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良く効く胃腸薬を用意してください!
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「うっ……うわぁぁん! おじいさま! アレクがぁぁ!」
ルゥは祖父に抱きつく。
しかし、張り飛ばされた当人はバランスを崩し、竜の上から転がり落ちた。
それも、レディに失礼なことを言ったのだから放置しておけばいいものの、シュティーンが竜に頼み、落ちる先に回り込み、救い上げられた。
「私だって! 胸が気になっているのに! これでも騎士の端くれです! 武器が持てなくなったら困ると思っているのに!」
「分かってるよ。でもね? 悪気はなかったんだと……」
「なかったならなお悪いです! 女の子の私に、太ったって言ったんですよ? 失礼です!」
「そうだね。やっぱりアレクが悪い!」
……エドヴィンは、溺愛する二男夫婦とその子供たちにはとてつもなく甘い。
「父さま……」
「……見なかったことにしなさい。それよりアレク! どうして待ってないんだ! あの後シルゥを迎えにヴィクが王宮に行ったんだぞ? 大人しく待っていれば、水鏡ですぐだったのに」
「うえっ? シュティーン!」
頬をさすりながら幼なじみを睨む。
だが今度ばかりは冷たく、
「私は待てって何度も止めただろう! 聞かなかったのはお前だ!」
「水鏡って言ってない!」
「言った! 絶対言った! 場所も覚えてる! お前の私室から出たすぐの廊下! 最初に角を曲がる位置! お前が私の言葉を拾ってないんだ!」
「……そこまで細かく言わなくてもいいんだぞ? シュティーン」
そこまで神経質に……と呟いた父の言葉に必死に訴える。
「アレクは場所まで指摘しないと、絶対聞いてない、お前の幻想だとか言うんだ! ……もう嫌だ! 仕事したくない……」
嘆く従兄に、ルゥは、
「シュティーン、可哀想……アレクの側近って一番過酷な職場だよね……ヴィーおじいさまって、こんなに苦労してたの?」
「……叔父上は、エリファスおじいさまとリューの二人に苦労させられていたからな……胃潰瘍とかなってたと思う」
ルドルフは遠い目をする。
「結構繊細な人だったんだ。そこら辺はシュティーンも似てるな」
「大変だねぇ……」
「そう思うなら助けてくれ!」
「よしよし」
必死に訴えるシュティーンの頭を二人で撫でる。
「おぉぉ! もふもふだ!」
「見た目は硬そうだが、まとまりのない髪は俺に似てるんだ」
「そっか……これは、フィア並みに手入れが大変だ」
「……父さま、ルゥ……やめてくれない?」
毎日夜遅くまで書類整理に執務の采配で、無精髭が少々マイナス点だが、ちゃんと髪だけは結んできている。
これ以上もふられたら整えられるだろうか?
「いいないいなぁ……この色は珍しいし、綺麗な色じゃないか。服選びは大変かもしれないけど、この毛並みは絶対喜ばれるぞ」
「誰に?」
ルゥの言葉に突っ込んだシュティーンは、髪の束を取り戻すと、リボンをほどき手で直していくのだが、その動きはぎこちない。
「あ、こっち、落ちてる……こっちも」
「もう、ルゥ、頼む!」
リボンを渡すと、ルゥは楽しげに整え、思いついたように編み込んでいく。
「わぁぁ、遊ぶな!」
「おさげじゃあるまいし、一つにまとめてるんだよ。両側に落ちるんだから、編み込んだ方がまとまるんだから」
「……じゃぁ、それで頼む」
少々納得いかないが、器用な従妹に頼んだシュティーンは、早朝からの仕事と疲れでうとうとし始める。
「大丈夫?」
「あー……うん。ここ最近、夜遅くまで残業に、早朝から仕事で……」
あくびを噛み殺し、目をこすりかけ、目頭を長い指で押さえる。
「あぁ……ヒゲも剃りたいのに、その時間もない……髪も乾かさずに寝てるし……」
「髪痛むよ?」
「枝毛とか白髪あるか?」
「ハゲはない」
その言葉に慌ててルゥを振り返る。
「やめろ! それは絶対に嫌だ!」
「ないよ」
「絶対だな?」
「ないない」
リボンを結び、ルゥは手を離した。
プラチナグリーンの髪に、白いリボンは鮮やかに映える。
「それは良かった……やっぱり仕事の量を減らそう、この年で髪の心配は絶対に嫌だ! でも、フィアに頼んでいい胃薬を教えてもらおう」
