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「やっちまえ! その逆賊を殺せ!」
ルードヴィヒ皇子の金切り声が、玉座の間に響き渡る。
それを合図に、数十人の近衛兵が一斉に槍を構え、私たちに向かって突進してきた。
「クリスティーン、下がってろ」
マクシミリアン殿下は、私の前に立ち塞がると、まるでハエでも払うかのように大剣を一閃させた。
ドォォォォン!!
轟音と共に、衝撃波が発生する。
先頭にいた兵士たちが、武器ごと吹き飛ばされ、ドミノ倒しのように後続を巻き込んで転倒した。
「な、なんだと……!?」
「遅ぇよ。止まって見えるぞ」
殿下は剣の腹で、向かってくる槍を叩き落とし、がら空きになった兵士の胴体に強烈な蹴りを入れる。
「ぐはっ!」
「次!」
殿下は舞うように――いや、暴れる暴風のように戦場を制圧していく。
斬らない。
峰打ちと、蹴りと、タックルのみ。
それでも、鍛え上げられた「狂犬」の一撃は、重装備の兵士を軽々と宙に舞わせる。
「ひぃぃ! か、勝てない! 化け物だ!」
兵士たちが恐れをなして後退り始める。
私は、飛んでくる瓦礫を避けながら(殿下が私の周囲だけ無風地帯にしてくれているおかげで安全だが)、手帳にペンを走らせていた。
「……柱の修繕費、金貨二百枚。床の張替え、金貨百枚。兵士の治療費および鎧の弁償代、金貨三百枚……」
「おいクリスティーン! 今何をしてる!」
殿下が敵を投げ飛ばしながら聞いてくる。
「損害賠償の計算です。今のところ、請求先はルードヴィヒ殿下ですが、彼に支払い能力があるか怪しくなってきました」
「ハッ! 違げぇねぇ!」
殿下は笑いながら、最後の一人を壁に叩きつけた。
静寂が戻る。
立っているのは、私たちと、腰を抜かしたルードヴィヒ、そして顔面蒼白のゲルハルトだけだ。
「ば、馬鹿な……私の近衛兵団が、たった一人に……」
ルードヴィヒはガタガタと震え、玉座の背もたれにしがみついている。
「おい、兄貴」
マクシミリアン殿下は、血の一滴もついていない剣を肩に担ぎ、ゆっくりと玉座へ歩み寄った。
「俺が野蛮だって? ああ、そうかもな。だがな、お前のその貧弱な陰謀よりは、よっぽど役に立つぞ」
「く、来るな! 私は次期皇帝だぞ! 不敬だぞ!」
「まだ言ってんのか。その遺言書は偽物だってバレてんだよ」
殿下は切っ先を、ルードヴィヒの鼻先に突きつけた。
「さあ、どうする? 泣いて謝るか? それとも、このまま空へ飛んでみるか?」
「ひ、ひぃぃぃッ!! げ、ゲルハルト! なんとかしろ!」
ルードヴィヒが叫ぶが、振り返ると、そこには誰もいなかった。
「……おや?」
私は眼鏡を直して入り口の方を見た。
「あの陰湿メガネなら、先ほど『トイレに行きます』と言って脱走しましたよ」
「なっ……裏切り者ぉぉぉッ!!」
ルードヴィヒの絶叫が虚しく響く。
もはや、彼の命運は尽きた。
「終わりだな、兄貴」
殿下が剣を振り上げた、その時だった。
「――騒がしいぞ、馬鹿息子ども」
しわがれた、しかし威厳のある声が、部屋の奥から響いた。
「え?」
全員の動きが止まる。
玉座の裏にある隠し扉が開き、車椅子に乗った老人が姿を現した。
点滴を繋ぎ、侍医に押されているが、その瞳だけは鷹のように鋭い。
「ち、父上……!?」
「親父!?」
バルトアン帝国皇帝、フリードリヒ四世。
危篤と聞いていた「獅子王」その人であった。
「し、死にかけじゃなかったのかよ!」
「ふん。お前たちが騒ぐせいで、三途の川から引き返してきたわ」
皇帝陛下は不機嫌そうに鼻を鳴らし、ルードヴィヒを睨みつけた。
「ルードヴィヒよ」
「は、はいぃぃッ!!」
「余の字も真似できんとは、嘆かわしい。幼き頃より書道を叩き込んだはずだが、全て忘れたか?」
