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その夜、アークライト公爵家の食堂は、まるで戦勝記念パーティのような熱気に包まれていた。
長テーブルには山海の珍味ずらりと並び、中央には約束通り、湯気を立てる赤飯(この国では『祝宴の穀物』と呼ばれる希少品)が鎮座している。
「では、ダーリよ。そして我らアークライト家の輝かしい未来に……乾杯!」
「乾杯!」
カチン、とクリスタルのグラスが軽やかな音を立てる。
最上級のヴィンテージワインが、喉を潤していく。
それは、十年間耐え忍んだ苦労が報われた味であり、自由の味だった。
「ぷはーっ! 美味い! これほど美味い酒は久しぶりだ!」
父であるアークライト公爵が、豪快に笑いながらヒゲについたワインを拭う。
普段は「冷徹な国庫の番人」として恐れられる父だが、今夜ばかりは好々爺のように頬を緩ませていた。
「よくぞやった、我が娘よ。あの請求書、写しを見たが傑作だったぞ。特に『精神的苦痛割増し』の項目! あれは芸術点が高い!」
「ふふ、お褒めにあずかり光栄ですわ。弁護士と相談して、ギリギリ法に触れないラインを攻めましたの」
私はフォークでローストビーフを突き刺しながら、優雅に応じた。
「それにしても、あそこまでアッサリと支払われるとは思いませんでしたけれど」
「国王陛下も必死だったのだろう。あの内容が世間に漏れれば、王家の威信は地に落ちるからな。……いや、すでに地に落ちているようなものだが」
父は肩をすくめて、苦々しい顔をした。
「まったく、あのバカ王子……もとい、ギルバート殿下には私も散々煮え湯を飲まされたからな」
「お父様も?」
「ああ。先月も『僕の彫刻を国会議事堂の屋根に設置したい』などと言い出してな。予算委員会で却下するのに、私の毛根が死滅しかけたのだ」
「あら、それは奇遇ですわね。私のところには『僕の顔写真をプリントしたドレスを着て夜会に出ろ』という命令が来ていましたわ」
「……なんと」
「しかも『等身大で』と」
父と私は顔を見合わせ、同時に身震いをした。
想像しただけで寒気がする。
「……婚約破棄されて、本当によかったな」
「ええ、心底そう思います。神に感謝を捧げたい気分ですわ」
私たちは改めてグラスを掲げ、二度目の乾杯をした。
地獄からの生還を祝して。
「して、ダーリよ。これからの予定はどうするのだ? 王都に居座るのも気まずかろう」
父が赤飯を頬張りながら尋ねてくる。
私はワイングラスを揺らしながら、夢心地で答えた。
「そうですわね……。まずは、三ヶ月くらい冬眠しようかと」
「冬眠?」
「はい。誰にも邪魔されず、朝は昼まで寝て、起きたら美味しいブランチを食べて、午後は読書をして、夜はまた寝るのです。あ、あと二度寝も必須ですわ」
「うむ、それは魅力的だが、人間としてダメになりそうだな」
「ダメになりたいのです! 私は十年間、毎朝五時に起きて王妃教育を受けてきたのですから、その反動ですわ!」
私は力説した。
私の望みは「高貴なるニート」。
金はある。時間は腐るほどある。
あとは惰眠を貪るだけだ。
「……と言いたいところですが、先ほどお話しした通り、どこか遠くへ高飛びしようかと考えています。王都にいると、あの元婚約者たちが『やっぱり復縁してやる』とか言い出しそうで怖いですし」
「確かにあやつなら言い出しかねん。『僕を支えられるのはやはり君しかいない』などと泣きついてくる未来が見える」
「でしょう? ですから、ほとぼりが冷めるまで、父様の別荘をお借りしようかと……」
そこまで話した時だった。
食堂の重厚な扉が、ノックもそこそこに開かれた。
入ってきたのは、我が家の執事長セバスチャンだ。
常に沈着冷静な彼が、珍しく顔色を変えている。
「だ、旦那様、お嬢様。……大変でございます」
「なんだセバスチャン。ワインの追加か? それともデザートの準備ができたか?」
上機嫌な父が尋ねるが、セバスチャンは首を横に振った。
「いえ、お客様でございます」
「客? こんな夜更けにか? 誰だ、空気の読めん」
父が不機嫌そうに眉を寄せる。
私も首をかしげた。
先ほど窓から見えた馬車だろうか。
「まさか、王家からの追手? 『金返せ』とか?」
私が冗談めかして言うと、セバスチャンは声を潜めて告げた。
「いえ……それが、北方よりお越しの……オルグレン辺境伯閣下でございます」
シン、と食堂の空気が凍りついた。
私の手から、フォークがカチャンと皿に落ちる。
父の動きも止まった。
「……誰だと?」
「オルグレン辺境伯閣下です。『氷の狼』、『歩く要塞』、『笑わない死神』の異名を持つ、あの閣下です」
セバスチャンの説明に、父の顔色がサーッと青ざめていく。
オルグレン辺境伯。
国の最北端、極寒の地を治める大貴族。