ぞくぞくっとしたのか、髪を確認したシュティーンは首を振り、自分のことを考えるのだった。
ルゥは祖父に抱きつく。
しかし、張り飛ばされた当人はバランスを崩し、竜の上から転がり落ちた。
それも、レディに失礼なことを言ったのだから放置しておけばいいものの、シュティーンが竜に頼み、落ちる先に回り込み、救い上げられた。
「私だって! 胸が気になっているのに! これでも騎士の端くれです! 武器が持てなくなったら困ると思っているのに!」
「分かってるよ。でもね? 悪気はなかったんだと……」
「なかったならなお悪いです! 女の子の私に、太ったって言ったんですよ? 失礼です!」
「そうだね。やっぱりアレクが悪い!」
……エドヴィンは、溺愛する二男夫婦とその子供たちにはとてつもなく甘い。
「父さま……」
「……見なかったことにしなさい。それよりアレク! どうして待ってないんだ! あの後シルゥを迎えにヴィクが王宮に行ったんだぞ? 大人しく待っていれば、水鏡ですぐだったのに」
「うえっ? シュティーン!」
頬をさすりながら幼なじみを睨む。
だが今度ばかりは冷たく、
「私は待てって何度も止めただろう! 聞かなかったのはお前だ!」
「水鏡って言ってない!」
「言った! 絶対言った! 場所も覚えてる! お前の私室から出たすぐの廊下! 最初に角を曲がる位置! お前が私の言葉を拾ってないんだ!」
「……そこまで細かく言わなくてもいいんだぞ? シュティーン」
そこまで神経質に……と呟いた父の言葉に必死に訴える。
「アレクは場所まで指摘しないと、絶対聞いてない、お前の幻想だとか言うんだ! ……もう嫌だ! 仕事したくない……」
嘆く従兄に、ルゥは、
「シュティーン、可哀想……アレクの側近って一番過酷な職場だよね……ヴィーおじいさまって、こんなに苦労してたの?」
「……叔父上は、エリファスおじいさまとリューの二人に苦労させられていたからな……胃潰瘍とかなってたと思う」
ルドルフは遠い目をする。
「結構繊細な人だったんだ。そこら辺はシュティーンも似てるな」
「大変だねぇ……」
「そう思うなら助けてくれ!」
「よしよし」
必死に訴えるシュティーンの頭を二人で撫でる。
「おぉぉ! もふもふだ!」
「見た目は硬そうだが、まとまりのない髪は俺に似てるんだ」
「そっか……これは、フィア並みに手入れが大変だ」
「……父さま、ルゥ……やめてくれない?」
毎日夜遅くまで書類整理に執務の采配で、無精髭が少々マイナス点だが、ちゃんと髪だけは結んできている。
これ以上もふられたら整えられるだろうか?
「いいないいなぁ……この色は珍しいし、綺麗な色じゃないか。服選びは大変かもしれないけど、この毛並みは絶対喜ばれるぞ」
「誰に?」
ルゥの言葉に突っ込んだシュティーンは、髪の束を取り戻すと、リボンをほどき手で直していくのだが、その動きはぎこちない。
「あ、こっち、落ちてる……こっちも」
「もう、ルゥ、頼む!」
リボンを渡すと、ルゥは楽しげに整え、思いついたように編み込んでいく。
「わぁぁ、遊ぶな!」
「おさげじゃあるまいし、一つにまとめてるんだよ。両側に落ちるんだから、編み込んだ方がまとまるんだから」
「……じゃぁ、それで頼む」
少々納得いかないが、器用な従妹に頼んだシュティーンは、早朝からの仕事と疲れでうとうとし始める。
「大丈夫?」
「あー……うん。ここ最近、夜遅くまで残業に、早朝から仕事で……」
あくびを噛み殺し、目をこすりかけ、目頭を長い指で押さえる。
「あぁ……ヒゲも剃りたいのに、その時間もない……髪も乾かさずに寝てるし……」
「髪痛むよ?」
「枝毛とか白髪あるか?」
「ハゲはない」
その言葉に慌ててルゥを振り返る。
「やめろ! それは絶対に嫌だ!」
「ないよ」
「絶対だな?」
「ないない」
リボンを結び、ルゥは手を離した。
プラチナグリーンの髪に、白いリボンは鮮やかに映える。
「それは良かった……やっぱり仕事の量を減らそう、この年で髪の心配は絶対に嫌だ! でも、フィアに頼んでいい胃薬を教えてもらおう」
ぞくぞくっとしたのか、髪を確認したシュティーンは首を振り、自分のことを考えるのだった。
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