「も、申し訳ございません……!」
ルードヴィヒがその場に平伏する。
もはや言い逃れは不可能だ。
本人が出てきてしまっては、偽造遺言書など紙屑同然である。
「ゲルハルトの入れ知恵か? 愚か者め。奴は余が泳がせていた二重スパイだとも知らずに」
「えっ」
「奴から全て報告は受けておる。お前の横領も、裏工作もな」
皇帝は溜め息をつき、指を鳴らした。
影から武装した暗部が現れ、ルードヴィヒを拘束する。
「連れて行け。……顔も見たくない」
「父上ぇぇ! お許しをぉぉぉ!」
ルードヴィヒはズルズルと引きずられて消えていった。
あっけない幕切れだ。
そして、皇帝の視線が私たちに向けられた。
「……マクシミリアン」
「おう」
「相変わらずの暴れぶりだな。玉座の間をなんだと思っている」
「プロレス会場だろ」
「たわけ」
皇帝は呆れたように言ったが、その表情はどこか嬉しそうだ。
「だが、よく戻った。……それに、面白そうな『拾い物』を連れているようだな」
皇帝の鋭い視線が、私を射抜く。
並の人間なら竦み上がる覇気だ。
だが、私は一歩前に出て、完璧なカーテシーを披露した。
「お初にお目にかかります、皇帝陛下。マクシミリアン大公閣下の『財務顧問』兼『暴走ストッパー』、クリスティーンでございます」
「ほう。ストッパーとな?」
「はい。先ほども、殿下がルードヴィヒ殿下を殺害するのを未然に防ぎ、かつ玉座の破壊を阻止いたしました。これにより、国葬と玉座新調の費用、計金貨一万枚の削減に成功しております」
私は淡々と報告した。
皇帝は目を丸くし、それから腹を抱えて笑い出した。
「カッカッカッ! 金の話か! 死にかけの爺相手に、挨拶代わりが『経費削減』とは!」
皇帝は咳き込みながらも、愉快そうに膝を叩いた。
「気に入った! 噂には聞いていたが、これほどの傑物とはな。……マクシミリアンよ」
「あ?」
「お前には過ぎた女だ。どうだ、余の秘書にならんか? 給金は弾むぞ」
「断る!!」
マクシミリアン殿下が、食い気味に吼えた。
彼は私を背中に隠し、父親を睨みつける。
「こいつは俺が拾った! 俺の女だ! 親父でも譲らねぇぞ!」
「ほほう。あの女嫌いのお前が、そこまで言うか」
皇帝はニヤリと笑った。
「ならば、示してみせよ。この国を背負い、その女を守るだけの度量をな」
皇帝は懐から、一通の書類を取り出した。
それは、本物の遺言書――いや、『譲位書』だった。
「マクシミリアン。貴様を次期皇帝に指名する。……ただし」
皇帝は私を見た。
「その才女を『皇后』として迎えることが条件だ。……この国の赤字財政、筋肉だけではどうにもならんのでな」
「……は?」
私が声を上げる間もなく、マクシミリアン殿下はガッツポーズをした。
「交渉成立だ、親父! 返品不可だぞ!」
「ちょ、ちょっと待ってください! 私の同意は!?」
「ない!」
殿下は振り返り、私を軽々と――あの日と同じように、米俵スタイルで担ぎ上げた。
「クリスティーン! 俺と結婚しろ! これが皇帝命令だ!」
「それは職権濫用です!! それに、まだプロポーズの条件(定時退社・残業代)を詰めていません!」
「うるせぇ! 全部呑んでやる! だから覚悟を決めろ!」
「きゃぁぁぁッ!!」
殿下は私を担いだまま、玉座の間を駆け出した。
背後で皇帝陛下の大笑いが響く中、私たちの「凱旋」は、なぜか「略奪婚」の様相を呈して幕を閉じたのである。
ルードヴィヒ皇子の金切り声が、玉座の間に響き渡る。
それを合図に、数十人の近衛兵が一斉に槍を構え、私たちに向かって突進してきた。
「クリスティーン、下がってろ」
マクシミリアン殿下は、私の前に立ち塞がると、まるでハエでも払うかのように大剣を一閃させた。
ドォォォォン!!
