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第一章……ゲームの章
20……zwanzig(ツヴァンツィヒ)
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フレデリックが出て行った後、何かを決意した顔で姿を見せたアストリットが持ってきた袋と、口を開き溢れた言葉に驚きはしたが、嫌いにはならなかった。
「……カーシュは、俺がアスティよりも瞬を選んだと怒るだろうな……」
「何で?」
カシミールは答える。
「僕は『アスティ』なら、どんな『アスティ』でも良いんだよ」
「でも、お前はあんなに『アスティ』を……」
「兄妹、しかも同母の兄妹に何を望むって、良い相手と幸せになれ。そして、冷静にこの領地の跡取りとして思うのは……僕の味方になるであろう相手、国であれば同盟国となる人の所に行ってくれ。それだけだよ……冷たい兄だね」
無表情を作って微笑むが、わずかに寂しげに目を伏せる。
「それがどうした。俺もフィーはまだ早いと思うが、あの妹と到底思えない二人を嫁にやるなら、金は出さなくて良い所か、遠い所か、もしくは勝手に野垂れ死にしろと思うが?お前は冷たいフリをして、本当は甘いな。俺だったら、テーラー銀貨10枚なんて絶対に渡さない。あいつには、あいつ自身がさばききれなかったボロボロの毛皮を持たせて追い出す。自分で商売でも何でもして金を稼いで生き延びろ、だな」
「はぁ? あんな、あいつの毛皮は……獲物もろくにさばけなくて、血と内臓の処理に失敗してまずい肉……毎回、アスティが食べられないと残してしまうのに……」
「だから良いんじゃないか。あいつは猟で何とか狩った獲物をさばききれないままだった。自分で何もかもをさせて、自分が何もできない……価値が下がる毛皮を売り、肉を売り、苦労させてやればよかったんだよ。恨みながら死んでもよし。自分の今までを思い出して反省して真面目に生きるもよし。出来ないなら生きて行く意味はない……違うか?」
カシミールは親友を見つめて首をすくめる。
「……敵わないなぁ、ディには。だから僕はここの領主の後継と、ディの片腕。どちらを選ぼうか迷うんだよ……」
「片腕程度で終わるなら、お前はいらない。俺は戦争は極力抑えたいが、領地をもっと肥えさせたい。飢えや病気を減らしたい。アスティは言ったよな? 食料のこと……病気のことも、何か教えてくれるかもしれない……そうすればカーシュの領地はますます栄える。そして、周辺から目をつけられることになるだろうが、俺が守ってやる。まぁ、お前は参謀としても最高だが内政も優秀だ。父上を支えていけるさ、で、テオは」
「俺は? 兄貴たち」
アストリットの部屋の隣に通じる扉から姿を見せる。
「テオは一時期、俺の参謀としていて欲しい。それに、アスティのことだが……」
「……知ってる。と言うか、一目見て分かった。あの頃のアスティはいないんだね……」
「……原因は分からないけど……」
「いや、カーシュ。実は目を覚ました後、一度だけ言っていた。『猟犬は怖いから好きじゃない。飼うなら小さい子犬。でも、狼は父親を中心に家族で好き。理不尽なことをこちらがしなければ、何もしない』と」
「えっ」
兄弟が見る。
「ちょっと、あれじゃないからな。見つけたんだ。一回行方不明になった後、探して見つけた時のアスティの姿。短いスカートを履いていたから、見えたんだ」
言いながら、眠っているアストリットのスカートをそっと捲り上げる。
すると、右足のふくらはぎにひどい傷跡が残っていた。
「なっ……」
「こ、これは……」
青ざめる二人の前で裾を戻す。
「フレデリックに猟犬をけしかけられたと言っていた。声を上げると侍女やベアタたちが噛まれる。もう嫌だって。アナスタージウス……俺の狼の一頭だが、実は一番あいつにひどく傷つけられていて、ラウとアスティに傷を癒してもらったけれど、足を引きずるようになってしまったんだ。気性は元々大らかで賢い。アスティに懐いている」
