バタフライ・エフェクト〜butterfly effect〜

刹那玻璃

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転生者の少女の章

献上させていただきます。

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 一応、近所のおじいちゃんおばあちゃんには、リオンお兄さんが一言言いに行ってくれました。
 私は身の回りのものと、シュウさまの言っていた装飾品を包み……。

「あの……」
「なあに?」
「シエラさまのお子さん、こう言うの好きでしょうか?」

 店を片付けてくださる女神さま……もとい、幸矢さまとセイさまが振り向かれます。
 はい、女神さまとよんではダメと言われました。
 呼び捨てでもいいと言われましたが、それは絶対無理とお伝えしました。

「うわぁ、可愛いね。これはパラプル? それに小さいドラゴン」
「これ……オオサンショウウオ?」
「オオサンショウウオはこっちです。これはイアルベですね」
「……リアルすぎて気持ち悪い」
 
 あらぁ……リアルさを追求した力作が、セイさまには不評です。
 前世の写真を思い出して、再現してみたのに……。

 最大150cmになると言うオオサンショウウオですが、それは飼育下に置いたもので、野生では100cm超えるのは稀なのだそうです。
 なので、私の作ったものはそこのところをリアルに100cmにしてみました。
 イアルベは最大300cmを超えるものもいるそうですが、邪魔なので、同じサイズにしています。

 ちなみに、乾燥地帯や火山地帯に当たり前のようにいるイアルベは卵生で、何故か卵や幼体を背中にくっつけて移動し、安全なところで子供と別れるので、あまり極端に減ったりしません。
 微妙に生息域が広がりますが……。
 そして、オオサンショウウオは前世では絶滅危惧種で……って蘊蓄いりませんよね。
 でも、何故ご存知なのでしょう。

「オオサンショウウオ、ご存知なんですか?」
「うん。グランディアに普通にいるから。向こうの生き物、食物、植物持ってきたけど、いるよ? 昔のご先祖は食べ物ない時は、食べたって聞いてる」
「美味しいんでしょうか?」
「うちのじい様も食べたことないって。でも、オオサンショウウオは川ではサワガニとか、小鳥とか、魚とか食べてるらしいから美味しいのかもね。歴史書には山椒の香りがするって書いてあったね……」
「でも、進化の過程や固有種の研究で育てるだけだから、食べないよ?」

 あらら、セイさまに釘を刺されました。
 そんなに、食べてみたいと言う顔をしていたのでしょうか……。
 あぁ、でも、食い意地というより追求、探究心は衰えていません。

 幸矢さまがオオサンショウウオをじっくりみています。

「でも、ここまでリアルに再現する人いるんだね……」
「買う人いるのかな……」
「キモ可愛いと、時々帰ってくる幼なじみには好評なんですけどね~。オオサンショウウオはこの地域にはいませんし、イアルベの別種というか、伝説の生き物になりますから」

 珍しい毛足の短いものの、フワッとした感触の肌を再現した布を触る。
 気持ちいいのです。
 色褪せていましたが、いい生地だったので勿体無くて使ったくらいです。

「キモ可愛い……」
「好評って、ナオミが作ったのか?」
「はい。布は売れ残りで色褪せたものだって言うダークグリーンの布を貰ったので、ちょこっと刺繍して、布を切って、縫って手足をつけて、わた詰めしました。イアルベも私作です。抱き枕に好評なんです」
「……俺にはこれが可愛いっていうの、わかんないけど、綾は喜ぶかも……」

 遠い目をしつつ呟くセイさま。

「アヤさんですか?」
「父さんの妹。俺たちの叔母になるんだけど、俺と同じ歳。ちょっとずれた趣味なんだ……」
「カエルとかイモリとかトカゲ、好きだよね。綾ちゃんは」
「ミミズも好きだぞ」
「……お友達になりたいです」

 私も、は虫類、両生類大好きです。
 きっと仲良くなれます!