轟音と共に、衝撃波が発生する。
先頭にいた兵士たちが、武器ごと吹き飛ばされ、ドミノ倒しのように後続を巻き込んで転倒した。
「な、なんだと……!?」
「遅ぇよ。止まって見えるぞ」
殿下は剣の腹で、向かってくる槍を叩き落とし、がら空きになった兵士の胴体に強烈な蹴りを入れる。
「ぐはっ!」
「次!」
殿下は舞うように――いや、暴れる暴風のように戦場を制圧していく。
斬らない。
峰打ちと、蹴りと、タックルのみ。
それでも、鍛え上げられた「狂犬」の一撃は、重装備の兵士を軽々と宙に舞わせる。
「ひぃぃ! か、勝てない! 化け物だ!」
兵士たちが恐れをなして後退り始める。
私は、飛んでくる瓦礫を避けながら(殿下が私の周囲だけ無風地帯にしてくれているおかげで安全だが)、手帳にペンを走らせていた。
「……柱の修繕費、金貨二百枚。床の張替え、金貨百枚。兵士の治療費および鎧の弁償代、金貨三百枚……」
「おいクリスティーン! 今何をしてる!」
殿下が敵を投げ飛ばしながら聞いてくる。
「損害賠償の計算です。今のところ、請求先はルードヴィヒ殿下ですが、彼に支払い能力があるか怪しくなってきました」
「ハッ! 違げぇねぇ!」
殿下は笑いながら、最後の一人を壁に叩きつけた。
静寂が戻る。
立っているのは、私たちと、腰を抜かしたルードヴィヒ、そして顔面蒼白のゲルハルトだけだ。
「ば、馬鹿な……私の近衛兵団が、たった一人に……」
ルードヴィヒはガタガタと震え、玉座の背もたれにしがみついている。
「おい、兄貴」
マクシミリアン殿下は、血の一滴もついていない剣を肩に担ぎ、ゆっくりと玉座へ歩み寄った。
「俺が野蛮だって? ああ、そうかもな。だがな、お前のその貧弱な陰謀よりは、よっぽど役に立つぞ」
「く、来るな! 私は次期皇帝だぞ! 不敬だぞ!」
「まだ言ってんのか。その遺言書は偽物だってバレてんだよ」
殿下は切っ先を、ルードヴィヒの鼻先に突きつけた。
「さあ、どうする? 泣いて謝るか? それとも、このまま空へ飛んでみるか?」
「ひ、ひぃぃぃッ!! げ、ゲルハルト! なんとかしろ!」
ルードヴィヒが叫ぶが、振り返ると、そこには誰もいなかった。
「……おや?」
私は眼鏡を直して入り口の方を見た。
「あの陰湿メガネなら、先ほど『トイレに行きます』と言って脱走しましたよ」
「なっ……裏切り者ぉぉぉッ!!」
ルードヴィヒの絶叫が虚しく響く。
もはや、彼の命運は尽きた。
「終わりだな、兄貴」
殿下が剣を振り上げた、その時だった。
「――騒がしいぞ、馬鹿息子ども」
しわがれた、しかし威厳のある声が、部屋の奥から響いた。
「え?」
全員の動きが止まる。
玉座の裏にある隠し扉が開き、車椅子に乗った老人が姿を現した。
点滴を繋ぎ、侍医に押されているが、その瞳だけは鷹のように鋭い。
「ち、父上……!?」
「親父!?」
バルトアン帝国皇帝、フリードリヒ四世。
危篤と聞いていた「獅子王」その人であった。
「し、死にかけじゃなかったのかよ!」
「ふん。お前たちが騒ぐせいで、三途の川から引き返してきたわ」
皇帝陛下は不機嫌そうに鼻を鳴らし、ルードヴィヒを睨みつけた。
「ルードヴィヒよ」
「は、はいぃぃッ!!」
「余の字も真似できんとは、嘆かわしい。幼き頃より書道を叩き込んだはずだが、全て忘れたか?」
「も、申し訳ございません……!」
ルードヴィヒがその場に平伏する。
もはや言い逃れは不可能だ。