「ディ兄貴。傷つけられたって……?」
テオドールの言葉に、カシミールが、
「あぁ、詳しく言ってなかったかな。あのフレデリックは、ディが連れてきたペットたちが走り回れるようにって、父上が庭の一角に小屋もあるし、放すところもあると元の訓練場を提供した。そこに忍び込んで、下手な自分の弓の的にしたり、追い詰めて剣やナイフで傷つける……滅多刺しもあった……無事だったのは、目を盗んで脱走していたドラッヘのラウとリューンだけ。無残なあの場所で、笑いながら鶏を絞め殺しているあいつを殴りつけて、僕が父上の元に連れて行ったんだ」
「俺は、虫の息の皆をどうにかして救えないかと入って行ったが、血に染まる皆に何も出来ない……と思っていたら、急に周囲が何かの幕に包まれた感じがしたんだ。すると全ての血が消え傷が癒え始めて……驚いていると、二羽の鶏以外は生き返ったんだ。最後の最後にアナスタージウスがうっすら目を開けた時には、涙が出そうになった……」
「そして、アスティに聞いたら『ラウちゃんが、君は怪我治してあげたいの?』って言った感じがした。だから『助けてあげたい』って答えた気がして、気を失ったって。ディに休んでいろって言われたけれど、ラウとリューンが、その時皆のご飯にと持って行ったものを食べたいって言い張るから、一緒にまだ弱っている皆に配ったら、横たわっていた皆が立ち上がっていたって言ってた。アスティは気がついていなかったみたいだけど、癒しの術を持ってる……でも、ラウ……ブラウドラッヘの守護を得たからもあるけど、今のアスティ自身も自覚がなくても特殊能力者。そして、異世界の知識も持っているよ」
「異世界の……」
「そう。僕たちにとって、ここは生きて行く世界。でも、アスティの今、中にいる子は瞬という女の子。歳はアスティと同じ歳。賢い上に、母上やフィーの身体の不調も良く看病してくれて、私たちの口にする食べ物も体にいいように料理に気遣ってくれる。そして植える作物についても説明してくれる。確か、グレートブリテン……だったかな?西の島国。そこの言葉と、逆にここからずっと東、Marco Poloの『Il Milione(東方見聞録)』に出てきたChinaやJapanの言葉を知っている」
「……兄貴たち。俺がアスティの中にいるそのマ、ド……瞬ですか? その子を嫌ったりすると思いますか? 誰が中にいようと、アスティは俺の妹です。瞬もアスティも一緒ですよ。それに」
テオドールが、二人を見る。
「薄々分かってたって言ってたでしょう? アスティ、時々泣きそうな顔で俺やフィー、サンディを見てたんですよ? 何も悪くないのに……あんなにフィーも笑顔が増えて、元気になって行くのに、寂しそうに俯いて……俺はアスティを見捨てない! 妹を傷つけるクズにはなりたくない! アスティは可愛い妹です! 俺の妹です! だからディ兄貴、絶対に大事にしないと殴る!」
「お前が本気出すと、痛いからやめてくれ……大事にする。お前もサンディを大事にしろよ」
「わ、分かってるよ。……って、ニヤニヤしてるカーシュ兄貴? 兄貴も普通、弟の俺が先に結婚って普通ありえないんだぞ? 即見合いか婚約か結婚か、覚悟しとけよ。何ならディ兄貴の……」
「……や、やめて……それだけは」
「えっ? 嫌なのか? フィーと婚約くらいしておけばって言おうと思ってたのに……あーあ、父さんと母さん悲しむなぁ……フィーを嫁に出したくないって泣くぞ? その前に、呼び出されて怒られる」
ザッと青ざめる。
元々良い子なフリをしているカシミールは、両親から怒られるのが実は一番恐ろしい。
淡々と説教する父……フレデリックには額に血管が浮き、怒鳴りつけていたものだが、自分と向かい合い、淡々と、
