どうしようもない思い

刹那玻璃

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馬鹿にすんな

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電話がかかった。
妹から金を貸してと言われた。
いくらいると聞いてみると21408円だと言う。
おい、具体的だなというと、スマホの支払いぶんだと言った。
先月にも呼び出されて15000円貸している。
その前にも五万かしてと言われてへそくりをだして貸したのを、忘れたのか?
とキレて言うと、
15000は、ハマっていたドラマのDVDをフリマで見つけて、それを購入したのと本代だと言った。
払わなかったらカードが止まる。と言われた。
知るかと言ったが、多分払うことになるだろうと思った。

五年前には、母に50万かして踏み倒された。
その前には、祖父母の遺した借金を、親族が分担するからと、叔母の一人に数百万負担しろと言われた。
上の兄や、弟もいるが、そちらには結婚して家を出ているから長女であるあんたが面倒見るのが筋だろうと言われた。
お金を出せば、あたしたちの老後は見なくていいと言われたので、必死になってポイントカードのポイントを使うと、その分同額の現金を貯金箱に入れて溜め込んでいたなけなしの『使ったつもり貯金』を崩して20万円、昔勤務していた会社の給料が振り込まれていた通帳を確認して残っていた細かいお金を一円単位まで引き出して渡したのを忘れたか?
返してくれない金を貸してと言われるのは腹が立つ。

私が他のクレジット会社から借りて、細々と返し続けたのを忘れたか?

そうすると、父から、田舎からさつまいもや栗が届いたから、取りにこいと言われて、近所の店でお菓子を買って実家に戻った。
ついでに敬老の日だし、孫のいる両親にお酒の一本でもとビールの6本缶も一緒だ。

お芋は思ったより大きいものだ。
栗は甘露煮にしてもいいな。
里芋も貰った。
芋煮もいいかも。
明日にでもこんにゃくやにんじん、鶏肉を買って、こなくては。
ありがたい。
今度、田舎にお礼のお菓子でも贈らなければ。

久しぶりに、晩御飯を食べて帰れと言われて待っていたら、母が、私を呼ぶ。
父が、犬の散歩に出ているときにだ。
神妙な面持ちで口を開いた。
昔のクレジットカードを2枚見つけた。支払いをしてないので返済しなくちゃいけない。お金を貸して、お父さんにバレたら怒られると言ってきた。
借りたお金は20万円ずつ。
あんたは長女だし、にいちゃんは子供が進学で大変だし、弟は家を建てたばかり、妹は多分無理。
あんたは長女だし、出しなさい。
あんたは一生結婚せずに……。

うんざりだ!

もう、耳が潰れてしまえ!
目も見えなくなりたい!
搾取され続け、放り出され、その上電話には毎回そんなことばかり。
連絡を待っても、お金以外のことは言ってこない。
実家に呼ばれたところで、久しぶりに食べて帰りなさいと言われ、待ってただけでこの仕打ちか!
ついでに、この2枚のクレジットカードの返済は5年以上も前にわたしが引き受けて全額返済したじゃないか!
今更、期限切れのカードを出して、お金要求してどうするんだ!
キレて怒鳴りつける。
父が戻ってきた。
わたしが叫び怒鳴り続けるのにひいていた。
母の目の前にあるクレジットカードを驚いたように見ていた。
父の知らない、父名義のクレジットカードだ。
青ざめている。
母は知らないふりをして、洗濯物を取り込まないとと言い出すのを引き留め、説明。
返済済みだと説明する。
わたしが払ったはずだと。
それなのに、このカードを掃除していたら見つけたので、返済をしなくちゃいけないから、わたしに金を出せと言ってきた。
こんな人生なら生まれて来るんじゃなかった。
もう二度と呼ぶな。
連絡するな。
田舎からのお裾分けだと呼び出しておいて、お金をくれだなんて、私を馬鹿にすんな!



家に帰り、耳栓をして、目を閉じる。
耳栓の隙間から、スマホの電子音が途切れることなく聞こえる。
歳をとっていくのに、耳は聴きたくもない音ばかり拾うのは何故だろう。
本当に聞きたいのは、ありがとうとか、本当なら今まで借りたお金を返すとかそう言う言葉。
会うたびにイライラするのはわたしが馬鹿だからだ。
どこか期待するからだ。
わかっているのに、もう何年も期待して期待して、裏切られてきたのに、求めるのは私が弱いからだ。
家族をきって仕舞えばいいのに、頼られるのを喜ぶ馬鹿だからだ。
しんでしまえばいい。
でも、しんだあとは人に迷惑をかけてしまう。
残った家のこと、片付けを誰に頼めばいい。
自分が家族と同じように迷惑をかけ続けるのか……あぁ、生まれて来るんじゃなかった。
わたしと言う存在はいらなかった。
あぁ、またスマホが鳴る。
スマホの音が恐怖だ。
もう、電話も解約して、電気も切って、ガスも解約して、いなくなろうか……。
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