本人が出てきてしまっては、偽造遺言書など紙屑同然である。
「ゲルハルトの入れ知恵か? 愚か者め。奴は余が泳がせていた二重スパイだとも知らずに」
「えっ」
「奴から全て報告は受けておる。お前の横領も、裏工作もな」
皇帝は溜め息をつき、指を鳴らした。
影から武装した暗部が現れ、ルードヴィヒを拘束する。
「連れて行け。……顔も見たくない」
「父上ぇぇ! お許しをぉぉぉ!」
ルードヴィヒはズルズルと引きずられて消えていった。
あっけない幕切れだ。
そして、皇帝の視線が私たちに向けられた。
「……マクシミリアン」
「おう」
「相変わらずの暴れぶりだな。玉座の間をなんだと思っている」
「プロレス会場だろ」
「たわけ」
皇帝は呆れたように言ったが、その表情はどこか嬉しそうだ。
「だが、よく戻った。……それに、面白そうな『拾い物』を連れているようだな」
皇帝の鋭い視線が、私を射抜く。
並の人間なら竦み上がる覇気だ。
だが、私は一歩前に出て、完璧なカーテシーを披露した。
「お初にお目にかかります、皇帝陛下。マクシミリアン大公閣下の『財務顧問』兼『暴走ストッパー』、クリスティーンでございます」
「ほう。ストッパーとな?」
「はい。先ほども、殿下がルードヴィヒ殿下を殺害するのを未然に防ぎ、かつ玉座の破壊を阻止いたしました。これにより、国葬と玉座新調の費用、計金貨一万枚の削減に成功しております」
私は淡々と報告した。
皇帝は目を丸くし、それから腹を抱えて笑い出した。
「カッカッカッ! 金の話か! 死にかけの爺相手に、挨拶代わりが『経費削減』とは!」
皇帝は咳き込みながらも、愉快そうに膝を叩いた。
「気に入った! 噂には聞いていたが、これほどの傑物とはな。……マクシミリアンよ」
「あ?」
「お前には過ぎた女だ。どうだ、余の秘書にならんか? 給金は弾むぞ」
「断る!!」
マクシミリアン殿下が、食い気味に吼えた。
彼は私を背中に隠し、父親を睨みつける。
「こいつは俺が拾った! 俺の女だ! 親父でも譲らねぇぞ!」
「ほほう。あの女嫌いのお前が、そこまで言うか」
皇帝はニヤリと笑った。
「ならば、示してみせよ。この国を背負い、その女を守るだけの度量をな」
皇帝は懐から、一通の書類を取り出した。
それは、本物の遺言書――いや、『譲位書』だった。
「マクシミリアン。貴様を次期皇帝に指名する。……ただし」
皇帝は私を見た。
「その才女を『皇后』として迎えることが条件だ。……この国の赤字財政、筋肉だけではどうにもならんのでな」
「……は?」
私が声を上げる間もなく、マクシミリアン殿下はガッツポーズをした。
「交渉成立だ、親父! 返品不可だぞ!」
「ちょ、ちょっと待ってください! 私の同意は!?」
「ない!」
殿下は振り返り、私を軽々と――あの日と同じように、米俵スタイルで担ぎ上げた。
「クリスティーン! 俺と結婚しろ! これが皇帝命令だ!」
「それは職権濫用です!! それに、まだプロポーズの条件(定時退社・残業代)を詰めていません!」
「うるせぇ! 全部呑んでやる! だから覚悟を決めろ!」
「きゃぁぁぁッ!!」
殿下は私を担いだまま、玉座の間を駆け出した。
背後で皇帝陛下の大笑いが響く中、私たちの「凱旋」は、なぜか「略奪婚」の様相を呈して幕を閉じたのである。
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