「どこが間違っているか分かるかい。カシミール? お前が考えている意見は、お前が知恵を絞った結果だろうが、それは一部の人間には通用する。けれどカシミール、分かるかい? 私、そしてお前もそうだよ。私達は一部を見るだけではいけない、全体を見て考えるんだ。その時の選択で、一部に苦労をかけたりすることもあるだろう。でも、全体的に後々には安寧な政策を選び、そして、その時に苦労に巻き込まれた者には後で支援をしたりする。長い道のりを考えるのだ。でも、今お前の言っているのは、一部が得をするだけ。後には何も残らないよ」
と言われたり、母は元気な頃は外見は妖精の女王などと呼ばれ、のほほーんとしてはいるが、かなり目ざとく、
「カーシュ? アスティと喧嘩をしたの?」
「アスティと僕が、どうやったら喧嘩するんですか。仲良しですよ」
幼いアスティは寂しがり屋で、小さい頃はカーシュの後をよく付いて回っていた。
面倒と思ったことはない。
逆に弟がウザかったので、暇があればアスティの手を引いて散歩や、乗馬の練習と称して、少し遠くの湖に行きランチを食べ、ベリーを摘んだりしていた。
勉強と剣術、他に忙しいカーシュにとって妹は癒しだったのである。
「じゃぁ、フレデリックとね? あの子が、貴方がいじめると言ってきたのだけど」
「そんな訳ありますか! あいつが、アスティを突き飛ばして泣かせたんです! しかも自分は悪くないっていうから、だから同じことをしてやったんです! どうだ! 嫌なことをされると嫌だろう? アスティをいじめたら、次は本気出すぞって」
「もう……あの子は、アスティが自分の方を向いてくれないって、そんなことをして……余計に嫌われるのに……」
「そうですよ!」
「でもカーシュも、フレデリックに嫌われることしているでしょう?」
「だって、あいつ馬鹿だから嫌いだもん。ディやテオと一緒の方が面白いし、アスティとおままごとの方が楽しいですよ」
カシミールの一言に母は嘆いたのだった。
「賢すぎる息子って、本当に大変なの……あぁいえばこう返すし、仲良くしなさいって言っても『馬鹿だもん』よ? まぁ、ディ君やテオ君はあの歳にしては良く出来た子よ? カーシュも天才児と言っても良いけれど、賢すぎるのよ……」
「……カーシュは、俺がアスティよりも瞬を選んだと怒るだろうな……」
「何で?」
カシミールは答える。
「僕は『アスティ』なら、どんな『アスティ』でも良いんだよ」
「でも、お前はあんなに『アスティ』を……」
「兄妹、しかも同母の兄妹に何を望むって、良い相手と幸せになれ。そして、冷静にこの領地の跡取りとして思うのは……僕の味方になるであろう相手、国であれば同盟国となる人の所に行ってくれ。それだけだよ……冷たい兄だね」
無表情を作って微笑むが、わずかに寂しげに目を伏せる。
「それがどうした。俺もフィーはまだ早いと思うが、あの妹と到底思えない二人を嫁にやるなら、金は出さなくて良い所か、遠い所か、もしくは勝手に野垂れ死にしろと思うが?お前は冷たいフリをして、本当は甘いな。俺だったら、テーラー銀貨10枚なんて絶対に渡さない。あいつには、あいつ自身がさばききれなかったボロボロの毛皮を持たせて追い出す。自分で商売でも何でもして金を稼いで生き延びろ、だな」
「はぁ? あんな、あいつの毛皮は……獲物もろくにさばけなくて、血と内臓の処理に失敗してまずい肉……毎回、アスティが食べられないと残してしまうのに……」
「だから良いんじゃないか。あいつは猟で何とか狩った獲物をさばききれないままだった。自分で何もかもをさせて、自分が何もできない……価値が下がる毛皮を売り、肉を売り、苦労させてやればよかったんだよ。恨みながら死んでもよし。自分の今までを思い出して反省して真面目に生きるもよし。出来ないなら生きて行く意味はない……違うか?」
カシミールは親友を見つめて首をすくめる。
「……敵わないなぁ、ディには。だから僕はここの領主の後継と、ディの片腕。どちらを選ぼうか迷うんだよ……」