魔獣が跋扈する過酷な土地を、圧倒的な武力で平定している英雄だが、その性格は冷酷非道と噂されている。
社交界には滅多に顔を出さず、たまに現れたかと思えば、一言も喋らずに周囲を威圧して帰っていくという、生ける伝説のような人物だ。
「な、なぜそんな恐ろしい男が我が家に……?」
父が震える声で言った。
「もしかして、私が以前、北方の予算を少し削ったことを根に持っているのか……? 討ち入りか!?」
「お父様、落ち着いてください。まさか公爵邸で斬り合いなんて……」
私も平静を装おうとしたが、内心はバックバクだった。
関わりのない人物だ。
私の人生設計において、最も遠い位置にいるはずの人間だ。
「『ダーリ嬢に用がある』と仰っております」
セバスチャンが爆弾発言を投下した。
「は? 私!?」
私が素っ頓狂な声を上げる。
「え、なんで? 私、北の方角に足を向けて寝たことくらいしか心当たりがないのですが?」
「と、とにかく、お通しするしかあるまい! 門前払いなどしたら、屋敷ごと氷漬けにされかねん!」
父が慌ててナプキンを放り投げ、居住まいを正す。
「ダーリ、お前も覚悟を決めろ。……もし何かあったら、父が盾になろう」
「お父様……!(頼りないけど、その気持ちだけは受け取ります!)」
ゴクリ、と唾を飲み込む。
やがて。
重い足音が廊下から響いてきた。
カツ、カツ、カツ。
軍靴の音だ。
一歩近づくごとに、室内の温度が下がっていくような錯覚を覚える。
そして。
「失礼する」
低く、地を這うような声と共に、扉が完全に開かれた。
そこに立っていたのは、天井に頭が届きそうなほどの大男だった。
黒い軍服に身を包み、肩には分厚い毛皮の外套。
銀色の髪は短く刈り込まれ、鋭い眼光を放つ瞳は、氷河のように冷たく青い。
(ひぇっ……クマ……!?)
それが私の第一印象だった。
人間というより、野生の猛獣が服を着て立っているような威圧感。
オルグレン辺境伯は、無表情のままズカズカと部屋に入ってくると、私の目の前で仁王立ちになった。
見上げると、首が痛くなるほどの身長差だ。
「あ……あの……」
私が引きつった笑みを浮かべようとした、その時。
彼は懐から何かを取り出し、無骨な手で私に突き出した。
それは剣でも、脅迫状でもなく。
「……これを」
可愛らしいリボンのかかった、焼き菓子の缶だった。
「……は?」
思考が停止する。
私の頭の上で、無数の「?」マークがダンスを踊り始めた。
長テーブルには山海の珍味ずらりと並び、中央には約束通り、湯気を立てる赤飯(この国では『祝宴の穀物』と呼ばれる希少品)が鎮座している。
「では、ダーリよ。そして我らアークライト家の輝かしい未来に……乾杯!」
「乾杯!」
カチン、とクリスタルのグラスが軽やかな音を立てる。
最上級のヴィンテージワインが、喉を潤していく。
それは、十年間耐え忍んだ苦労が報われた味であり、自由の味だった。
「ぷはーっ! 美味い! これほど美味い酒は久しぶりだ!」
父であるアークライト公爵が、豪快に笑いながらヒゲについたワインを拭う。
普段は「冷徹な国庫の番人」として恐れられる父だが、今夜ばかりは好々爺のように頬を緩ませていた。
「よくぞやった、我が娘よ。あの請求書、写しを見たが傑作だったぞ。特に『精神的苦痛割増し』の項目! あれは芸術点が高い!」
「ふふ、お褒めにあずかり光栄ですわ。弁護士と相談して、ギリギリ法に触れないラインを攻めましたの」
私はフォークでローストビーフを突き刺しながら、優雅に応じた。
「それにしても、あそこまでアッサリと支払われるとは思いませんでしたけれど」
「国王陛下も必死だったのだろう。あの内容が世間に漏れれば、王家の威信は地に落ちるからな。……いや、すでに地に落ちているようなものだが」
父は肩をすくめて、苦々しい顔をした。
「まったく、あのバカ王子……もとい、ギルバート殿下には私も散々煮え湯を飲まされたからな」
「お父様も?」
「ああ。先月も『僕の彫刻を国会議事堂の屋根に設置したい』などと言い出してな。予算委員会で却下するのに、私の毛根が死滅しかけたのだ」
「あら、それは奇遇ですわね。私のところには『僕の顔写真をプリントしたドレスを着て夜会に出ろ』という命令が来ていましたわ」
「……なんと」
「しかも『等身大で』と」
父と私は顔を見合わせ、同時に身震いをした。
想像しただけで寒気がする。
「……婚約破棄されて、本当によかったな」
「ええ、心底そう思います。神に感謝を捧げたい気分ですわ」
私たちは改めてグラスを掲げ、二度目の乾杯をした。
地獄からの生還を祝して。
「して、ダーリよ。これからの予定はどうするのだ? 王都に居座るのも気まずかろう」
父が赤飯を頬張りながら尋ねてくる。
私はワイングラスを揺らしながら、夢心地で答えた。