「えっと……じゃぁ、このオオサンショウウオとイアルベ、シエラさまの娘さんはパラプルとドラゴン……どっちでもいいですね。このマジックバッグに入れちゃいます」
「マジックバッグ……って、収納?」
「父が元騎士なので、別に二つ持ってました。これはパシヴァルさまに貰ったものみたいです。父の持っているうちの一つ、時間経過なしの方は、収納量は小さいみたいです。私が貰ったこちらは……うーん、多分、この家一軒分入るかな……」
「収納量多いね……」
「そうなんでしょうか?」

 よくわかりません……。

 そんな話をしつつ、気がついたものをポイポイ入れていきました。
 完成したものや作りかけのタペストリーに、裁縫道具も一緒です。
 アヤさんたちに仲良くしていただきたいので、余りあるぬいぐるみの山を全て献上品として持っていきたいと思います。
 私のベッドのお友達は、まぎれてはいけないので、今回は一匹のみにしたいと思います。

「……よく入るな……」
「自分でもびっくりです」

 あ、ナマモノは入れてませんよ。
 シュウさまに褒めていただいた刺繍ポーチも、ごっそり収納です。
 本当に容量分重くなったら困りましたね。

「ただいま~。ナオミさんできた?」

 蒼記さんとエドワードさんが顔を覗かせます。
 うーん、仕草がそっくりですね。

「できました!」
「って……最後に入れたの何?」
「あぁ、これは……作りかけの、リアル原寸サイズ! ホワイトタイガーです!」
「……こんな馬鹿でかいの作って、どこに置くの?」

 蒼記さんのツッコミが入りました。

「ソファの代わりに使います」
「……じゃぁ、綿は? 結構かかるよね?」
「うぅっ……近所の職人さんにあまり綿貰いました。それにくたびれ防止に、内側には軽い木の型を入れてます!」
「出来上がるまでに時間かかりそう」

 ポンポンツッコミが打ち返されます。
 厳しいです。

「いいのです! 出来上がったら店に置きます。あ、め……幸矢さまには、こちらを献上させていただきます」
「献上って何?」
「これでも、ちびっちゃい! リアル原寸サイズ! もふもふチビドラゴンです! 足の裏はブルードラゴンにしてみました! どぞ!」
「白い毛玉……」
「お昼寝バージョンです! このサイズは大量生産できませんので、ミニバージョンを三人に贈呈します!」

 特大サイズ……と言っても、前世の中型犬サイズの丸くなっているお昼寝ドラゴンは、たくさん作れませんでした……三人は色違いの両手サイズの四つ足で立ってるミニを渡します。

「うわぁ……これ、六槻喜びそう」

 エドワードさんはじっくりみてます。

「足の裏の刺繍が赤がレッドドラゴンです。ピンクがホワイト、黒がブラックです。カラードラゴンの幼体は、ブルードラゴンは白い毛らしいんです。他の子はブラックです」
「すごいな……こっち売ればいいのに」
「あら……じゃぁ、これも持っていきます! 進呈したいと思います! 確かアヤさまと六槻さまと……他に欲しい方いませんかね?」

 前世のキーホルダーをイメージした、タコ糸に似た丈夫な糸でバッグなどをいろどるヌイヌイと言うお試し品も実は作っている。
 ヌイヌイは、近所の幼なじみのお姉さんとか、奥さんの時間が空いた時の副業にお願いできたらなぁと、昔のキャラクター着せ替え人形とか、デフォルメしたちびドラの頭にパラプルの帽子を被せたりと言うのまで考えてたりする。
 ……私は多分結婚しないで、こう言うの作り続けて、この店で生きるんだろうなぁ……。

「あ、俺たちに2歳下の妹がいるんだけど、可愛いの譲ってくれるかな?」
「ちなみに、どちらに似られてます?」
「……えっと、俺は父方の祖父に似てて、蒼記は母方。妹の清夜さやは父方の祖母に似てるって言われてる」
「そういえば、幸矢さまたちのお父さんは……」
「大丈夫! 僕の髪と瞳が実の父親似って位で、幸矢もさーやもあの人の血がどこにあるって位似てないから!」

 自信満々に蒼記さんは言われます。

 それって大丈夫ですか?
 暗にお父さんは不細工って言ってませんか?