「片腕程度で終わるなら、お前はいらない。俺は戦争は極力抑えたいが、領地をもっと肥えさせたい。飢えや病気を減らしたい。アスティは言ったよな? 食料のこと……病気のことも、何か教えてくれるかもしれない……そうすればカーシュの領地はますます栄える。そして、周辺から目をつけられることになるだろうが、俺が守ってやる。まぁ、お前は参謀としても最高だが内政も優秀だ。父上を支えていけるさ、で、テオは」
「俺は? 兄貴たち」
アストリットの部屋の隣に通じる扉から姿を見せる。
「テオは一時期、俺の参謀としていて欲しい。それに、アスティのことだが……」
「……知ってる。と言うか、一目見て分かった。あの頃のアスティはいないんだね……」
「……原因は分からないけど……」
「いや、カーシュ。実は目を覚ました後、一度だけ言っていた。『猟犬は怖いから好きじゃない。飼うなら小さい子犬。でも、狼は父親を中心に家族で好き。理不尽なことをこちらがしなければ、何もしない』と」
「えっ」
兄弟が見る。
「ちょっと、あれじゃないからな。見つけたんだ。一回行方不明になった後、探して見つけた時のアスティの姿。短いスカートを履いていたから、見えたんだ」
言いながら、眠っているアストリットのスカートをそっと捲り上げる。
すると、右足のふくらはぎにひどい傷跡が残っていた。
「なっ……」
「こ、これは……」
青ざめる二人の前で裾を戻す。
「フレデリックに猟犬をけしかけられたと言っていた。声を上げると侍女やベアタたちが噛まれる。もう嫌だって。アナスタージウス……俺の狼の一頭だが、実は一番あいつにひどく傷つけられていて、ラウとアスティに傷を癒してもらったけれど、足を引きずるようになってしまったんだ。気性は元々大らかで賢い。アスティに懐いている」
「ディ兄貴。傷つけられたって……?」
テオドールの言葉に、カシミールが、
「あぁ、詳しく言ってなかったかな。あのフレデリックは、ディが連れてきたペットたちが走り回れるようにって、父上が庭の一角に小屋もあるし、放すところもあると元の訓練場を提供した。そこに忍び込んで、下手な自分の弓の的にしたり、追い詰めて剣やナイフで傷つける……滅多刺しもあった……無事だったのは、目を盗んで脱走していたドラッヘのラウとリューンだけ。無残なあの場所で、笑いながら鶏を絞め殺しているあいつを殴りつけて、僕が父上の元に連れて行ったんだ」
「俺は、虫の息の皆をどうにかして救えないかと入って行ったが、血に染まる皆に何も出来ない……と思っていたら、急に周囲が何かの幕に包まれた感じがしたんだ。すると全ての血が消え傷が癒え始めて……驚いていると、二羽の鶏以外は生き返ったんだ。最後の最後にアナスタージウスがうっすら目を開けた時には、涙が出そうになった……」
「そして、アスティに聞いたら『ラウちゃんが、君は怪我治してあげたいの?』って言った感じがした。だから『助けてあげたい』って答えた気がして、気を失ったって。ディに休んでいろって言われたけれど、ラウとリューンが、その時皆のご飯にと持って行ったものを食べたいって言い張るから、一緒にまだ弱っている皆に配ったら、横たわっていた皆が立ち上がっていたって言ってた。アスティは気がついていなかったみたいだけど、癒しの術を持ってる……でも、ラウ……ブラウドラッヘの守護を得たからもあるけど、今のアスティ自身も自覚がなくても特殊能力者。そして、異世界の知識も持っているよ」
「異世界の……」
「そう。僕たちにとって、ここは生きて行く世界。でも、アスティの今、中にいる子は瞬という女の子。歳はアスティと同じ歳。賢い上に、母上やフィーの身体の不調も良く看病してくれて、私たちの口にする食べ物も体にいいように料理に気遣ってくれる。そして植える作物についても説明してくれる。確か、グレートブリテン……だったかな?西の島国。そこの言葉と、逆にここからずっと東、Marco Poloの『Il Milione(東方見聞録)』に出てきたChinaやJapanの言葉を知っている」