「そうですわね……。まずは、三ヶ月くらい冬眠しようかと」
「冬眠?」
「はい。誰にも邪魔されず、朝は昼まで寝て、起きたら美味しいブランチを食べて、午後は読書をして、夜はまた寝るのです。あ、あと二度寝も必須ですわ」
「うむ、それは魅力的だが、人間としてダメになりそうだな」
「ダメになりたいのです! 私は十年間、毎朝五時に起きて王妃教育を受けてきたのですから、その反動ですわ!」
私は力説した。
私の望みは「高貴なるニート」。
金はある。時間は腐るほどある。
あとは惰眠を貪るだけだ。
「……と言いたいところですが、先ほどお話しした通り、どこか遠くへ高飛びしようかと考えています。王都にいると、あの元婚約者たちが『やっぱり復縁してやる』とか言い出しそうで怖いですし」
「確かにあやつなら言い出しかねん。『僕を支えられるのはやはり君しかいない』などと泣きついてくる未来が見える」
「でしょう? ですから、ほとぼりが冷めるまで、父様の別荘をお借りしようかと……」
そこまで話した時だった。
食堂の重厚な扉が、ノックもそこそこに開かれた。
入ってきたのは、我が家の執事長セバスチャンだ。
常に沈着冷静な彼が、珍しく顔色を変えている。
「だ、旦那様、お嬢様。……大変でございます」
「なんだセバスチャン。ワインの追加か? それともデザートの準備ができたか?」
上機嫌な父が尋ねるが、セバスチャンは首を横に振った。
「いえ、お客様でございます」
「客? こんな夜更けにか? 誰だ、空気の読めん」
父が不機嫌そうに眉を寄せる。
私も首をかしげた。
先ほど窓から見えた馬車だろうか。
「まさか、王家からの追手? 『金返せ』とか?」
私が冗談めかして言うと、セバスチャンは声を潜めて告げた。
「いえ……それが、北方よりお越しの……オルグレン辺境伯閣下でございます」
シン、と食堂の空気が凍りついた。
私の手から、フォークがカチャンと皿に落ちる。
父の動きも止まった。
「……誰だと?」
「オルグレン辺境伯閣下です。『氷の狼』、『歩く要塞』、『笑わない死神』の異名を持つ、あの閣下です」
セバスチャンの説明に、父の顔色がサーッと青ざめていく。
オルグレン辺境伯。
国の最北端、極寒の地を治める大貴族。
魔獣が跋扈する過酷な土地を、圧倒的な武力で平定している英雄だが、その性格は冷酷非道と噂されている。
社交界には滅多に顔を出さず、たまに現れたかと思えば、一言も喋らずに周囲を威圧して帰っていくという、生ける伝説のような人物だ。
「な、なぜそんな恐ろしい男が我が家に……?」
父が震える声で言った。
「もしかして、私が以前、北方の予算を少し削ったことを根に持っているのか……? 討ち入りか!?」
「お父様、落ち着いてください。まさか公爵邸で斬り合いなんて……」
私も平静を装おうとしたが、内心はバックバクだった。
関わりのない人物だ。
私の人生設計において、最も遠い位置にいるはずの人間だ。
「『ダーリ嬢に用がある』と仰っております」
セバスチャンが爆弾発言を投下した。
「は? 私!?」
私が素っ頓狂な声を上げる。
「え、なんで? 私、北の方角に足を向けて寝たことくらいしか心当たりがないのですが?」
「と、とにかく、お通しするしかあるまい! 門前払いなどしたら、屋敷ごと氷漬けにされかねん!」
父が慌ててナプキンを放り投げ、居住まいを正す。
「ダーリ、お前も覚悟を決めろ。……もし何かあったら、父が盾になろう」
「お父様……!(頼りないけど、その気持ちだけは受け取ります!)」
ゴクリ、と唾を飲み込む。
やがて。
重い足音が廊下から響いてきた。
カツ、カツ、カツ。
軍靴の音だ。
一歩近づくごとに、室内の温度が下がっていくような錯覚を覚える。
そして。
「失礼する」
低く、地を這うような声と共に、扉が完全に開かれた。
そこに立っていたのは、天井に頭が届きそうなほどの大男だった。
黒い軍服に身を包み、肩には分厚い毛皮の外套。
銀色の髪は短く刈り込まれ、鋭い眼光を放つ瞳は、氷河のように冷たく青い。
(ひぇっ……クマ……!?)
それが私の第一印象だった。
人間というより、野生の猛獣が服を着て立っているような威圧感。
オルグレン辺境伯は、無表情のままズカズカと部屋に入ってくると、私の目の前で仁王立ちになった。
見上げると、首が痛くなるほどの身長差だ。
「あ……あの……」
私が引きつった笑みを浮かべようとした、その時。
彼は懐から何かを取り出し、無骨な手で私に突き出した。
それは剣でも、脅迫状でもなく。
「……これを」
可愛らしいリボンのかかった、焼き菓子の缶だった。
「……は?」
思考が停止する。
私の頭の上で、無数の「?」マークがダンスを踊り始めた。
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