「たくさんありますので、向こうでドンドン選んでいただきます。セイさまのご家族もいりますか?」
「うん、母さん、そう言うの好きそう。それにちょっと体調が良くないから、元気になってほしいんだ」
「いいお母様なんですね~」
「うん、マザコンとかファザコンって言われるけど、二人が俺の両親ってことが自慢」

 す、素敵な家族です!
 しかも、思春期、反抗期年代のセイさま、照れもせず、ご両親のことを言い切る!

「では! これはどうでしょう! リアルさは追求しない! 可愛いくまさん! 手足も動きます! 赤ちゃん服の着せ替え可能! ついでに、色違いまでつけましょう!」
「……」
「重さはリアルではありませんが、体格は赤ちゃんとほぼ同じですので、可愛いと思われます、隊長!」
「……隊長って誰?」
「セイさまです!」

 うん、多分、この幼なじみの皆さんをまとめる兄貴分はセイさまなんだろうなぁ……。

「それともこちらはいかがでしょう。リアルさをこちらは追求したウォンバットです!」
「ウォンバット……?」
「有袋類って言う、他の国では珍しい動物ですけど、ここカズールの北に普通にいる固有種です。小さく生まれた赤ん坊をお腹の袋で育てる子です。この顔が癒し系なんですよね」
「本当にこんな顔なの?」
「はい! 他はクアッカとか。この子です! この子も有袋類ですね~。こう言う顔が癒されます」

 うん、かわいいんだこれが。
 前世では動物園にいて、そのもふもふ加減に一目惚れした。
 有袋類だからオーストラリアなどにすんでいる。

 でも、ここでは一応南西を流れる竜河と北西のユーザー河が一つになって、アンブロシアスと言う河になる、広大な三角州にある自然の平原に生息する動物だ。
 その地は一般は入れないが、騎士団で定期的に見回る。
 密猟を警戒してだ。
 父も元騎士だったこともあって、呼ばれて出かけることもあった。
 ごく稀に、怪我をした個体や、親とはぐれた子供を収容し、元気になったら返す。
 怪我がひどい時には、保護施設や騎士の館に預けられる。
 騎士の館では、保護した動物の手当てや餌について、生態についても学ぶのだ。
 ちなみに、一度そう言うウォンバットを数日預かったことがある。

「これ……俺、好きかも」
「幸矢、何気に可愛いもの好きだもんね。一歳でナムグの子拾ってきたり、猫や犬とか……オオカミとか、たぬきとかキツネも森に入るたびに頭下げてきて……」
「可愛いだろ? 白蓮は俺の妹だし!」
「白蓮?」
「オオカミの白蓮。旦那が黒曜、子供が睡蓮、木蓮がいる。連れてきてるんだ~。すっごく大人しいよ?」

 もふもふとウォンバットのぬいぐるみを触りながら語るお姿は、可愛らしいです。

「大人しいって……僕は近づけないよ! 彗だって!」
「蒼記が馬鹿にするからだろ? 白蓮は賢いんだから。六槻やさーやのお守りもできるし、父さんたちの狩りのサポートもできる」
「犬は……」
「猟犬がいるよ。子犬もいるけど、会ってみたい?」
「是非~! もしできれば、モフるのは無理でしょうが、一応攻撃性はないと言うことをわかっていただけるように、匂いを嗅いでいただければ~!」

 日本犬……猟犬は賢いのです。
 確か、四国犬は狼の血も引いていると言われています。
 主人を決めているのでそれ以外はプイッとするとか。
 多分、幸矢さまを主人と慕い、それ以外は関わりたくないと思っているのだと思います。
 ニホンオオカミは標本しか見ていませんが、とっても美しいと思います。

「じゃぁ、戸締りしていこうか。貴重品は持って行くんだよ」

 リオンお兄さんの言葉に、今まで忘れていた貴重品……鍵とか、お店の金庫と、私のお小遣いを慌ててしまったのでした。
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