「……兄貴たち。俺がアスティの中にいるそのマ、ド……瞬ですか? その子を嫌ったりすると思いますか? 誰が中にいようと、アスティは俺の妹です。瞬もアスティも一緒ですよ。それに」
テオドールが、二人を見る。
「薄々分かってたって言ってたでしょう? アスティ、時々泣きそうな顔で俺やフィー、サンディを見てたんですよ? 何も悪くないのに……あんなにフィーも笑顔が増えて、元気になって行くのに、寂しそうに俯いて……俺はアスティを見捨てない! 妹を傷つけるクズにはなりたくない! アスティは可愛い妹です! 俺の妹です! だからディ兄貴、絶対に大事にしないと殴る!」
「お前が本気出すと、痛いからやめてくれ……大事にする。お前もサンディを大事にしろよ」
「わ、分かってるよ。……って、ニヤニヤしてるカーシュ兄貴? 兄貴も普通、弟の俺が先に結婚って普通ありえないんだぞ? 即見合いか婚約か結婚か、覚悟しとけよ。何ならディ兄貴の……」
「……や、やめて……それだけは」
「えっ? 嫌なのか? フィーと婚約くらいしておけばって言おうと思ってたのに……あーあ、父さんと母さん悲しむなぁ……フィーを嫁に出したくないって泣くぞ? その前に、呼び出されて怒られる」
ザッと青ざめる。
元々良い子なフリをしているカシミールは、両親から怒られるのが実は一番恐ろしい。
淡々と説教する父……フレデリックには額に血管が浮き、怒鳴りつけていたものだが、自分と向かい合い、淡々と、
「どこが間違っているか分かるかい。カシミール? お前が考えている意見は、お前が知恵を絞った結果だろうが、それは一部の人間には通用する。けれどカシミール、分かるかい? 私、そしてお前もそうだよ。私達は一部を見るだけではいけない、全体を見て考えるんだ。その時の選択で、一部に苦労をかけたりすることもあるだろう。でも、全体的に後々には安寧な政策を選び、そして、その時に苦労に巻き込まれた者には後で支援をしたりする。長い道のりを考えるのだ。でも、今お前の言っているのは、一部が得をするだけ。後には何も残らないよ」
と言われたり、母は元気な頃は外見は妖精の女王などと呼ばれ、のほほーんとしてはいるが、かなり目ざとく、
「カーシュ? アスティと喧嘩をしたの?」
「アスティと僕が、どうやったら喧嘩するんですか。仲良しですよ」
幼いアスティは寂しがり屋で、小さい頃はカーシュの後をよく付いて回っていた。
面倒と思ったことはない。
逆に弟がウザかったので、暇があればアスティの手を引いて散歩や、乗馬の練習と称して、少し遠くの湖に行きランチを食べ、ベリーを摘んだりしていた。
勉強と剣術、他に忙しいカーシュにとって妹は癒しだったのである。
「じゃぁ、フレデリックとね? あの子が、貴方がいじめると言ってきたのだけど」
「そんな訳ありますか! あいつが、アスティを突き飛ばして泣かせたんです! しかも自分は悪くないっていうから、だから同じことをしてやったんです! どうだ! 嫌なことをされると嫌だろう? アスティをいじめたら、次は本気出すぞって」
「もう……あの子は、アスティが自分の方を向いてくれないって、そんなことをして……余計に嫌われるのに……」
「そうですよ!」
「でもカーシュも、フレデリックに嫌われることしているでしょう?」
「だって、あいつ馬鹿だから嫌いだもん。ディやテオと一緒の方が面白いし、アスティとおままごとの方が楽しいですよ」
カシミールの一言に母は嘆いたのだった。
「賢すぎる息子って、本当に大変なの……あぁいえばこう返すし、仲良くしなさいって言っても『馬鹿だもん』よ? まぁ、ディ君やテオ君はあの歳にしては良く出来た子よ? カーシュも天才児と言っても良いけれど、賢すぎるのよ……」
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