり閉じ込めるというのなら、私は修道院中のシスターを片っ端から口説き落とし、そこを『美女だけのユートピア』に改造して差し上げますわよ?」
「……。……アンよ」
「はい、旦那様」
「……娘を、部屋に連れて行け。そして、冷たい水でも飲ませて、一晩落ち着かせるんだ。……ああ、神よ。なぜ私の家から、このような規格外の変種が……」
父は頭を抱えて、フラフラと書斎へ消えていきました。
私はアンに促されながらも、自分の部屋へと続く階段を意気揚々と登ります。
「お嬢様、本気でリリアン様を奪うおつもりですか?」
「奪うだなんて、人聞きの悪い。私はただ、彼女という『芸術』を、最も美しい額縁に入れて飾りたいだけですわ」
「それを世間では『執着』と呼ぶのですが……」
部屋に着くと、私はすぐに机に向かい、羽ペンを取りました。
「さあ、アン。忙しくなりますわよ。まずはリリアン様に、今夜の彼女がいかに神々しかったかを綴ったファンレター……いえ、激励の手紙を書かなければ!」
「お嬢様……。ほどほどにしないと、本当に憲兵が来ますよ」
アンの忠告など、今の私には心地よいBGMにしか聞こえません。
私の脳内ではすでに、リリアン様と過ごすバラ色の(物理的にバラの花弁を散らした)未来予想図が完成していました。
「異議なし! 私の人生に、一片の迷いなしですわ!」
ローズマリー・フォン・グレイスタウン。
婚約破棄された元悪役令嬢(自称:美の守護者)の、本当の戦いはここから始まるのでした。
0
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫(8/29書籍発売)
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m
旦那様には愛人がいますが気にしません。
りつ
恋愛
イレーナの夫には愛人がいた。名はマリアンヌ。子どものように可愛らしい彼女のお腹にはすでに子どもまでいた。けれどイレーナは別に気にしなかった。彼女は子どもが嫌いだったから。
※表紙は「かんたん表紙メーカー」様で作成しました。
頑張らない政略結婚
ひろか
恋愛
「これは政略結婚だ。私は君を愛することはないし、触れる気もない」
結婚式の直前、夫となるセルシオ様からの言葉です。
好きにしろと、君も愛人をつくれと。君も、もって言いましたわ。
ええ、好きにしますわ、私も愛する人を想い続けますわ!
五話完結、毎日更新
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
「可愛げがない」と婚約破棄された公爵令嬢ですが、領地経営をしていたのは私です
希羽
恋愛
「お前のような可愛げのない女との婚約は破棄する!」
卒業パーティの会場で、婚約者である第二王子デリックはそう宣言し、私の義妹ミナを抱き寄せました。 誰もが私が泣き崩れると思いましたが――正直、せいせいしました。 だって、王子の領地経営、借金返済、結界維持、それら全ての激務を一人でこなしていたのは「可愛げのない」私だったのですから。
「承知しました。では、あとはミナと二人で頑張ってください」
私は手切れ金代わりに面倒な仕事を全て置いて国を出ました。 すると、国境で待っていたのは、隣国ガルガディア帝国の冷徹皇太子ことクライド様。なぜか彼は私を溺愛し、帝国で最高の地位と環境を与えてくれて……。
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
白い結婚を告げようとした王子は、冷遇していた妻に恋をする
夏生 羽都
恋愛
ランゲル王国の王太子ヘンリックは結婚式を挙げた夜の寝室で、妻となったローゼリアに白い結婚を宣言する、
……つもりだった。
夫婦の寝室に姿を見せたヘンリックを待っていたのは、妻と同じ髪と瞳の色を持った見知らぬ美しい女性だった。
「『愛するマリーナのために、私はキミとは白い結婚とする』でしたか? 早くおっしゃってくださいな」
そう言って椅子に座っていた美しい女性は悠然と立ち上がる。
「そ、その声はっ、ローゼリア……なのか?」
女性の声を聞いた事で、ヘンリックはやっと彼女が自分の妻となったローゼリアなのだと気付いたのだが、驚きのあまり白い結婚を宣言する事も出来ずに逃げるように自分の部屋へと戻ってしまうのだった。
※こちらは「裏切られた令嬢は、30歳も年上の伯爵さまに嫁ぎましたが、白い結婚ですわ。」のIFストーリーです。
ヘンリック(王太子)が主役となります。
また、上記作品をお読みにならなくてもお楽しみ頂ける内容となっております。
婚約破棄を申し入れたのは、父です ― 王子様、あなたの企みはお見通しです!
みかぼう。
恋愛
公爵令嬢クラリッサ・エインズワースは、王太子ルーファスの婚約者。
幼い日に「共に国を守ろう」と誓い合ったはずの彼は、
いま、別の令嬢マリアンヌに微笑んでいた。
そして――年末の舞踏会の夜。
「――この婚約、我らエインズワース家の名において、破棄させていただきます!」
エインズワース公爵が力強く宣言した瞬間、
王国の均衡は揺らぎ始める。
誇りを捨てず、誠実を貫く娘。
政の闇に挑む父。
陰謀を暴かんと手を伸ばす宰相の子。
そして――再び立ち上がる若き王女。
――沈黙は逃げではなく、力の証。
公爵令嬢の誇りが、王国の未来を変える。
――荘厳で静謐な政略ロマンス。
(本作品は小説家になろうにも掲載中です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる